「アプリをカンタンに動かす魔法の箱」DockerとWindowsコンテナ入門(2025年版)

Dockerイメージ図

「アプリをカンタンに動かす魔法の箱」――それが Docker です。
ただし、Windowsアプリを動かしたい場合は、特別な「Windowsコンテナ」という仕組みを使う必要があります。

この記事では、Dockerの基本からWindowsコンテナの実行方法まで、最新情報を交えて丁寧に解説します。初心者の方でも「なるほど!」と納得できるように構成しました。


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Docker(ドッカー)とは?

Dockerとは、アプリを 「コンテナ」 という独立した箱に閉じ込めて動かす技術です。
この箱の中にはアプリ本体、必要なライブラリ、設定などがまとめて入っており、どこでも同じ環境でアプリを実行できます。

イメージすると、引っ越してもそのまま使える家具付きの部屋のようなものです。


Dockerのすごいところ

  • どこでも動く
    自分のPCでもクラウドでも、Dockerさえあれば同じ動作環境が再現できます。
  • 準備がカンタン
    アプリに必要なものはすべてコンテナ内にあるので、複雑な設定なしですぐに起動可能。
  • 他のアプリと干渉しない
    それぞれのコンテナは独立しているため、アプリ同士が競合する心配がありません。

Windows専用の箱「Windowsコンテナ」

Dockerには大きく分けて2種類のコンテナがあります。

  1. Linuxコンテナ
    一般的に利用される基本的なコンテナ。Webアプリやサーバーで広く使われています。
  2. Windowsコンテナ
    Windowsアプリ(.exe形式や.NET Frameworkアプリなど)を動かすための特別なコンテナ。

こんなときに便利です。

  • Windows Serverでしか動かない古いツールを試したい
  • 以前作ったWindowsアプリを最新環境で再現したい

👉 Linuxコンテナは「万能工具箱」、Windowsコンテナは「専用工具箱」とイメージすると分かりやすいです。


WindowsでDockerを使う準備

2025年現在、WindowsでDockerを使う場合は Docker Desktop を導入するのが一般的です。

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Docker Desktopのインストール

  1. Docker公式サイトから「Download for Windows」をクリック。
  2. ダウンロードしたインストーラ(.exe)を実行。
  3. 管理者権限が求められる場合は許可。
  4. 推奨設定のまま進めればOK。

裏側で必要になる技術

  • WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)
    Windows上でLinuxを高速に動かす仕組み。Linuxコンテナで利用されます。
  • Hyper-V
    Windows標準の仮想化機能。Windowsコンテナの実行に利用されます。

※インストール時に「WSL2」と「Hyper-V」の有効化を求められる場合があります。基本的には推奨のままで進めれば問題ありません。


Windowsコンテナを有効化する方法

インストール直後のDocker Desktopは通常「Linuxコンテナ」モードになっています。Windowsアプリを動かすには切り替えが必要です。

  1. タスクバーのDockerアイコン(クジラマーク)を右クリック。
  2. Switch to Windows containers」を選択。
  3. Dockerが再起動し、Windowsコンテナモードに切り替わります。

これで準備完了です。


Windowsコンテナを実行してみよう

試しにMicrosoftが提供している軽量な Windows Server Core コンテナを起動してみます。

実行コマンド

docker run -it mcr.microsoft.com/windows/servercore:ltsc2022 cmd

コマンドの意味

  • docker run : 新しいコンテナを起動
  • -it : コンテナ内で入力と出力をやりとりするモード
  • mcr.microsoft.com/windows/servercore:ltsc2022 : Microsoft公式のWindows Server Coreイメージ
  • cmd : コンテナ内でコマンドプロンプトを実行

✅ 実行すると、あなたのPC内で「もうひとつのWindows」が立ち上がり、基本的なコマンド操作が可能になります。
終了するときは exit と入力してください。


