プリソンスマニュエル 第3話

悪霊が消え去った後、あかりは周りを見渡した。案の定誰も今起こった出来事に気づいていない。

瞬が大きな音を出し崩れ落ちた事にも気づいていないようだった。

あかりは慌てて瞬を椅子に座らせ、両手をかざした。眩しい光が手から瞬へを流れ込み、瞬は一度激しく深呼吸をして気を取り戻した。

「大丈夫ですか?」

あかりは瞬に声をかけた。

瞬は荒い呼吸で「ありがとうございます」と言うのが精一杯だった。

「私のことは、誰にも言わないで欲しいのです。」とだけ言うと、席をたった。しかし、それを阻止するように瞬は「教えて欲しいのです!」と言いながら、あかりの手首を強く捕まえた。

あかりは立ち止まり、瞬に背を向けたま

「あなたを救うのは私の仕事ではありません。ただ放っておけなかっただけです。」

というと、瞬は

「じゃあ、正式にお願いします。仕事として、これからも僕を助けてくれませんか?」

あかりは一瞬その言葉に怯んでしまったが

「もう2度とこの件には関わりません。」

語気を強めて言った。

瞬を横目で見ると、泣きそうな程悲しそうな表情を浮かべていた。しかし、それ以上は何も言わなかった。

あかりはその場を立ち去り、再び自分の平穏な日常に戻ろうとした。しかし、あかりの心には何か消化しきれない重荷が残されたままだった。

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