企業に

「指示がないと動かない職員に悩まされている」

という相談を受けることがあります。

こうした問題は、管理者だけでなく、職場全体の雰囲気や効率にも影響を与えがちです。

しかし、こうした状況に直面したとき、どのように対処すれば良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?

今日は、「指示がないと動けない」職員が生まれる背景やその原因、そして改善策について上級心理士の管理人が心理的要素も踏まえ、丁寧に掘り下げていきます。

誰もが気持ちよく働ける環境をつくるために『できること』を提案したいと思います。

「指示がないと動けない職員」とは?

まず、「指示がないと動けない」とはどういう状態なのか整理してみましょう。

このタイプの職員は、以下の特徴を持つことが多いです

• 指示された業務は正確にこなすが、それ以外のことには手をつけない。

• 自発的に動くことが少なく、仕事が滞ることがある。

• 上司や同僚からのフォローがなければ、行動に移せないことが多い。

皆様も、こうして具体的な特徴を目にすると、周りに心あたりはありませんか?

こうした行動が目立つ職員が職場にいると、周囲は

「もう少し自分で考えて行動してほしい」

と感じることが多くなるでしょう。

しかし、その背景には多くの原因が隠されていることもあります。

その要因を掘り下げて説明します。

「指示待ち」が生まれる背景と原因

「指示がないと動けない」という状況には、さまざまな原因が考えられます。

(1)職場環境の影響

職場の雰囲気やリーダーシップのスタイルが原因となることもあります。

<例>

明確な指示を求める文化が根付いている

 曖昧な指示や期待がない職場では、職員は

「自分で判断していいのか分からない」

と感じ、消極的になることがあります。

また、ある新入社員とミーティングした時に、指示を待つ姿勢に付いて質問すると

「自分の仕事がしっかり理解できていないから」

という答えをもらった事があります。

どこからどこまでが『自分の仕事だ』という認識が薄いという事が原因である可能性もあるのです。

失敗が許されない雰囲気

 過去に失敗を厳しく指摘された経験があると、職員は

「指示がなければ動かない方が安全」

と考えてしまうこともあるようです。

この考えをしている職員は結構多く、怒られた事へのトラウマは思っている以上に深刻だということです。

(2)個人の特性や経験

職員の個人的なバックグラウンドも影響します。

経験不足

 新しい業務や慣れていない環境では、自発的に行動する自信が持てないことがあります。

自己効力感の低下

 過去に成果が認められなかったり、自分の判断が否定され続けた経験があると、自発的な行動が減り、受け身になる傾向があります。

(3)コミュニケーションの問題

上司や同僚とのコミュニケーション不足が、「指示待ち」を生む場合もあります。

「職員が自発的に動くためには、『何を求められているか』なぜ明確な期待値が必要なのか?

職員が自発的に動けない背景には、

「自分が何をすれば良いのか分からない」

という不安や迷いが隠れていることがよくあります。

具体的な期待値が示されないと、

「これで合っているのだろうか」

「自分が判断して良いのだろうか」

といった疑念が生まれ、結果として行動を起こせなくなる場合があります。

明確な指示や期待値を伝えることで、職員が安心して業務に取り組めるようになるだけでなく、行動の自由度を与えることにもつながります。

「どこまでが任されている範囲なのか」

が明確になれば、その中で自分の裁量を活かせるようになり、自発性が高まります。

具体的にどのように伝えるべきか?

