「あれ?さっきまで動いていたのに…」「最近、どうもパソコンの調子が悪い…」
そんな経験、ありませんか?原因不明のPCトラブルは、まるで迷宮入りした事件のよう。しかし、Windowsには、その謎を解き明かすための秘密の記録簿、「エラーログ」がひっそりと存在しているのです。
この記事では、あなたのPCでひそかに語られているエラーのメッセージを読み解き、トラブルの根本原因を特定、そして解決へと導くための実践的な知識とテクニックを、初心者の方にもわかりやすく解説します。もう、曖昧な不安やストレスとはお別れ!エラーログを味方につけて、快適なPCライフを取り戻しましょう。
Windowsエラーログって何?
Windowsエラーログは、システムやアプリケーションで発生したあらゆる問題、警告、そして正常な動作まで、詳細な記録を残している“PCの活動記録”です。まるでフライトレコーダーのように、何がいつ、どのように起こったのかを時系列で把握することができます。
▶︎このログを読み解くことで、以下のような疑問に対する手がかりが得られます。
①なぜ、あの時ソフトが突然落ちてしまったのか?
②最近、PCの動作が遅く感じるのはなぜ?
③新しい周辺機器がうまく動作しないのは何が原因?
このようにエラーログは、単なるエラーの記録だけでなく、PCの健康状態を知るための重要なバロメーターなのです。
イベントビューアーでエラーログを確認する
エラーログは、「イベントビューアー」というWindows標準搭載のツールを使って確認できます。
まるで探偵が事件現場を検証するように、イベントビューアーを使ってPCのトラブルシューティングを行いましょう。
ステップ1:イベントビューアーを起動する
①画面左下の「スタートボタン」を右クリックします。
②表示されたメニューから「イベントビューアー」をクリックします。
ステップ2:ログの種類を選択する
イベントビューアーの左側メニューには、様々なログが表示されます。トラブルシューティングで特によく確認するのは以下の2つです。
Windowsログ
システム・・ OSやハードウェア、ドライバーなど、システム全体に関わるエラーや警告が記録されています。
アプリケーション・・インストールされたソフトウェア(アプリケーション)のエラーや警告が記録されています。
ステップ3:エラーの詳細を確認する
左側メニューから「Windowsログ」を展開し、「システム」または「アプリケーション」を選択します。
▶︎中央の画面に、記録されたイベントの一覧が表示されます。「レベル」の列を確認し、「エラー」や「重大」と表示されている項目を探します。
💡気になるエラーをダブルクリックすると、詳細な情報が表示されます。
エラー詳細で確認すべきポイント
全般・・エラーが発生した日時、ソース(どのコンポーネントやアプリケーションで発生したか)、イベントID(エラーの種類を特定する番号)、説明などが記載されています。
詳細・・より技術的な情報が含まれている場合があり、特定のファイルやコードに関する情報が示されることもあります。
よくあるエラーログの原因と深掘りした対処法
ここでは、実際のエラーログでよく見られる原因と、より具体的な対処法を解説します。
■ 原因① ドライバーの不具合:ハードウェアとOSの連携ミス
▶︎症状
起動直後のブルースクリーン(BSOD)、特定の周辺機器(マウス、キーボード、プリンターなど)が認識しない、グラフィックボード関連のエラーによる画面の乱れ。
▶︎エラーログの兆候
システムログに、デバイス名やドライバー名に関連するエラーが記録されていることが多いです。イベントIDとしては、デバイスマネージャー関連のエラーなどが考えられます。
▶︎対処法
デバイスマネージャーからの更新
①スタートボタンを右クリックし、「デバイスマネージャー」を選択します。
②不具合が疑われるデバイスを右クリックし、「ドライバーの更新」を選択します。
→「ドライバーを自動的に検索」を試すか、「コンピューターを参照してドライバーを検索」で事前にダウンロードした最新版を指定します。
メーカー公式サイトからの最新版インストール
デバイスマネージャーでの更新で改善しない場合は、PC本体または周辺機器のメーカー公式サイトから、お使いのOSに対応した最新ドライバーをダウンロードしてインストールします。古いドライバーを完全にアンインストールしてからインストールすることを推奨します。
セーフモードでの確認
セーフモードで起動し、同様の症状が発生するか確認します。セーフモードで問題がなければ、最近インストールしたドライバーが原因である可能性が高いです。
■ 原因② Windows Update の失敗:OSの不安定化
▶︎症状
更新後にエラーが頻発する、起動やシャットダウンが繰り返される(再起動ループ)、特定の機能が利用できなくなる。
▶︎エラーログの兆候
システムログに、Windows Updateに関連するエラーや警告が記録されます。イベントIDには、UpdateClientやService Control Managerに関連するものが見られます。
▶︎対処法
トラブルシューティングの実行
①「設定」アプリを開き、「更新とセキュリティ」を選択します。
②左側のメニューから「トラブルシューティング」を選択します。
③「追加のトラブルシューティング ツール」をクリックし、「Windows Update」を実行します。
古い更新プログラムのアンインストール
①「設定」アプリを開き、「更新とセキュリティ」を選択します。
②「Windows Update」→「更新の履歴」→「更新プログラムをアンインストールする」を選択します。
③問題発生直前にインストールされた更新プログラムを選択し、「アンインストール」をクリックします。
システムの復元
💡問題発生前に作成した復元ポイントがあれば、システムをその時点の状態に戻すことで解決する場合があります。
DISM/SFCコマンドの実行
管理者権限でコマンドプロンプトを開き、
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
と