最新の動向・注意点

1. Windowsコンテナの2種類の実行モード

Windowsコンテナには、実は2種類のモードがあります。

  • プロセス分離モード
    ホストOSのカーネルを共有するため、動作が軽く高速。
    ただし、ホストOSと完全に同じバージョンである必要があります(例:Windows Server 2022上でWindows Server 2022コンテナ)。
  • Hyper-V分離モード
    軽量な仮想マシン上でコンテナを実行するため、多少重いですが互換性が広がります。
    Windows 11上でも古めのWindows Server Coreコンテナを動かすことが可能です。

👉 開発環境ではHyper-Vモードが便利本番環境では軽量なプロセス分離モードを選ぶケースが多いです。


2. コンテナイメージのサイズ問題

Linuxコンテナと比べて、Windowsコンテナはイメージサイズが大きく(数GB規模)、ダウンロードに時間がかかります。
そのため、初回の docker pull では時間がかかりますが、2回目以降はキャッシュが使われるので速くなります。

👉 Tips: 自宅の回線が不安定な場合は、夜間にダウンロードしておくとスムーズ。


3. Windows 11 Homeでの制限

Windows 11 HomeでもDocker Desktopは動作しますが、Hyper-Vが標準で無効化されているため WSL2ベースのLinuxコンテナが基本になります。
もしWindowsコンテナを本格的に使いたいなら、Proエディションへのアップグレードを検討すると安定します。


4. よく使われる公式Windowsコンテナイメージ

Microsoftは公式に以下のイメージを配布しています(2025年現在)。

  • mcr.microsoft.com/windows/servercore:ltsc2022
    軽量なWindows Server環境。実験やツールの実行に便利。
  • mcr.microsoft.com/windows/nanoserver:ltsc2022
    さらに軽量なNano Server版。GUI不要のサービス向け。
  • mcr.microsoft.com/dotnet/framework/runtime
    .NET Frameworkアプリを動かすためのイメージ。

👉 使いたいアプリに合わせてイメージを選ぶのがコツです。


5. ライセンスと商用利用の注意点

  • Windowsコンテナを本番環境(商用サービス)で使う場合は、Windows Serverライセンスが必要になるケースがあります。
  • 開発・学習用途なら基本的に無料ですが、業務利用ではライセンス条項を確認してください。

6. Docker Desktopの商用利用制限

Docker Desktop自体も、一定規模以上の企業(従業員250人以上 or 年商1000万ドル以上)は有料プラン契約が必要です。
個人や小規模事業者は無料で利用可能です。


7. 開発効率化の小ワザ

  • 永続化ボリュームを活用
    コンテナは基本「使い捨て」ですが、ボリュームをマウントすることでデータを残せます。
    例: docker run -it -v C:\data:C:\appdata mcr.microsoft.com/windows/servercore:ltsc2022 cmd
  • VS CodeのRemote Containers拡張
    Visual Studio Codeの拡張機能「Dev Containers」を使うと、コンテナ内で直接開発可能。Windowsコンテナにも応用できます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 古いパソコンでも動きますか?
A. Windows 10/11 Pro 64bit版以上で、メモリ8GB以上が推奨です。古いPCでは動作が遅くなる可能性があります。

Q. Linuxコンテナの方が人気なのはなぜ?
A. WebサービスやクラウドがLinuxベースで動いていることが多いためです。ただし、.NET FrameworkやWindows専用アプリを扱うならWindowsコンテナが必須です。

Q. Windows 11 Homeでも使えますか?
A. 使えますが、Hyper-Vが制限されるためWSL2ベースでの利用が中心になります。Windowsコンテナ利用時にはPro版が安定しやすいです。


まとめ – Windowsコンテナでアプリを自由に

  • Dockerはアプリを「魔法の箱」に詰める技術
  • WindowsコンテナはWindowsアプリ専用の箱
  • Docker Desktopを導入 → Switch to Windows containers → docker run で実行可能

最初は難しそうに見えても、実際に触ってみると理解が早まります。
ぜひWindowsコンテナを使って、古いアプリの再利用や開発環境の効率化を体験してみてください。

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