【2025年11月更新】Microsoft Azureで障害発生?原因・影響・対処法まとめ

世界地図に Azure ロゴが配置され、一部に赤い「エラー」マークや警告アイコン
【状況アップデート|2025/11/5(JST)】
10/29(UTC)に発生した Azure Front Door(AFD) 起因の広域障害は復旧済みですが、 影響抑止のため AFD の構成変更(作成/更新/削除/キャッシュPurge)が全世界で一時ブロック されていました。 公式の履歴・PIR(暫定版)では、11/5(UTC)に制限解除見込みと案内されています。 最新情報は Azure Status と Azure Service Health をご確認ください。 (参考:Status履歴/PIR・MS Q&Aの現場報告)

はじめに

Azureは今や企業システムや行政、個人のクラウドサービスにまで広く使われており、私たちの生活や仕事を支える“インフラ”のひとつになっています。だからこそ、障害が起こると「自分の環境だけ?」「復旧までどれくらい?」と不安になりますよね。

ただ、クラウドは停止しないわけではありません。今回のようにAzure Front Door(AFD)など基盤部分でトラブルが発生すると、世界的に影響が広がることもあります。本記事では、最新の障害状況とあわせて、なぜ起こるのか・どんな影響があるのか・そしてユーザー側ができる現実的な備えや対処法を、できるだけわかりやすくまとめました。

「とりあえず今どうなっているのか知りたい」

「自分の環境で何をすればいいのか知りたい」

という方の参考になれば幸いです。


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Azureとは?

AzureはMicrosoftのクラウドコンピューティング基盤で、世界60を超えるリージョンに展開。仮想マシン(Compute)、PaaS、AI、データベース、そしてAzure Storage(Blob/Files/Data Lakeなど)を提供します。※OneDriveはMicrosoft 365のSaaSであり、Azureのストレージ製品名ではありません

(基盤にAzureを使いますがカテゴリは別)。


最近の“実例”で見る:何が起きた?

2025年10月29日:Azure Front Door(AFD)障害
AFDの不正な構成変更がきっかけとなり、AzureポータルやMicrosoft 365/Teams/Xboxなど広範なサービスで遅延・タイムアウトが発生。 マイクロソフトは AFD経由を停止(フェイルアウェイ)既知良好構成へロールバック を実施。 影響拡大防止のためAFDの構成変更をグローバルで一時ブロック(作成/更新/削除/パージ)し、段階的に解除へ。 詳細は Status の履歴と暫定PIRを参照。
参照:Azure Status(History/PIR)


なぜ起こる?主な原因とイメージ

  • ネットワーク系:海底ケーブル断・経路変更で遅延や帯域逼迫(例:紅海)。
  • データセンター設備:電源・冷却・ストレージ故障など。
  • 制御プレーン/更新:管理系の不具合やロールアウトの不整合(例:Allocator)。
  • セキュリティ事象:DDoS等による一時的劣化。

用語ミニ解説:可用性ゾーン(AZ)は同一リージョン内で物理的に分離されたデータセンター群。電源・ネットワーク・冷却が独立し、ゾーン跨ぎ配置で耐障害性が向上します(対応は地域による)。


構成・プラットフォームバグ:特定のテナント設定や構成変更が、プラットフォーム側の潜在的バグを誘発するケース(例:2025年10月のAFD障害)。クラウドの複雑化により、設定×コードの相互作用リスクが増加傾向。


障害の影響範囲:どこに波及する?

  1. 企業システム:基幹/ECの停止や性能劣化→売上・SLAに直結。
  2. テレワーク/コミュニケーション:Microsoft 365(Teams/Outlook/OneDrive等)も影響を受けることがあるが、Microsoft 365は別のService healthで確認します。
  3. 公共分野・教育:行政手続き・授業配信の停止/遅延など社会的影響。

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ユーザーが今すぐできる実践対策

1. 障害情報の取り方を正しく

  • Azure status(公開ページ)広域インシデントを俯瞰。RSS配信あり(速報取得に便利)。
  • Azure Service Health(ポータル)自分のサブスク/リージョンに影響するイベントを個別に表示・通知。計画メンテ/インシデント/RCAを一元管理。
  • Microsoft 365 Service health:Teams/Outlook等はMicrosoft 365 管理センター > Healthで確認。

