
はじめに
2025年7月に配信されたWindows 11の月例更新プログラム「KB5062552(23H2向け)」および「KB5062553(24H2向け)」の適用後、一部ユーザーから
「PCが起動しない」
「ファイアウォールが消えた」
「インターネットに繋がらない」
といった声が多く聞かれています。
これは、システム全体に関わる問題が複数発生している状況だといえます。
そこで今日は、これらの更新プログラムの概要と、発生している主な不具合、そして影響を受けやすい環境や回避策について、わかりやすく詳しく解説していきたいと思います。
KB5062552 / KB5062553とは?
これらは、2025年7月9日(日本時間)に配信された累積更新プログラムです。Windows 11のセキュリティ強化やバグ修正を目的としており、以下のバージョンに適用されます。
- KB5062552:Windows 11 バージョン 23H2 向け
- KB5062553:Windows 11 バージョン 24H2 向け
いずれも内容はほぼ共通で、自動的にWindows Updateを通じてインストールされる仕様になっています。
アップデート適用前に行うべき準備
Windowsアップデートによるトラブルを防ぐためには、あらかじめ以下のような準備を行っておくことが非常に有効です。
- バックアップの取得:Windowsの回復ドライブや外付けストレージを使い、現在の状態を保存しておくことが重要です。
- ストレージ容量の確保:Cドライブに最低でも10GB以上の空き容量があることを確認しましょう。
- ドライバの最新化:特にグラフィックやネットワークアダプタのドライバが古いと、互換性の問題が起きやすくなります。
- 不要なUSB機器の取り外し:外部デバイスが干渉してアップデートが失敗する例も多く報告されています。
これらを確認するだけでも、アップデート後のトラブルを未然に防げる可能性が高まります。
現在報告されている主な不具合
多くのユーザーから、以下のような症状が報告されています。
インストールエラー(0x800f0922など)
アップデート中にインストールが失敗し、0x800f0922 や 0x80242016 といったエラーコードが表示されるケースが目立っています。これはセキュアブート設定や破損したWindowsファイル、ドライバの不整合などが原因と考えられています。
ファイアウォール設定のリセット
アップデート後、Windowsセキュリティのファイアウォール設定が初期化され、一部のアプリがインターネットに接続できなくなる現象が確認されています。特にビジネス用途のPCで、VPNや業務システムにアクセスできなくなるケースが多発しています。
起動不能(自動修復ループ)
GIGABYTE製マザーボードを搭載したPCや、富士通・マウスコンピューターの特定モデルにおいて、Windowsが起動しなくなる深刻な事例が報告されています。再起動を繰り返し、正常にログインできないという声が相次いでいます。
ファイアウォール設定の確認と修復方法
もしネットワークに接続できなくなった場合は、以下の手順でファイアウォール設定を確認してみましょう。
- スタートメニューから「Windows セキュリティ」を開く
- 「ファイアウォールとネットワーク保護」をクリック
- 「アプリがファイアウォールを通過できるようにする」を選択
- リストから該当アプリを探し、通信を許可する(プライベート/パブリック)
設定がリセットされている場合は、ここで再度手動で許可を設定してください。特にZoomやDropbox、ブラウザ、VPNクライアントなどが影響を受けやすい傾向があります。
影響を受けやすいPCの傾向
以下のような構成・環境を持つPCで、不具合の報告が集中しています。
特徴 | 詳細 |
---|---|
GIGABYTE製マザーボード | BIOSが古く、セキュリティ機能との不整合が発生しやすい |
富士通製ノートPC | 2020〜2022年発売モデルで起動障害の例が多数 |
マウスコンピューター製PC | 独自セキュリティツールとの干渉報告あり |
TPM 2.0 / セキュアブート有効 | 設定が厳格なほど、アップデートによる不具合が発生しやすい |
これらの環境では、Windowsの更新に含まれるセキュリティ機能やシステム変更が、既存のハードウェアや設定と競合する可能性が高くなっています。特に、BIOSのバージョンが古いままのPCや、プリインストールされた独自ソフトウェア(富士通やマウスコンピューターに多い)を利用している場合、アップデート時に想定外の挙動が発生しやすい傾向があります。
また、セキュアブートやTPMといったセキュリティ機能は、更新プログラムの認証処理に大きく関わるため、これらが正しく構成されていないとインストールエラーや起動トラブルにつながることがあります。メーカーや構成によって差が出やすいため、「他の人が問題なかったから大丈夫」という思い込みは禁物です。
対処法と回避策
不具合が出た場合は、まずはセーフモードでの起動を試みましょう。セーフモードに入れたら、以下のコマンドでKBをアンインストールすることが可能です。
または
で、実行して下さい。(これでアンインストールできます)
* 自動修復でも復旧しない場合は、回復ドライブを使った復元、またはシステムの再インストールも視野に入れます。▶︎【解説記事】PCにログインできない!?Windows 11ユーザー必見の対処法
今後のWindowsアップデートにも注意が必要
Windows 11は今後も大型アップデートを繰り返しながら、AI機能やセキュリティを中心に急速に進化していくとされています。そのため、古い環境やドライバとの互換性問題はさらに顕著になっていくでしょう。
とくに24H2では、Copilotの搭載や新しいセキュリティ基準、ドライバ署名制限の強化が行われており、アップデートのたびに慎重な対応が必要です。企業利用やリモートワークでPCを活用している方は、更新内容を確認してから適用する姿勢が重要になってきます。
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まとめ
KB5062552(23H2)およびKB5062553(24H2)は、内容としては非常に重要な更新である一方で、特定のPC構成や設定によっては深刻な不具合を引き起こす可能性があります。今後のアップデートに備え、常にバックアップと事前準備を欠かさず、もしものときにも冷静に対応できるよう備えておくことが大切です。
もし今回のアップデートで問題が起きていない場合でも、今後の大型アップデートで同様のトラブルが発生する可能性は十分にあります。今回の件をきっかけに、日頃からの備えや知識のアップデートを意識してみてください。
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