個人事業主が突然死したときの確定申告・青色申告の対応方法【家族向けガイド】

はじめに:遺された家族が最初に戸惑う「確定申告」のこと

個人事業主が亡くなったとき、多くのご家族が混乱するのが「確定申告」の手続きです。

私は長年、税理士事務所で働き、たくさんの相続税申告手続きをしてきました。

その中でもとくに、青色申告や事業収入がある場合、亡くなった本人の最終の申告(準確定申告)が必要となり、さらに相続税の申告や手続きが並行して発生してくる事を多くの方がご存じない事を知りました。

そこで今日は、元税理士事務所勤務の視点も交えて、突然の訃報のあとに遺族がすべき「確定申告・青色申告・相続税」の手続きと流れをわかりやすく解説します。

個人事業主が亡くなったとき、家族がすべき主な税務手続きは?

手続きの種類内容期限
準確定申告亡くなった年の1月1日~死亡日までの所得を申告死亡日から4か月以内
相続税の申告相続財産(不動産・預金・事業資産など)の申告死亡日から10か月以内
開業・廃業届の提出事業を承継または廃業する場合の届出原則、廃業後1か月以内
消費税の申告課税事業者であれば、消費税の準確定申告も必要同上(4か月以内)

【ステップ1】準確定申告とは?亡くなった人の“最後の確定申告”

■ 準確定申告とは?

「準確(じゅんかく)」と私たちが呼んでいた

「亡くなった個人事業主に代わって、その年の所得を相続人が申告・納税」

する手続きの事を言います。

死亡日までの事業収入や経費、医療費控除なども対象になるので、ほとんどの方が対象になる人生最後の確定申告です。

■ 申告が必要な人は?

原則、相続人全員の連名で申告します。

実務上は代表相続人が行うことが多いです。

とても複雑な書類が必要になってきますので、税理士事務所にお願いする事をお勧めします。

■ 申告期限は?

死亡日から4か月以内に提出。

通常の確定申告(翌年3月15日)よりも早いため注意!

■ 申告に必要な書類例

• 本人の死亡日までの帳簿・領収書

• 確定申告書(青色または白色)

• 控除証明書(生命保険料・医療費など)

• 源泉徴収票(ある場合)

• 住民票の除票

• 戸籍謄本(相続人確認用)

【ステップ2】青色申告の場合は「帳簿整理」に注意

青色申告は、65万円または55万円の特別控除などが受けられるため、準確定申告でもできれば適用したいところ。

■ 青色申告の条件は「帳簿」が整っていること

ただし注意点があります

• 複式簿記で記帳していること

• 正確な損益計算書・貸借対照表が作れること

もし、生前に帳簿がきちんとつけられていないと、白色申告に切り替える必要があることもあります。

【ステップ3】相続税の申告も忘れずに

相続税の相談をしている家族

準確定申告とは別に、相続税の申告も必要になる場合があります。

■ 相続税の申告が必要なケース

• 相続財産の合計が基礎控除額を超える場合

相続税の基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

■ 個人事業主ならではの相続財産とは?

• 事業用の預金や現金

• 事業用資産(車両・備品・設備など)

• 売掛金・在庫

• 居住用不動産(兼事務所の場合も)

これらの評価額をすべて含めて判断します。

【ステップ4】事業を引き継ぐ?廃業する?の判断も必要

個人事業主が亡くなると、その事業は基本的に終了扱いとなります。

相続人が事業を続ける場合、新しく「開業届」を出す必要があります。

もし継がない場合は、「廃業届」「青色申告取りやめ届」などの提出が必要です。

【ステップ5】専門家に早めに相談しよう

税理士のサポートがあると、以下の点で非常に助かります:

• 帳簿の整理と青色申告の判断

• 準確定申告の作成と提出

• 相続財産の評価と申告

• 税務署からの問い合わせ対応

特に「亡くなってから2か月以上経ってから相談に来たケース」では、書類が散逸していたり、期限が差し迫っていて焦るご家族が多い印象です。

まとめ:亡くなった年の「確定申告」は、家族がする必要があります

個人事業主が突然亡くなった場合、

「相続税の申告」だけでなく、「準確定申告」も必要になることを、ぜひ知っておいてください。

• 準確定申告の期限は「死亡日から4か月以内」

• 相続税の申告は「10か月以内」

• 青色申告の場合は帳簿確認を早めに

• 事業の継続 or 廃業も届け出が必要

遺されたご家族の不安や混乱を少しでも減らせるように、この記事が役に立てば嬉しいです。

国税庁「納税者が死亡したときの確定申告」

国税庁「相続税」

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あとがき・・

今回、このように「事業主の突然死」について書こうと思ったのは、先月私の友人(フリーランス)が突然、脳失血で亡くなったことが始まりです。

遺族は、友人のスマホのロックが解除できなかったり、ネットバンクが解約できず困り果てていました。

そして私のところに相談に来られたのですが・・本当に大変です。(現在進行形)

10年前なら、各相談窓口などで、所定の手続きをとれば簡単に対応できたことも、今は個人情報の観点や、盗難のためのセキュリティ強化によって、それらが大きな壁となって、遺族にのしかかっています。

そのことを目の当たりにした私は、1人でも多くのフリーランス・個人事業主の方に

「残された人は大変な目にあう」

という事実を知って欲しくて、書くことにしました。

どれだけの人が見てくださるかわかりませんが、1人でも多くの方に

「生きているうちに、しておかなければいけないこと」

を理解してくださるよう、頑張って発信していこうと思っています。


拙い文章ですが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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