2025年6月5日、国土交通省は日本郵便に対し、一般貨物自動車運送事業の許可を取り消す方針を通知しました。これは、各地の郵便局で運転手への点呼が適切に行われていなかったという法令違反が原因です。
対象となったのは全国119の郵便局で、そのうち70局以上で違反が認定されました。大手運送事業者に対する許可取り消しは異例であり、今後の郵便事業や私たちの生活にも少なからぬ影響を与える可能性があります。
点呼の不備は「形式的なミス」ではない
点呼とは、ドライバーの健康状態や飲酒の有無を確認し、安全に運行できるかを判断する重要な業務です。これは単なる事務手続きではなく、運送業における基本中の基本です。
ところが今回の調査では、点呼を実施せずに記録だけを残していた、飲酒の有無を確認していなかったなどの不正が明らかになりました。特に関東運輸局の管内では、違反点数が許可取消基準を大幅に上回っていたとの報道もあります。
このような行為は、重大事故を未然に防ぐための安全管理を放棄していたことを意味し、国交省は非常に厳しい姿勢で臨んでいます。
日本郵便には抜本的な運行管理の見直しが求められる
今回の処分により、日本郵便は約2500台のトラックやバンが使えなくなる可能性があります。これにより、都市部の大型局を中心とした集荷・中継業務に大きな支障が出ると見られています。
今後、日本郵便には以下のような対策が求められるでしょう。
- 全郵便局における運行管理体制の徹底見直し
- デジタル技術(ICT)を活用した点呼管理システムの導入
- 運行管理者の責任体制の明確化と教育の強化
これらは単なる一時対応ではなく、企業の信頼を取り戻すための構造改革といえます。
個人ユーザーやメルカリ利用者への影響と代替案

日本郵便の輸送機能が一部停止すれば、ゆうパックやゆうメールなどの配送に遅れが出る可能性があります。とくに都市部では、トラックやバンによる集荷・中継が多く行われているため、代替手段がすぐに用意できない場合、個人にも影響が及びます。
フリマアプリ利用者にとっては、「ゆうゆうメルカリ便」などが影響を受ける恐れがあります。ただし、メルカリではヤマト運輸の「らくらくメルカリ便」に切り替えることができるため、早めの対応をおすすめします。
一方で、レターパックやクリックポストなどのポスト投函型サービスについては、軽車両やバイクでの配達が可能なため、現時点では影響は少ないと見られます。
軽トラック・軽バンは対象外…しかし今後の動向に注意
今回の許可取り消しは「一般貨物自動車」が対象であり、軽トラックや軽バンは「届け出制」のため直接の処分対象ではありません。
しかし、国交省は軽車両についても監査を進めており、同様の不備が確認されれば「車両停止」などの措置を検討する可能性もあります。そうなれば、さらに影響が広がることになるため、引き続き注意が必要です。
日本郵便のコメントと今後の対応
日本郵便は6月5日、「極めて重大な法令違反と認識している」としたうえで、「運送事業者としての存立にも関わる事案」と受け止めていると発表しました。
今後、正式な処分決定が下された場合、以下のような流れが想定されます。
- 許可取消の対象となる事業の縮小・停止
- 他社への業務委託(佐川急便・ヤマトなど)による一部業務継続
- 段階的な社内体制再構築と再申請への取り組み
許可が取り消された場合、再取得には時間がかかり、最短でも数年単位での再整備が必要とされます。
今できる備えと利用者としての注意点
配送を日常的に利用している方やフリマアプリ出品者にとって、突然の影響は避けたいところです。今できる備えとしては次のようなものがあります。
- 重要な荷物は早めに発送しておく
- 他の配送業者(ヤマト運輸・佐川急便)の使い方を事前に確認しておく
- メルカリなどでは「代替配送可能」の商品設定にしておく
また、最新情報については日本郵便の公式サイトや報道機関の発表を随時確認しておくと安心です。
おわりに:信頼回復の第一歩へ
郵便は単なる物流インフラではなく、全国民の生活を支える大切な社会基盤です。今回の件はその根幹を揺るがす問題ではありますが、適切な是正と改革によって、信頼を取り戻すことは可能です。
再発防止への真摯な取り組みと、透明性のある情報発信が、利用者との信頼を築く第一歩となることを期待します。
また、続報が発表になりましたら、こちらで解説していきます。
【おすすめ記事】
▶︎【毎月第2水曜日は要注意!】Windowsアップデート「パッチチューズデー」でネット遅延に