【完全版】バックアップ後にWindowsが不安定になる原因と対処法|復元後の隠れた落とし穴も解説

ノートPCの前で困っている人、画面には「復元完了」などの表示

はじめに

大切なデータを守るためにバックアップはとても重要です。しかし「バックアップは成功したのに、復元後からPCの動作がおかしくなった」「バックアップ後から急に重くなった」という経験はありませんか?

実は、バックアップや復元作業がトラブルの引き金になることがあります。この記事では、「バックアップ後にWindowsが不安定になる原因と、その隠れた要因、具体的な対処法」まで、わかりやすく丁寧に解説します。

そもそも、なぜバックアップ後に不具合が起きるのか?

まずは代表的な原因を整理します。

原因説明
バックアップソフトのドライバ競合一部のバックアップソフトが仮想ドライバを導入し、OSと競合することがある
復元中の不完全なデータ書き戻しバックアップイメージが破損・不完全だった場合、復元後の動作が不安定になる
ストレージの断片化大量の書き込みでファイル配置が乱れ、性能低下を招く
セキュリティソフトのリアルタイム監視バックアップ中の大量アクセスを誤検知し、その後に影響を残す
復元ポイントとの競合システム復元とバックアップ復元が干渉し不整合が起こる

バックアップは「今の状態を丸ごと保存する」作業ですが、保存中にもOSは動作を続けています。そのため、一時ファイルのズレや更新タイミングの違いが微妙な整合性ずれを生む場合があります。特にドライバやバックアップソフトの管理領域で不整合が残ると、不安定さの原因になります。

よくある不安定症状の例

  • Windows起動が遅くなる
  • シャットダウン時に固まる
  • 特定のアプリが応答なしになる
  • USB機器の認識が不安定
  • Windows Updateが失敗する
  • ネットワーク接続の切断が頻発

これらの症状は一見すると「ハードの寿命かな?」と感じてしまいがちですが、実際はバックアップや復元作業に伴う微妙な設定ズレや整合性の乱れが原因になっていることも多くあります。特に、復元後すぐに起こる不安定さは、システム内部でまだ処理が追いついていない「復旧途中の揺らぎ」であることも少なくありません。慌てずに正しく原因を切り分けることが安定化の近道です。

対処法① バックアップソフトのドライバ残存を確認

多くのバックアップソフト(Acronis、EaseUS、Macriumなど)は仮想ドライバを導入しています。バックアップ後にアンインストールしても、ドライバが残存していることがあります。

確認方法

  1. デバイスマネージャーを開く
  2. 「非表示のデバイスを表示」にチェック
  3. 不明な仮想ドライバ(仮想ディスク、仮想SCSI、仮想VSS関連)が残っていないか確認

【対処法】

  • 不要なドライバを削除
  • ソフト提供元の専用アンインストーラーを活用

対処法② ストレージの整合性チェック

復元後の不具合はストレージの内部エラーが原因のこともあります。

実施作業

エラーチェック

  1. スタートメニューを右クリック → 「Windowsターミナル(管理者)」を開く
    (または「コマンドプロンプト(管理者)」でもOK)
  2. 以下のコマンドを入力して実行します
chkdsk C: /f

※ C:の部分は、バックアップを復元したドライブに合わせて指定してください。通常はCドライブです。

なぜこれが有効なのか?

大量の読み書きでストレージのファイル管理情報が乱れる場合があります。chkdsk /fは、こうした論理エラーを自動で修復し、ファイルシステムの整合性を整えます。SSDでも有効です。

TRIM確認(SSDの場合)

  • コマンドプロンプトで(手順は上記と同様)
fsutil behavior query DisableDeleteNotify

▶︎結果が 0 であれば、TRIMコマンドは正常に機能しており、SSDが自動的に不要なデータ領域を最適化できる状態にあります。もし 1 と表示された場合は、TRIMが無効になっている可能性があるため、パフォーマンスや寿命への影響が出る前に設定を見直すことをおすすめします。

HDDならデフラグ(SSDには不要)

  • Windowsの「ドライブの最適化」で実行

Windowsの標準機能である「ドライブの最適化」では、HDDの場合は断片化したファイルを整理し、アクセス速度を改善してくれます。

スタートメニューで「ドライブの最適化」と検索すれば簡単に起動できます。

なお、SSDの場合は最適化の必要は基本的にありませんが、最新のWindowsではTRIMコマンドの実行がここから管理される場合もあります。

対処法③ 復元ポイントを整理する

復元ポイントとバックアップの食い違いも不整合の原因になります。

手順

  1. 復元ポイントの作成画面を開く
  2. 古いポイントを削除
  3. システム保護を一度無効→再度有効化

これによりシステムの整合性がリセットされ安定することがあります。

対処法④ セキュリティソフトの干渉を疑う

リアルタイム監視が強すぎると、バックアップ復元直後のシステム動作に悪影響を与えることがあります。

対処

  • セキュリティソフトを一時停止
  • 設定を「パフォーマンス優先」に変更
  • 常駐監視対象を限定する設定を見直す

多くのセキュリティソフトには「例外フォルダ(除外設定)」を指定できる機能があります。バックアップ用の保存先フォルダや一時作業用ドライブをあらかじめ除外対象に設定しておくことで、バックアップ処理中の干渉を減らし、復元後の安定性向上にもつながります。特に大容量の外付けHDDやNASを使用している場合は効果的です。

