
はじめに
Windows Update の実行中に「0x80244007」が表示され、更新プログラムのチェックやダウンロードが進まないことがあります。本エラーは、Windows Update クライアントが配信サーバーの応答を適切に処理できなかった場合に発生しやすく、通信の不安定・キャッシュ破損・プロキシ/DNSの設定残りなど複数の要因が絡み合うのが特徴です。
この記事では、初心者の方でも順番に実施できる基本の対処から、改善しないときの追加対策、そして再発予防までを整理して解説します。
エラー「0x80244007」とは?
- Windows Update サーバーとのセッションや応答処理が失敗した際に返されやすいエラーです。
- 一時的なネットワーク不調、VPN/ファイアウォールによるブロック、Windows Update のキャッシュ破損(SoftwareDistribution)、あるいはプロキシ設定の残留などで再現します。
- 24H2/25H2の更新期や、オプション更新(プレビュー更新)が話題の時期に併発しやすい傾向があります。
症状の例
- 「更新プログラムをチェック中」または「ダウンロード中」のまま進まない/途中で失敗する
- しばらく待つと 0x80244007 が表示されやり直しになる
- 他のウェブは見られるのに、Windows Update だけが止まる・遅い
よくある原因
- 通信の不安定・VPN/セキュリティ製品の干渉
VPN・脅威対策・企業向けファイアウォールで Microsoft Update ドメインがブロックされる。 - Update キャッシュ破損
C:\Windows\SoftwareDistribution内の中途半端なファイルが原因で、再取得に失敗する。 - プロキシ/WPAD/DNS の影響
会社/学校プロファイルの残り、カスタム DNS、WPAD 自動検出などが干渉。 - Windows Update サービスの不整合
wuauserv/BITSが固まる・停止中で復帰できていない。
まずはここから(初動確認)
- VPNを切る/セキュリティ製品を一時停止
企業VPNやサードパーティ製FWを使っている場合は一時停止して再試行します。 - ネットワークを切り替える
有線⇔Wi-Fiを切り替える、別のアクセスポイントに接続する、モバイル回線を試す。 - 時刻と地域設定を確認
「設定」→「時刻と言語」で自動時刻をオン、地域と言語も正しいか確認します。 - 再起動
大規模更新の直後は一度シャットダウン→電源オン(完全起動)で安定することがあります。
基本の対処手順(順番に実施)
以下は管理者権限のターミナル(Windows ターミナル/PowerShell/コマンドプロンプト)で実行します。
※管理者権限のターミナル(Windows ターミナル/PowerShell/コマンド プロンプト)を開きます。
スタートメニュー → 右クリック → Windows ターミナル(管理者)。
から、ステップごとのコマンドを入れてください。
ステップ1:Windows Update サービスの再起動とキャッシュ再作成
net stop wuauserv
net stop bits
del /s /q %windir%\SoftwareDistribution\*
net start wuauserv
net start bits
SoftwareDistributionを空にすることで破損キャッシュを除去します。フォルダー自体を削除せず、中身のみ削除するのが安全です。
ステップ2:WinHTTP プロキシのリセット(WPAD含む影響切り分け)
netsh winhttp show proxy
netsh winhttp reset proxy
- ここで プロキシが “Direct access (no proxy)” になっているか確認します。会社/学校アカウントを以前使っていたPCで効くことが多いです。
ステップ3:DNS キャッシュのフラッシュ
ipconfig /flushdns- 名前解決の不整合を解消します。ルーター再起動も効果的な場合があります。
ステップ4:ストアや更新UIのリフレッシュ(任意)
wsreset.exe- Microsoft Store 側のスタックが影響している場合に UI 周りを初期化できます。
ステップ5:更新の再試行
- 「設定」→「Windows Update」→「更新プログラムのチェック」。
- オプション更新(プレビュー)が目的の場合は、「オプションの更新プログラムを表示」も確認します。
改善しないときの追加策(上級向け)
1) DISM と SFC でシステム整合性チェック
・スタートメニュー → 右クリック → Windows ターミナル(管理者)から、以下を1行ずつ実行します。
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
sfc /scannow
- DISM でコンポーネントストアを整備し、SFC でシステムファイルを検査・修復します。完了後に再起動→更新を再試行します。
2) ネットワーク・プロキシをより厳密に点検
- 設定 → ネットワークとインターネット → プロキシ で「自動検出」をオフ→オンで切り替え、手動プロキシが残っていないか確認。
- 企業ネットワークを離れた後に WPAD が残る 場合、
netsh winhttp reset proxyが特に有効です。 - セキュリティアプライアンス利用環境では、Microsoft Update 宛の URL カテゴリを許可リストに加えます。
3) 新規ローカル管理者アカウントでの更新適用
- 現アカウントのプロファイル破損やポリシー残りが疑われる場合、新規ローカル管理者でサインインして Windows Update を試します。
4) グループポリシー/レジストリの見直し(管理者向け)
- 電帯・社内 WSUS の配布設定が中途で残っていると、Microsoft Update と競合します。
- 企業WSUSを使っていないPC で昔の設定が残っているときは、GPO で「更新サービスの場所」設定を 未構成 に戻す、あるいは
UseWUServerを無効化して再起動後に試行します(管理者限定)。
よくある質問(FAQ)
Q1:このエラーは放置しても大丈夫ですか?
放置してもPCが直ちに壊れるわけではありませんが、セキュリティ修正や互換性改善が適用されない状態が続きます。早めの解消をおすすめします。
Q2:更新後にまた同じエラーが出ます。
VPN・セキュリティ製品・プロキシのどれかが定期的に干渉している可能性があります。更新の都度オフにする運用か、許可リスト/例外設定を見直してください。
Q3:どの操作が一番効きますか?
体感では「キャッシュの再作成」と「WinHTTP プロキシのリセット」のセットが効果的です。次点で DISM+SFC が安定化に寄与します。
再発防止のコツ
- 更新前後だけでも VPNを切る、セキュリティ製品を“一時停止モード”にする
- 会社/学校のアカウントを切り離したあとにプロキシの残りを確認(
netsh winhttp show proxy) - 大規模更新の直前に 復元ポイントを作成、外付けSSDなどにバックアップを取る
- ルーター/ONU を月1回程度リブートし、DNSや接続テーブルをクリーンに保つ
0x80244007 対処ポイント総括表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エラーコード | 0x80244007 |
| 主因 | 通信不安定/VPN・FW干渉、Update キャッシュ破損、プロキシ・WPAD・DNS の残り |
| 初動 | VPN/セキュリティ一時停止、ネット切替、時刻・地域確認、再起動 |
| 基本対処 | wuauserv/BITS 再起動+SoftwareDistribution クリア、winhttp reset proxy、ipconfig /flushdns |
| 追加策 | DISM /RestoreHealth → sfc /scannow、新規管理者で試行、WSUS/GPO設定の見直し |
| 再発予防 | 許可リスト整備、プロキシ残りの定期確認、更新前のバックアップ/復元ポイント |
まとめ
「0x80244007」は、通信と構成のちょっとしたズレが重なって発生しやすいエラーです。上から順に初動→基本対処→追加策の順番で落ち着いて進めれば、難しい操作をしなくても解消できるケースが大半です。特に、キャッシュ再作成とWinHTTP プロキシのリセットは費用対効果が高い対策です。
更新が無事完了したら、再発防止のために VPN/セキュリティの例外設定 と バックアップ習慣 を整えておくと安心です。
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