sfc /scannow
を実行し、システムファイルの修復を試みます。
■ 原因③ アプリケーションの不具合:ソフトの予期せぬ動作

▶︎症状
特定のアプリケーションだけが頻繁にクラッシュする、応答しなくなる、エラーメッセージが表示される。
▶︎エラーログの兆候
アプリケーションログに、問題が発生しているアプリケーション名や関連するエラー情報が記録されます。イベントIDはアプリケーションによって異なります。
▶︎対処法
アプリケーションの再インストール
問題のあるアプリケーションを完全にアンインストールし、最新バージョンを再インストールします。
互換性の確認
古いアプリケーションの場合、OSとの互換性に問題がある可能性があります。アプリケーションのプロパティから「互換性」タブを開き、互換モードの設定を試します。
イベントビューアーの「アプリケーション」ログの詳細確認
エラーの詳細情報(障害が発生したモジュールなど)をインターネットで検索することで、より具体的な解決策が見つかることがあります。
アプリケーションの製造元への問い合わせ
上記の方法で解決しない場合は、アプリケーションのサポートページを確認したり、製造元に問い合わせたりします。
■ 原因④ ハードディスクやメモリの異常:物理的な故障の兆候
▶︎症状
頻繁なフリーズ、ブルースクリーン、ファイルが破損する、起動に時間がかかる、突然のシャットダウン。
▶︎エラーログの兆候
システムログに、ディスク関連(Disk、atapiなど)やメモリ関連のエラーが記録されることがあります。ただし、物理的な故障の場合、エラーログに明確な記録が残らないこともあります。
▶︎対処法
▶︎「Windowsメモリ診断ツール」の実行
①Windowsキー + Rキーを押し、「mdsched.exe」と入力してEnterキーを押します。
②「今すぐ再起動して問題をチェックする(推奨)」を選択し、PCを再起動します。
→メモリ診断ツールが自動的に実行され、テスト結果が表示されます。
▶︎「chkdsk」コマンドの実行
管理者権限でコマンドプロンプトを開き、
chkdsk /f /r
と入力してEnterキーを押します。PCの再起動時にディスクのエラーチェックと修復が行われます。
*注意・・不良セクタが多い場合、修復に時間がかかったり、データが失われたりする可能性があります。
▶︎S.M.A.R.T.情報の確認
BIOSや専用ツールでハードディスクのS.M.A.R.T.(自己監視・分析・報告技術)情報を確認し、異常がないか確認します。異常が検出された場合は、ハードディスクの交換を検討する必要があります。
エラー内容を効果的に共有する方法:サポートへの橋渡し
PCのトラブルシューティングを自分で行うのが難しい場合、サポートセンターに問い合わせることがあります。その際、エラーログの情報を正確に伝えることで、スムーズな問題解決につながります。
効果的な共有方法
・スクリーンショット・・イベントビューアーのエラー詳細画面をスクリーンショットで保存し、共有します。エラー内容全体と、特に「全般」タブの内容がわかるようにしましょう。
・テキスト形式での保存・・イベントビューアーでエラーを選択し、右側の「操作」メニューから「イベントのコピー」→「テキスト形式でコピー」を選択し、テキストファイルに保存して共有します。
・イベントのエクスポート・・イベントビューアーでエラーを含むログ(システムまたはアプリケーション)を右クリックし、「すべてのイベントを名前を付けて保存」を選択して.evtx形式で保存し、共有することも可能です。ただし、サポート側が.evtxファイルに対応しているか確認が必要です。
伝えるべき追加情報
発生時の状況・・いつ、どのような操作をしたときにエラーが発生したのかを具体的に伝えます。
試した対処法・・すでに試した対処法とその結果を伝えます。
PCの構成・・OSの種類、型番など、PCの基本的な情報を伝えると、より的確なサポートを受けやすくなります。
困った時の応急処置:一時的な回避策
根本的な解決にはなりませんが、一時的にPCの動作を改善させるための応急処置を知っておくと役立ちます。
一時ファイルの削除(ディスククリーンアップ)
不要な一時ファイルが蓄積すると、PCの動作が遅くなることがあります。「ディスククリーンアップ」を実行して、これらのファイルを削除します。
①エクスプローラーを開き、Cドライブを右クリックして「プロパティ」を選択します。
②「全般」タブの「ディスクのクリーンアップ」をクリックします。
③削除したいファイルの種類を選択し、「OK」をクリックします。
システムの復元ポイントから戻す
以前作成した復元ポイントがあれば、システムをその時点の状態に戻すことで、最近発生した問題が解決することがあります。
①スタートボタンを右クリックし、「システム」を選択します。
②「システムの保護」をクリックし、「システムの復元」を選択します。
③推奨される復元ポイントを使用するか、別の復元ポイントを選択して「次へ」をクリックし、画面の指示に従います。
セーフモードで起動して問題の切り分け
セーフモードは、必要最小限のシステム構成でWindowsを起動するモードです。セーフモードで問題が発生しない場合、通常起動時に読み込まれるドライバやソフトウェアが原因である可能性が高いです。
①PCを再起動し、起動中にF8キー(またはShiftキーを押しながらF8キー)を連打します。
②表示されたメニューから「セーフモード」を選択します。
おわりに
Windowsエラーログは、一見すると難解なメッセージの集まりに見えるかもしれません。しかし、その内容を丁寧に読み解くことで、PCトラブルの原因を特定し、適切な対処を行うための重要な手がかりとなります。
PCの不調は、放置せずに早期に対処することが大切です。定期的にイベントビューアーをチェックする習慣をつけ、エラーログをあなたのPCからのSOSサインとして捉え、快適で安定したPCライフを送ってください。もし、どうしても解決できない問題に直面した場合は、この記事で紹介した方法でエラーログを共有し、専門家に相談してみてくださいね!