褒め言葉を受け入れられないあなたへ 〜その優しさの奥にある心の傷〜

褒め言葉を受け入れられないあなたへ 〜その優しさの奥にある心の傷〜

「すごいね」
「えらいね」
「よく頑張ったね」

そんなふうに褒められても、あなたの心にはなかなか届かないことがありませんか?
「そんなことないです」「いえいえ、たいしたことじゃ…」と、とっさに否定してしまう。

周りからは「謙虚だね」と言われるかもしれません。でも、もしかしたらそれは、本当の意味での謙虚さではないのかもしれません。

本当は、「信じられないだけ」かもしれない

褒め言葉を受け入れられない人の多くは、「自分が本当に認められていい存在だ」と思うことができません。

それは、自分の価値を過小評価しているというよりも、人の言葉そのものを信じることが難しくなっているのです。

「どうせお世辞でしょ」
「本心じゃないよね」
「その裏に何かあるんじゃないか」

そんな思いが、無意識のうちに心の奥でささやいてきます。

それは、たくさん傷ついてきた証です

人の言葉を信じられないのは、あなたが冷たい人だからではありません。

過去に、信じた人から裏切られたり、無視されたり、皮肉まじりに傷つけられたり、
素直に喜んだときに笑われた経験があったり。

そんな悲しい出来事が積み重なると、心は「もう傷つきたくない」と思い、防御反応として「受け入れないこと」を選びます。

それは、とても自然で、やさしい「自己防衛」なのです。

歯を食いしばって頑張っている女の子

「褒め言葉が怖い」という感情

褒められると居心地が悪くなる。
頭が真っ白になる。
むしろ否定されたほうが慣れている。

そんなあなたは、もしかしたら、「褒められること」が怖いのかもしれません。

褒め言葉を信じて、喜んだときに裏切られた経験があると、もう二度と同じ思いをしたくなくて、「最初から信じない」「受け取らない」という選択をしてしまうのです。

それは、あなたが弱いからでも、素直じゃないからでもありません。
それだけ、心が繊細で、何度も傷ついてきたということなのです。

少しずつ、「ありがとう」を言えるようになるまで

もしあなたが、「褒められてもうまく返せない」「言葉が信じられない」と感じているなら、無理に変わろうとしなくても大丈夫です。

まずは、「そう言ってくれてありがとう」と、小さな「ありがとう」から始めてみてください。

受け取れなくてもいい。
信じきれなくてもいい。
でも、その言葉をくれた相手の「気持ち」だけは、ほんの少し受け取ってみる。

それが、少しずつ心の扉を開いていく第一歩になるかもしれません。

あなたは、愛されていい人です

褒め言葉が受け取れないあなたへ、最後に伝えたいことがあります。

あなたは、本当にがんばってきた人です。
傷ついた経験を抱えながら、それでも今日まで生きてきた。
それだけで、すごいことです。
だから、少しずつでも、「自分は大丈夫」「自分は悪くない」と思えるようになってください。

人の言葉を信じるには、時間がかかるかもしれません。
でも、あなたはその一歩を踏み出す力を、ちゃんと持っています。

この文章が、あなたの心にやさしく届きますように。

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