もう迷わない!DockerでWindowsコンテナを動かす超入門 – 仕組みから実践まで

「アプリをカンタンに動かす魔法の箱」

それがDockerです。でも Windowsアプリを動かしたい場合は、ちょっと特別な「Windowsコンテナ」という箱を使う必要があります。
この記事では、DockerとWindowsコンテナの基本から、実際に動かす手順まで、丁寧に解説します。

「難しそう…」

と感じている初心者の方も、この記事を読めばきっと「なるほど!」と納得できるはずです。

まず、「Docker(ドッカー)」って何?

Docker(ドッカー)とは、あなたの作ったアプリを、まるで魔法の箱(コンテナ)に入れるように包み込む技術です。この箱には、アプリが動くために必要なもの(プログラム本体、設定、必要なソフトなど)が全て入っています。

Dockerのすごいところ

どこでも動く この魔法の箱に入ったアプリは、あなたのパソコンだけでなく、他の人のパソコンやクラウドサーバーなど、Dockerがインストールされていればどこでも同じように動かすことができます。

例えば・・引っ越ししてもすぐに使える家具付きの部屋って感じです。

(例えが下手ですみません・・)

準備が超カンタン

普通、新しいアプリを動かすには、色々な設定をしたり、必要なソフトをインストールしたりと、面倒な準備が必要です。でもDockerを使えば、これらの準備は魔法の箱の中に済んでいるので、すぐにアプリを起動できます。

他のアプリとケンカしない

複数のアプリを同じパソコンで動かすと、お互いの設定が干渉してうまく動かないことがあります。でも、Dockerの箱はそれぞれ独立しているので、他のアプリに影響を与える心配がありません。

Dockerイメージ図

Windowsアプリ専用の箱「Windowsコンテナ」

Dockerのコンテナには、大きく分けて2つの種類があります。

①Linuxコンテナ・・たくさんの場所で使われている、基本的なコンテナです。

②Windowsコンテナ・・Windowsのアプリ(.exeファイルなど)を動かすためだけの特別なコンテナです。

「Windows Serverでしか動かないあのツールを試したい」

「昔作ったWindowsアプリを最新の環境で動かしたい」

と思ったことはありませんか? そんな時に役立つのが、このWindowsコンテナなんです!
例えるなら…

🧰Linuxコンテナ・・いろんな種類の道具が入った、万能な工具箱

🗃️Windowsコンテナ・・特定のWindows製の機械にしか使えない、専用の工具箱

WindowsでDockerを使うための準備

ここからは、実際にWindowsでDockerを使って、Windowsコンテナを動かす準備を解説します。

Docker Desktopをインストール

まずは、あなたのWindowsパソコンに「Docker Desktop」というソフトをインストールします。これは、Dockerを使うための様々な機能が詰まった、いわばDockerの司令塔のようなものです。

インストール手順

①Docker公式サイト にアクセスします。

②「Download for Windows」というボタンを探してクリックします。

③ダウンロードが終わったら、ダウンロードしたファイル(.exeファイル)をダブルクリックして実行します。

④画面の指示に従ってインストールを進めます(途中で管理者権限が必要になる場合があります)。

インストール中に出てくる「WSL2」と「Hyper-V」って何?

インストール中に、少し難しい言葉が出てくるかもしれません。「WSL2」や「Hyper-V」といったものです。これらは、Dockerがコンテナを動かすために使う、Windowsの裏側の仕組みのことです。

▶︎WSL2 (Windows Subsystem for Linux 2)って何?

Windows上で、よりスムーズにLinuxを動かすための機能です。

Dockerは、このWSL2を使ってLinuxベースのコンテナを効率的に動かすことができます。

▶︎Hyper-Vって何?

