ワンルームマンション投資は本当に儲かる?
~借入の落とし穴と見落としがちなコストを徹底解説!~
「不動産投資は安定した収益を生む」
と言われ、特にワンルームマンション投資は
「初心者でも始めやすい」
と人気があります。
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しかし、実際に購入した後にかかる費用や、借入を利用した際のリスクを知らずに始めると、思った以上にお金がかかり、
「儲かるどころか赤字…」
というケースも少なくありません。
私は税理士事務所で勤務時代に、個人の不動産投資家の方の担当をしていましたが、初心者投資家の方は、不動産購入後に必要な経費を知らない方が多くいらっしゃいました。
そこで今日は、ワンルームマンション投資を考えている方向けに、借入のリスクや見落としがちなコストについて詳しく解説します。
借入でワンルームマンションを購入するリスク
ワンルームマンション投資を始める際、銀行などの金融機関から借入(ローン)を利用する方もいらっしゃいます。その場合の、注意すべきポイントを見ていきましょう。
① ローン返済額と家賃収入のバランス
銀行のローンを組んでマンションを購入した場合、月々の返済額が発生します。
例えば、3,000万円の物件を金利2%・35年ローンで購入すると、毎月の返済額は約10万円です。
しかし、家賃相場が8万円の場合、家賃収入だけではローン返済額をカバーできず、赤字になる可能性があります。
② 金利上昇リスク
変動金利で借入をした場合、金利が上昇すると返済額が増加する事はみなさまご存知かと思います。
例えば、金利が1%上がると、毎月の返済額が1~2万円増えることもあるのです。
「今は低金利だから大丈夫」
と思っていても、将来的なリスクを考慮する必要があります。
③ 空室リスク←これ重要
ワンルームマンションは入居者が1人しかいないため、空室になると収入がゼロになります。
「空室になる事など無い」なんて事は無いです。
借りたい人は、より良い条件の賃貸を選びます。
しかし、ローン返済は続くため、空室が数ヶ月続くと大きな負担になります。
*物件によっては空室保証(空室による家賃収入の減額を補填してもらうサービス)もあるので、空室保証のある物件を探すのもオススメです。
見落としがち!維持費・手数料を要確認!
マンション購入後には、想定以上の費用が発生します。
① 管理費・修繕積立金
購入したマンションには毎月、管理費や修繕積立金の支払いが必要です。
例えば、管理費5,000円+修繕積立金1万円=1.5万円の出費が毎月必要になります。
買えば終わりでは無いのです。毎月の費用をついつい見逃してしまいますが、実は要確認ポイントだったりします。
② 固定資産税・都市計画税
ワンルームマンションを所有している限り、毎年、固定資産税と都市計画税がかかります。
(例)3,000万円のマンション → 年間15万円~20万円程度。
タワーマンションなどの高層階を購入した場合、固定資産税や相続税の評価額が階層によって異なることがあります。特に、2018年以降に新築された高さ60メートル超(おおよそ20階建て以上)のマンションでは、階層別専有床面積補正率が導入され、高層階ほど固定資産税の負担が増加する仕組みとなっています。具体的には、1階を100%とし、階が1つ上がるごとに約0.256%ずつ増加します。例えば、10階の場合は約102.56%、20階では約105.12%となり、40階では約110.24%となります。 <引用・税理士法人FP総合研究所より>
③ 不動産会社への管理委託費
入居者の募集や家賃回収を不動産会社に依頼する場合、管理手数料(家賃の5~10%)が発生します。
以下、家賃 50,000円 のワンルームマンションを不動産会社に管理委託した場合の委託費の計算例です。
不動産会社への管理委託費は 家賃の5%~10% が一般的です。
家賃 50,000円 の場合、管理費の目安は以下の通りです
管理委託費の計算例(家賃50,000円の場合)
委託手数料割合 | 月額委託費(円) | 年間委託費(円) |
---|---|---|
5%(最低水準) | 2,500 | 30,000 |
7%(一般的) | 3,500 | 42,000 |
10%(高め) | 5,000 | 60,000 |
管理委託費に含まれる業務内容
不動産会社の管理サービスには、以下のような業務が含まれます。
✅ 家賃の集金・入金管理
✅ 入居者からのクレーム・トラブル対応
✅ 退去時の精算・敷金管理
✅ 修繕手配(軽微な修繕の場合)
✅ 入居者募集・広告掲載(別途費用がかかることも)
という風に、家賃 50,000円 の場合、管理委託費は 2,500円~5,000円/月(年3万~6万円) ほどかかるという事になります。
④ 修繕・リフォーム費用
エアコンの故障や壁紙の張り替えなど、入居者が変わるたびにリフォーム費用が発生します。
特に築年数が経つと、修繕費が高額になることもあります。
私の友人も、都内でワンルームマンションをいくつも購入しましたが、古い物件ばかりを購入したせいで、今、修繕費に翻弄されています。
話を聞くと、古い物件でもリノベーションして販売するのが主流になっていて
逆に、そうしないと借主が見つからない事もあるようで
「収入があっても、修繕費にほとんど持っていかれる」
と嘆いています。
⑤ 売却時の手数料・税金
将来、マンションを売却する際には、不動産会社への仲介手数料や譲渡所得税がかかります。
特に購入から5年以内の売却では、税金が高くなるため注意が必要です。
>>5年未満で不動産を売却すると税金が高額になるのは、「短期譲渡所得の課税」 によるものです。
短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い
不動産を売却した際に発生する所得(譲渡所得)には、所有期間 によって 「短期譲渡所得」 と 「長期譲渡所得」 の2種類があり、税率が異なります。
- 「収支シミュレーション」をしっかり行おう!
ワンルームマンション投資を始める前に、事前の収支シミュレーションが必須です。
例えば、以下のような計算を行い、黒字になるか確認しましょう。
収支シミュレーション表
項目 | 金額(円) |
---|---|
家賃収入 | 80,000 |
ローン返済 | -100,000 |
管理費・修繕積立金 | -15,000 |
固定資産税(月割) | -12,500 |
管理手数料(家賃の5%) | -4,000 |
手取り収益(毎月) | -51,500 |
このように、借入の返済額によっては、毎月赤字になる場合があります。
それらを考慮しておくことが必要です。
不動産投資を成功させるためのポイント
ワンルームマンション投資で失敗しないために、以下の点を押さえておきましょう。
❶ 借入額を抑え、自己資金を増やす
→フルローンではなく、頭金を用意するとリスク軽減。
❷金利や返済額をしっかりシミュレーションする
→固定金利か変動金利かを慎重に選ぶ。
❸空室リスクを考慮し、立地選びを慎重に
→賃貸需要の高いエリアを選ぶ。
❹ランニングコストを細かく計算する
→手数料や維持費を事前にチェック。
まとめ:ワンルームマンション投資は慎重に!
ワンルームマンション投資は魅力的に見えますが、借入や維持費の負担が大きく、慎重な資金計画が必要です。
自己資金を、どの程度出せるのか?という点も大きく関わってくると思います。
「簡単に儲かる」
と思って飛びつくと、逆に赤字に苦しむことになりかねません。
「実際にいくらの収益が得られるのか?」
をしっかり計算し、リスクを理解した上で投資を検討しましょう!