Tips:Azure statusのRSS→Power AutomateやTeams連携で自動通知にすると、担当者の初動が速くなります。

2. 設計で“止まりにくさ”を上げる

  • ゾーン冗長:AZ対応リージョンではVM/Managed Disks/データベースをゾーン跨ぎに配置。単一DC障害を吸収。
  • リージョン冗長:DR用にペア/別リージョンへ複製(例:GZRS、Azure Site Recovery、Geo-Replication)。
  • ネットワーク代替経路:ExpressRoute+VPNの二重化、Anycast/DNSフェイルオーバーで経路障害を回避(紅海事案のような広域遅延に備える)。
  • SaaS代替:コミュニケーションは二系統(Teams+Zoom/Google Meet等)を用意。

3. 運用で“回復の速さ”を上げる

  • BCP「Azureが1時間使えない」シナリオで手順書を作り、年1回は演習。
  • バックアップ別リージョン/別クラウド/オンプレのいずれかに定期コピー
  • 変更管理:ロールアウトは段階的に。重大更新はカナリア+ロールバック手段を常備。
  • 監視/通知:Azure Monitor/Log Analytics+Service Healthアラートで人に届く通知設計。

個人/小規模の応急処置:
・Outlookが不調のときは、スマホにIMAP/SMTPで直接追加して連絡だけ繋ぐ。
・Teamsが重いときは、社内の二次系(Zoom/Meet)へ切替。
・広域遅延のときは、VPNを一時OFF/別経路に切り替えて体感を比較。


エッジ層の冗長化:Azure Front DoorやCDNを利用する場合は、フェイルオーバー経路(DNSフェイルオーバー・別CDN・直通経路)をあらかじめ設計しておく。監視にはFront Door Metrics+Application Insightsの併用が有効。

AFD構成変更がブロックされている時の回避策

  • オリジン直結のバイパス経路を一時用意(DNSでAFDを外しオリジンへ/WAFは代替にて最小構成)。
  • 別CDN/別エッジ(例:Azure CDN Standard/別プロバイダー)を暫定系として用意。
  • 証明書更新やルーティング変更は解除後に計画。やむを得ない場合はAFDを経由しない経路側で実施。
  • 監視:Front Doorのメトリクス+Application Insights(可用性テスト)でAFD経由/直結の両方をヘルスチェック。

※「All Changes to Azure Front Door Configuration are blocked currently.」というエラーは既知。解除予定はAzure Service Healthの連絡を参照。


よくある質問(Q&A)

Q1. Azureの障害はどこで確認できますか?
A. 公開ページ「Azure status」で全体の障害を確認できます。個別のサブスクリプション影響は「Azure Service Health(ポータル)」で通知を受け取れます。Microsoft 365の障害は別の「Microsoft 365 Service health」で確認が必要です。

Q2. AzureとOneDriveの障害は同じですか?
A. OneDriveはMicrosoft 365のSaaSで、基盤にAzureを利用しています。Azure側の広域障害でOneDriveに影響するケースはありますが、障害情報の確認ページは別です。

Q3. 個人利用でも障害対策は必要ですか?
A. 必須ではありませんが、OutlookやTeamsが止まった時に備えて、スマホにIMAPでメールを追加しておく・ZoomやLINEを代替連絡手段にするなど、最低限の“逃げ道”は役立ちます。

Q4. マルチクラウドは個人でもやった方がいい?
A. 企業規模では有効ですが、個人ではコストがかかるためおすすめしません。むしろ「バックアップを別クラウド(Google DriveやDropbox)にも置く」程度で十分です。

Q5. Azureの障害は増えているのですか?
A. 増えているわけではなく、社会的依存度が上がったために「ニュースやSNSで取り上げられやすくなった」という側面が大きいです。Microsoftは毎回PIR(事後報告)を公開し、再発防止策を実施しています。

まとめ

まとめ

Azureのような大規模クラウドは非常に高い信頼性を持っていますが、それでもゼロダウンタイムではありません。特に今回のように、Azure Front Door(AFD)やネットワーク・制御プレーンといった基盤部分で障害が起こると、Microsoft 365・企業システム・個人利用まで幅広く影響することがあります。

しかし、正しい情報源と準備さえあれば「止まって終わり」ではなく、影響を最小限に抑えたり、素早く復旧することは十分可能です。

  • 🔹 Azure status と Service Health で“事実”を確認(SNSだけで判断しない)
  • 🔹 ゾーン冗長・別リージョンへのバックアップなど、構成で止まりにくくする
  • 🔹 フェイルオーバー・代替連絡手段など、運用で戻りやすくする

クラウド障害は完全に避けることはできませんが、「備えていれば怖くない」ものです。大切なのは、障害を恐れることではなく、正しく理解し、準備しておくこと。それだけで、同じ障害に遭っても「慌てず・振り回されず・冷静に動ける」ようになります。

今回の記事が、その第一歩としてお役に立てば幸いです。

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