第六章 真実
瞬は再びカフェに向かった。
あの静かな場所で、彼女に全てを話すつもりなのだ。
カフェに着くと、あかりはすでに待っていた。
あかりの表情には、何かを期待するような気持ちが表れていた。
「瞬さん、昨夜は本当にありがとうございました」
あかりは瞬を見つけた途端、椅子から立ち上がり深々とお辞儀をした。
その姿をみて瞬は少し迷いながら、あかりの向かいの椅子に座りぽつりぽつりと語り始めた。
「私は子供の頃から、妙な力を持っていたのです。でも、それが何なのか、自分でもよく分からなくて…ただ、いつも人に知られないように隠し続けてきました。」
あかりはじっと瞬を見つめながら
「どうして隠そうとしたの?」
と言うと、瞬はひとつ大きく深呼吸をした。
「この力があるせいで、周りの人たちが怖がるかもしれないと思ったのです。
それに、誰かを巻き込む責任を負うのが怖かったんです。。」
「なんだ、そんなことか…」
とつぶやくあかりの言葉に瞬は驚き、同時に心が少しずつ解放されていくのを感じた。
「ありがとう、あかりさん。でも、もうこれ以上あかりさんを巻き込む事は出来ません。」
瞬は昨日の魔物を見る限り、あかりひとりに退治する事は不可能だと感じたのだった。
しかしあかりは
「私は、何故あの魔物が瞬さんだけを執拗に狙うのか知りたいんです。心当たりは無いのですか?」
瞬はその言葉に戸惑った。
これまで一人で抱えてきた秘密を誰かと共有することになるとは想像もしていなかった上、あかりの真剣な眼差しを前にして、瞬は次第に心を開き、
「おそらく…」
と話始めたのだった。