【要注意】カードローンの返済シミュレーションと隠れた落とし穴
「どうしても資金が足りない…」
「今月の支払いが厳しい」
そんなとき、思わず頼りたくなるのが「カードローン」です。
手軽ですし、一度審査に通ると限度額まで簡単に借りることができます。
そこで今回は、そんなカードローンのお話を元銀行員の私が詳しく解説いたします。
今回は、カードローンの中でも良心的な楽天カードローンを例に、実際に借りた場合の返済方法や金利負担、そして多くの人が見落としがちな“危険性”について徹底解説します。
楽天カードローンの基本情報(2025年4月時点)
- 金利:年1.9%~14.5%(契約時の審査で決定)
- 限度額:最高800万円
- 返済方式:残高スライドリボルビング方式
- 返済日:毎月1日(楽天銀行口座なら自動引落)
実際に50万円を借りた場合の返済シミュレーション
審査結果によっては、年14.5%の金利が適用されるケースが多いです。ここでは50万円を借り、毎月15,000円ずつ返済した場合のシミュレーションを見てみましょう。
返済月数 | 毎月の返済額 | 利息合計 | 返済総額 |
---|---|---|---|
約47ヶ月(3年11ヶ月) | 15,000円 | 約220,000円 | 約720,000円 |
注意:返済額が少ないほど、完済までの期間が長くなり、利息が大きく膨らみます。
カードローンの“見えない落とし穴”とは?
【なぜこんなに多くなるの?】
- 毎月の返済の中に利息が含まれている
- 最初の頃は、返済額のうち半分以上が「利息」に充てられるため、元金がなかなか減りません。
- 返済が長引けば長引くほど利息が積み上がる
- 月々の返済額を抑えると、元金が減るペースが遅くなり、結果として「借りたお金の1.5倍近くを返す」ことになるケースもあります。
【返済が苦しくなる原因】
- 「少額ずつで楽に返せる」と思っていても、実際には返済総額がどんどん膨らんでいく
- 「利息がもったいないから、また借りて返す」のループに入り、多重債務や延滞のリスクが高まる
【ひとことアドバイス】
借入を検討する際は、「いくら返せるか」ではなく「いくらまでなら無理なく返し終えられるか」を軸に考えるのが大切です。
「気づかぬ間に多重債務」になってしまう理由とは?
最初は「少しだけ借りるつもり」だったはずが、気づけば複数のローンやキャッシングを抱えてしまう…。それが多重債務です。
多重債務とは、2社以上から借金をしている状態を指します。そして、その多くが「無意識のうちに」陥ってしまっているのが現実です。
なぜ、気づかないうちに多重債務になるのか?
- 毎月の返済がきつくなり、他のローンで補填:A社の返済が厳しくなり、B社で借りて補う…という連鎖。
- カードローンは借り入れ枠内なら何度でも借りられる:完済していないのに追加で借入してしまう。
- クレジットカードのリボ払いやキャッシングも「借金」:借金の自覚がないまま、借入件数が増える。
- 「借金の借金」で返済が雪だるま式に増える:利息と元金の支払いが重なり、抜け出せなくなる。
多重債務になるとどうなる?
- 毎月の返済額が増えて生活が圧迫
- 返済に遅れると、信用情報に傷がつく
- 新しい借入ができなくなる(住宅ローンや教育ローンにも影響)
- 最終的に「債務整理」や「自己破産」が必要になるケースも
「少しだけのつもりだった」が、後に人生を大きく左右する借金になる可能性があることを、絶対に忘れないでください。
カードローンは便利ですが、借りた瞬間から“返済の責任”が始まるという意識を持つことが、トラブルを防ぐ第一歩です。
「信用情報のキズ」が将来に与える深刻な影響
カードローンを利用する際、最も注意すべき点のひとつが信用情報です。
借入の延滞や滞納があると、あなたの信用情報に“キズ”が付き、将来の大きなチャンスを逃すことになりかねません。
信用情報とは?
信用情報とは、あなたの「お金の信頼度」を数値的に記録した情報のことです。これには以下のような内容が含まれます。
- どの金融機関からいくら借りているか
- 毎月の返済状況(延滞・遅延の有無)
- クレジットカードの利用状況
- 過去の借入履歴・完済履歴
これらの情報は、CIC(シー・アイ・シー)、JICC(日本信用情報機構)といった信用情報機関に記録され、金融機関は審査時にこれらを参照します。
延滞・滞納でどうなる?
返済を61日以上または3ヶ月以上延滞すると、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になります。
- 記録期間:完済後も最大5年間は信用情報に履歴が残る
- 新規ローンやクレジットカードが作れなくなる
- 住宅ローン・自動車ローンなどの審査に落ちる
一度でも「返済を忘れた」「口座の残高不足だった」だけでも、記録に残ってしまうことがあります。軽く考えがちですが、これは将来の信用取引すべてに影響します。
どうすれば防げるのか?
- 返済日をカレンダー・アラームで管理
- 引き落とし口座の残高チェックを習慣化
- 支払いが遅れそうなときは、事前に連絡して相談
信用は一度失うと、取り戻すのに何年もかかるものです。
短期的な資金繰りのために、長期的な人生設計を壊してしまわないよう、慎重な判断を心がけましょう。
「事業用の利用は規約違反?」
個人向けカードローンは事業資金に使えない場合が多い(楽天も同様)。
どうしても借りる場合の“守るべき3つのポイント”
- ① 借入額は最小限に:必要最低限の金額に抑えましょう。
- ② 返済計画を具体化:月いくら返せるかを把握し、完済までの計画を立てる。
- ③ 他の融資制度と比較:制度融資や政策金融公庫の方が金利が低く、返済期間も長めです。
例:楽天カードローン金利14.5%と、日本政策金融公庫の新創業融資制度(1.5%前後)では、最終的な返済総額に数十万円の差が出る場合も。
▶︎このようにカードローンは、確かに「手軽」で「早い」資金調達手段ですが、返済負担や信用への影響は想像以上に大きいです。借りる前に、冷静に返済計画を立てること、公的制度や支援策と比較検討することが何よりも大切です。
もし今、資金に悩んでいるなら、焦らずこの記事を参考に、将来の経営を見据えた判断をしてください。
「借りる」ではなく「立て直す」ことが、あなたの事業を救う第一歩になるかもしれません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の借入や返済に関しては、必ずご自身で金融機関の条件をご確認ください。
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