私の生まれ育った街は、霊感の強い人がいたり、不思議な事がよく起こる地域でした。
毎回階段の数が変わる祠があったり、
家にたどりつけず、同じ場所をぐるぐる回ってしまう人がいたりと、
些細な不思議体験はよく起こっていました。
そんなある日、私が友人と学校から帰っていた時の事です。
部活で遅くなり、家へと足早に歩いていると、友人と私の間に、誰かがスッと近寄って来た気配がしました。
私は
「誰?」
と言いつつ振り向いたものの、誰もいませんでした。
友人も同じように振り向いたようで
「今、誰かいたよね」
と私に言ってきました。
「うん。誰かいたよね・・」
と言いかけたところで、私たちは突然怖くなり、二人でわーっと叫びながら猛ダッシュしたのでした。
しかしその間も、私と友人の間に、私たちと同じように走っている音がするのです。もちろん人の気配も感じています。
恐怖で振り向きも出来ない私たちは、少し先にある駄菓子屋さんに逃げ込む事にしました。
そこのおばあさんは物知りで世話好きのおばあさんだったので、
きっと私達の事も助けてくれると思ったのです。
駄菓子屋に着き、走りながら入ってきた私たちを見て、駄菓子屋のおばあさんは一瞬驚いていましたが、何も聞かず
「しばらくここに居れば大丈夫」
と、奥から椅子を二つ持ってきてくれました。
私たちは、はぁはぁ言いながら
『誰かいたよね。誰もいないけど』
と言いつつ駄菓子屋の窓すら怖くて見ることが出来ません。
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