「会社に頼らず、自分の力で稼ぐ」
「好きなことで生きていく」
近年、SNSや情報サイトではこうした魅力的な言葉とともに、副業や起業に関する情報があふれています。「副業で月5万円アップ!」
「週末起業で夢を叶える!」
といったキャッチーなフレーズが、まるで新しいライフスタイルのように語られ、多くの会社員の心を惹きつけています。
しかし、実際に会社を辞めて起業した私自身、そして副業に挑戦した多くの知人たちの経験から言えるのは、その道のりが決して平坦ではないという現実です。安易な気持ちで一歩を踏み出すと、思わぬ困難に直面し、「こんなはずじゃなかった…」と後悔することも少なくありません。
この記事では、「副業・起業」という言葉の裏に隠されたリアルな現実と、事前に知っておくべき重要なポイントについて、私の体験も交えながら詳しくお伝えしていきます。
幻想①:初期投資はほとんど不要?

「ノーリスクで始められる」「初期費用はほぼゼロ」といった言葉を目にすることがありますが、それを鵜呑みにするのは危険です。たしかに初期投資が少なく始められるビジネスは沢山ありますが、実際には目に見えにくいさまざまなコストも存在します。
たとえば、
- 情報収集や学習のコスト(書籍代、セミナー受講費、情報商材など)
- 環境構築のコスト(作業スペース、通信費、ソフトウェア利用料など)
- 集客・マーケティングにかかる費用(広告費やSNS運用に使う時間)
- 法的・事務手続きにかかる費用(申請料、会計処理、税理士報酬など)
これらは、ビジネスが軌道に乗るまで継続的に発生することもあります。「無料」「簡単」という言葉に惑わされず、あらかじめ見積もりと資金計画を立てておくことが重要です。
幻想②:すぐに収入になる?
「すぐに月数万円稼げる」「半年で脱サラ!」という情報を見かけることもありますが、これは一部の成功事例に過ぎません。
実際には、副業も起業も収益化までには時間と努力が必要です。特に起業の場合は、商品やサービスの開発、顧客獲得、運営体制の整備など、さまざまなプロセスを経なければなりません。その間は無収入、または非常に不安定な収入が続くことも多いのです。
また、副業も「本業と両立する」ことが前提になるため、限られた時間と体力の中で結果を出す必要があります。「片手間で稼げる」という考えは非常に危険です。
幻想③:自由な働き方ができる?
「自分の好きな時間に働ける」「どこでも仕事ができる」といった自由な働き方に憧れる人も多いでしょう。
しかし、これはビジネスがある程度安定してからの話です。立ち上げ時期や成長期には、顧客対応や業務処理に追われ、昼夜を問わず働くことも珍しくありません。
特に一人で始めた場合は、すべての業務を自分でこなす必要があります。「脳内は常に仕事モード」といった状態が続くことも覚悟しておいた方がよいでしょう。
起業経験者が語る、本当に大切なこと
私が実際に起業して痛感したのは、次のような点でした。
- 孤独との戦い(相談相手のいない中で自分で判断し続けるプレッシャー)
- 精神的なタフさ(失敗を乗り越える強さが必要)
- 家族やパートナーの理解と支え(不安定な時期を支えてくれる存在が不可欠)
- 継続的な学び(変化に対応するための情報収集とスキル習得)
- 健康管理(自分が倒れるとすべてが止まってしまう)
これらは、スキルやノウハウ以上に大切な「土台」と言えます。
甘い誘惑に惑わされないために
副業や起業は、経済的な自立や夢の実現につながる可能性を秘めています。しかし、そこに至るまでの現実は決して甘くはありません。
だからこそ、始める前に次の点をしっかりと考えてみてください。
- 自分が本当に目指したい目的は何か
- 情報収集を徹底し、成功例だけでなく失敗談にも耳を傾けること
- 起こりうるリスクを把握し、あらかじめ対策を考えておくこと
- 家族や経験者に相談し、客観的な意見をもらうこと
これらを踏まえることが、後悔しない選択につながります。
最後に
「副業」「起業」という言葉の響きは、とても魅力的に聞こえるかもしれません。しかし、その裏側には地道な努力と強い覚悟が必要です。
もしあなたがこれから副業や起業を本気で考えているのなら、表面だけでなく、その「本質」を見極めてください。この情報が、冷静な判断の助けになれば幸いです。
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