以下のポイントを意識して伝えることで、職員が理解しやすくなります。

1. 目標を具体的に設定する

抽象的な表現ではなく、数値や期限を含む具体的な目標を示すと、職員は自分がやるべきことを明確に理解できます。

<例>

• NG例:「今月中に売上を伸ばしてください」

• OK例:「今月末までに売上を10%向上させるために、○○の顧客へのアプローチを3件行ってください」

このように、目的・行動・結果を具体的に伝えることで、職員は自分の役割をイメージしやすくなります。

2. 業務の背景や意図を共有する

単に「これをやってください」と言うだけではなく、なぜそれが必要なのかを説明することで、職員の理解と納得感が深まります。

業務の意義や期待される成果を共有することで、職員はただの「作業」として捉えるのではなく、自分の役割を実感しやすくなります。

<例>

• 「この業務を行うことで、今後のプロジェクト全体がスムーズに進行します。」

• 「○○さんのスキルを活かして、より良い提案をクライアントに届けられると期待しています。」

などの声掛けも良いアプローチです。

3. 具体的な行動ステップを示す

職員が業務を進める際に迷わないよう、初期の段階では具体的な手順を示すのも有効です。

<例>

• 「まずAを行い、その結果に応じてBを進めてください。進捗状況を週に一度共有してください。」

こうした具体的なステップを示すことで、「何をすれば良いか」が明確になり、行動を起こしやすくなります。

4. 自由度の範囲を伝える

「どこまで自分で判断して良いのか」を伝えることで、職員は迷いを減らし、自分の裁量を活かして動けるようになります。

<例>

• 「結果が出る方法であれば、やり方は自由です。○○については任せるので、困ったときは相談してください。」

などです。

期待値を伝えるときの注意点

• 一方的に伝えない

職員と対話をしながら、「この目標は達成可能か」「不安な点はないか」といった確認を行いましょう。

職員の意見を聞くことで、より納得感のある目標設定が可能になります。

また、明確なフィードバックや期待値の共有が欠けていると、職員は「どう動いていいか分からない」と感じ、自ら動くことへの不安を感じてしまいます。

• 定期的に見直す

伝えた期待値が適切に機能しているか、定期的に確認することも重要です。

状況が変われば、期待値も柔軟に調整する必要があります。

期待値を明確にする効果

こうした取り組みを実践することで、職員は「自分が何を求められているか」を理解し、自信を持って行動に移せるようになります。

その結果、自発性が向上し、職場全体の生産性や雰囲気の改善にもつながるでしょう。

期待値を明確に伝えることは、一見すると簡単なようで奥が深いですが、丁寧に取り組むことで大きな成果を生むことができます。

問題を解決するためのアプローチ

では、「指示待ち」状態を改善し、職場の雰囲気を良くするにはどうすれば良いのでしょうか?

具体的な方法をいくつか解説したいと思います。

(1)明確な期待値を伝える

職員が自発的に動くためには、「何を求められているか」を明確に伝えることが重要です。

具体的な目標設定

 抽象的な指示ではなく、具体的な目標やタスクを伝えてみましょう。

例:「○○の業務を来週金曜日までに完了してください。」など

役割の明確化

 それぞれの役割や責任範囲を明確にすることで、自発的な行動を促進します。

(2)フィードバックを活用する

職員が自分の行動に自信を持つためには、フィードバックが欠かせません。

ポジティブなフィードバック

 良い行動や成果を褒めることで、自己効力感を高めることができます。

改善点を明確に伝える

 課題がある場合は、具体的な改善方法を伝えましょう。「ここをこう変えればさらに良くなる」といった前向きなアプローチが効果的です。

(3)職場環境を見直す

職場全体で自発性を育てるためには、環境づくりも大切です。

失敗を許容する文化を作る

 「失敗してもいいから挑戦しよう」という雰囲気を作ることで、職員は安心して行動できます。

リーダーのサポート体制を整える

 適切なタイミングでアドバイスや助言を行うことで、職員は安心して自分で動けるようになります。

(4)コミュニケーションを強化する

職員と日常的に対話を行い、彼らの考えや意見を尊重しましょう。

定期的なミーティングを行う

 進捗確認や意見交換の場を設けることで、職員との信頼関係を深められます。

双方向のコミュニケーションを意識する

 上司からの指示だけでなく、職員の意見や提案を積極的に取り入れましょう。

まとめ:小さな変化から始めよう

「指示がないと動けない職員」という問題は、職場全体の関係性や文化に深く根ざしていることが多いです。

そのため、すぐに全てを解決するのは難しいかもしれません。

しかし、小さな取り組みを積み重ねることで、職員の行動に少しずつ変化が見られるようになるでしょう。

職場の一員として、あるいは管理者として

「どうすれば全員が働きやすい環境を作れるか」

を考えることが、より良い未来への第一歩です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が、皆さんの職場での悩みを少しでも解決するきっかけになれば幸いです。

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