対処法⑤ システムファイル整合性の確認

システムの中核ファイルにズレが生じている可能性があります。

SFCコマンド

【実行手順

  1. スタートメニューを右クリック → 「Windowsターミナル(管理者)」を開きます。
     (または「コマンドプロンプト(管理者)」でもOKです)
  2. 以下のコマンドを入力して実行します
sfc /scannow

SFC(System File Checker)は、Windowsの重要なシステムファイルが破損・変更されていないかをスキャンし、問題があれば自動で正しいファイルに修復してくれる仕組みです。バックアップ復元後に、細かな構成ファイルのズレや破損が起きている場合、このコマンドで改善されることがあります。実行には数分かかることがありますが、初心者でも安全に使える修復手段です。

DISMコマンド

【実行手順

  1. スタートメニューを右クリック → 「Windowsターミナル(管理者)」を開きます。
     (または「コマンドプロンプト(管理者)」でもOKです)
  2. 以下のコマンドを入力して実行します:
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth

DISM(Deployment Image Servicing and Management)は、Windowsの内部にあるシステムイメージ自体を修復するコマンドです。SFCが「表面的なファイルの破損」を修復するのに対し、DISMは「その修復元となる仕組み自体」に問題がないかを確認し、必要ならダウンロードし直して正常な状態に戻してくれます。特にバックアップや復元作業の後は、このDISMを実行することでシステム全体の健全性が高まります。SFC実行前にDISMを先に行うのも効果的です。

なぜこれが有効なのか?

SFCはシステムファイルの整合性を確認・修復します。DISMはOS内部のイメージ全体の不整合まで検査・補修してくれます。2つ併用することで復元後の不安定要因をかなり潰せます。

それでもダメな時の裏技のご紹介

裏技① システムイベントログで隠れたエラーを探す

復元直後に「なんとなく調子が悪い…」時はイベントビューアーが役立ちます。

【手順

  • eventvwrで起動
  • 「システム」や「アプリケーション」を確認
  • 「DISK」「NTFS」「VSS」「VolSnap」などのエラーを探す

イベントID 7, 11, 55 などはストレージや復元絡みのヒントになります。

裏技② VSS(ボリュームシャドウコピー)をリセット

バックアップソフトが利用するVSSの破損も不安定原因になります。

現在のVSS確認

【確認手順

  1. スタートメニューを右クリック → 「Windowsターミナル(管理者)」を開きます。
     (または「コマンドプロンプト(管理者)」でもOK)
  2. 以下のコマンドを入力して実行します。
vssadmin list shadows

VSS(ボリュームシャドウコピー)は、バックアップや復元ポイントを作成するときに裏で動いている仕組みです。ここでリスト表示される内容は、今システム内に存在している「過去のスナップショット」の一覧です。

もしここに古いシャドウコピーが大量に残っていたり、意味不明な失敗ログが出ている場合は、VSS管理が破損している可能性があります。正常に動いている環境では、バックアップ後でも必要な数だけ適切に整理されて残っているのが理想です。

【 ポイント】

バックアップソフトがVSSを多用していると、内部で残骸がたまっていく場合があり、これが復元後の不安定さに影響するケースがあります。

全消去する場合(注意して実施)

もしVSSの破損や管理エラーが疑われる場合、すべてのシャドウコピーを削除して一度クリーンな状態に戻すのも有効です。

vssadmin delete shadows /all

VSS内部に古く壊れたスナップショットが残っていると、バックアップ復元後の不安定さだけでなく、今後のバックアップ作成自体が失敗しやすくなる原因になります。VSSを全消去することで、これらの残骸を一掃して新たに安定した環境を構築できます。

※復元ポイントも含めて消去されるので注意。

裏技③ ストレージセンサーの手動実行

大量のバックアップ作業後、一時ファイルやキャッシュが蓄積し動作に影響する場合があります。

【実行

  • 設定 → システム → ストレージ → ストレージセンサー → 「今すぐ実行」

意外とこの操作だけで「妙に重かった」現象が軽減することがあります。

裏技④ BIOS初期化リセット(セーフリセット)

復元後にUSBや周辺機器が不安定な場合は、BIOS設定が微妙にズレていることもあります。

【方法

  • BIOS画面で「Load Defaults(初期化)」→保存&再起動

※完全初期化ではないので比較的安全に実施可能です。

事前の予防策も大切です

  • バックアップ前にWindows Updateを完了
  • 常駐ソフトを停止してからバックアップ
  • UPS(無停電電源装置)を活用
  • 定期的に不要な復元ポイントを整理

まとめ

ここでご紹介した対処法を、わかりやすく表にまとめてみました。

原因対策
仮想ドライバ残存デバイスマネージャー確認・削除
ストレージエラーchkdsk・TRIM確認・デフラグ
復元ポイント不整合整理・再有効化
セキュリティ干渉監視設定見直し
システムファイル破損SFC/DISMコマンド実行
VSS破損シャドウコピーリセット
周辺機器の不安定BIOS初期化
一時ファイルの蓄積ストレージセンサー実行


バックアップは「もしもの安心」のはずが、復元後に別の不安定要因を招くことがあります。今回紹介した原因と対策を知っておくことで、復元トラブルも冷静に乗り越えられるようになります。大切なデータを守る最後の仕上げとして、ぜひ役立ててください。

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