Windowsに標準搭載されている「仮想マシン」を作る機能です。

仮想マシンとは、あなたのパソコンの中に、もう一台別のパソコンを作り出すようなイメージです。Dockerは、このHyper-Vを使ってWindowsコンテナを動かすことができます。


✔️インストールの選択画面では…
基本的には、推奨される設定(WSL2を使う設定になっていることが多いです)のままで「次へ」をクリックして進めて大丈夫です。Windowsコンテナを使いたい場合は、後から設定を変更できますので、今は気にしすぎないでください。

いよいよ実践!DockerでWindowsコンテナを動かす

Docker Desktopのインストールが終わったら、いよいよWindowsコンテナを動かしてみましょう!

①コンテナの種類を「Windows」に切り替える
Docker Desktopは、初期設定ではLinuxコンテナを使うように設定されていることが多いです。Windowsコンテナを使うためには、この設定を切り替える必要があります。
▶︎切り替え方法

①タスクバーにあるDockerのアイコン(クジラのマーク)を右クリックします。

②表示されたメニューの中から、「Switch to Windows containers」 という項目をクリックします。
→しばらくすると、Dockerが再起動し、Windowsコンテナを使える状態になります。これで、Windowsアプリを箱に詰めて動かす準備が完了です!

✔️[タスクバーのDockerアイコン] → 右クリック → [Switch to Windows containers] を選択

Windowsコンテナを動かしてみよう!(コマンド実行)

実際にWindowsコンテナを動かすには、「コマンド」という文字を使った指示をDockerに送ります。難しそうに感じるかもしれませんが、決まった言葉を入力するだけなので安心してください。
ここでは、Windowsの基本的な機能だけが入った、軽量な「Windows Server Core」というコンテナを動かしてみましょう。

コマンド

このコマンドを「コマンドプロンプト」や「PowerShell」というWindowsのツールで実行します。
コマンドの意味(ざっくり解説)

・「docker run」: 「新しいコンテナを動かして!」という指示

「-it」: 動いているコンテナの中で、文字を入力したり、結果を見たりするためのオプション

・「mcr.microsoft.com/windows/servercore:ltsc2022」: どのWindowsコンテナを使うかの指定(今回はMicrosoftが公開しているWindows Server Coreの最新版)

・「cmd」: コンテナの中で最初に実行するプログラム(コマンドプロンプト)



これを実行すると…
コマンドを実行すると、黒い画面(コマンドプロンプト)が新しく表示されます。これは、あなたのパソコンの中にもう一つの小さなWindows(Windows Server Core)が起動したイメージです。この中で、Windowsの基本的なコマンドを実行したりすることができます。

✔️コンテナを終了したい場合は、この黒い画面で exit と入力してEnterキーを押してください。

よくある質問

Q. 古いパソコンでもWindowsコンテナは動きますか?
A. Windowsコンテナを快適に動かすには、ある程度のスペックが必要です。一般的には、Windows 10 Pro以上の64bit版、またはWindows 11 Proが推奨されています。お使いのパソコンのスペックが満たしているか確認してみてください。
Q. なぜLinuxコンテナの方がよく使われるのですか?
A. 多くのWebアプリケーションやサーバーソフトウェアがLinux上で開発・運用されているため、Linuxコンテナの方が利用されることが多いです。しかし、Windows Serverでしか動かない特定のソフトウェアや、.NET FrameworkなどのWindows技術を使ったアプリをコンテナ化する際には、Windowsコンテナが非常に役立ちます。

まとめ – Windowsコンテナの世界へようこそ!

今回の記事で、DockerとWindowsコンテナの基本的な知識から、実際に動かす手順までを解説しました。

Dockerはアプリを「魔法の箱(コンテナ)」に詰めて、どこでも動かせるようにする便利なツールという感じなのは理解していただけたでしょうか?

Windowsコンテナは、Windowsアプリ専用の特別な箱!

Docker Desktopをインストールして、「Switch to Windows containers」に切り替えるだけで、Windowsコンテナを使う準備は整います。

また、docker run コマンドを使えば、簡単にWindowsコンテナを起動して試すことだってできます!
最初は難しく感じるかもしれませんが、実際に手を動かしてみることで、きっと理解が深まるはずです。ぜひ、Windowsコンテナを活用して、あなたの開発やテスト環境をより便利にしてみてください!