
はじめに
2025年6月10日に配信された「KB5060999(Windows 11用の累積更新)」が、インストール時にエラーを起こすケースが急増しています。
Windows Updateが完了せず、再起動ループやブラックスクリーンになるといった報告もあり、多くのユーザーが混乱しています。
そこでこの記事では、一般的な修復手順に加えて、あまり知られていない裏技や隠しテクニックも含めて、トラブルを解決するための方法をまとめました。
KB5060999とは?
KB5060999 は、Windows 11 バージョン 23H2/22H2 に対する2025年6月の累積セキュリティ更新プログラムです。以下のような修正・改善が含まれています。
- Copilotの改良
- タスクバーの不具合修正
- リモートデスクトップの問題改善
しかし一部のPCでインストール失敗、再起動ループ、文字がぼやけるなどの新たな不具合が発生しています。
よくあるエラー症状
- 更新が途中で止まる/インストール失敗
- ブラックスクリーンになって操作不能に
- 「インストールできませんでした」エラー(エラーコード:0x800f0922など)
- アップデート後に日本語や中国語がぼやける(フォントバグ)
これらのエラーは、単なる一時的な通信不良ではなく、システム内部の設定や一部ファイルの不整合が原因であることが多いため、再起動や再試行だけでは解決しないケースも多く見られます。特に、以前の更新で一部の構成が中断されたり、App Readinessサービスが停止していた場合、正常なアップデートが妨げられることがあります。
そのため、次に紹介する対処法や裏技を順に試していくことで、根本的な原因にアプローチし、トラブルを解消することが可能です。
基本的な対処法(初心者向け)
1. Windows Updateトラブルシューティングの実行
- 設定 → システム → トラブルシューティング
- 「その他のトラブルシューティング」→「Windows Update」→ 実行
基本対処法は、Windows Update関連のトラブルにおいてまず試すべき標準的なステップです。特に、App Readinessサービスの停止やシステムファイルの破損は、更新エラーの隠れた原因となることが多いため、見逃さずにチェックしておくことが重要です。
また、Windows Updateのトラブルシューティングツールは、内部のエラーコードを検出して自動的に修復してくれることもあり、初心者でも安心して使える強力なツールです。次に紹介する「裏技」や高度な方法に進む前に、まずこれらを丁寧に試しておくと、思いのほかスムーズに解決する場合もあります。
2. App Readinessサービスの起動
- services.msc を起動
- 「App Readiness」を「自動」に設定し、開始
この「App Readiness」サービスは、アプリのインストールや初期化に関わる重要な機能であり、Windows Updateの実行時にも影響を与えることがあります。何らかの理由でこのサービスが「無効」や「手動」のままになっていると、更新プロセスが途中で止まったり、失敗する可能性があります。
特に、大型アップデートや累積更新プログラムでは、App Readinessが内部的に起動されるため、事前に「自動」に設定し、サービスが起動していることを確認するだけでも、トラブル回避に繋がります。
3. システムファイルの修復
管理者権限でコマンドプロンプトを開き、以下を順に実行
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
この2つのコマンドは、Windowsのシステムファイルや更新関連のコンポーネントに破損や不整合がないかをチェックし、自動的に修復してくれるものです。更新エラーが繰り返し発生する場合、内部の破損が原因であることが多いため、まずはこれらのコマンドを実行して環境を整えておくことが非常に効果的です。完了後はPCを再起動してから、再度Windows Updateを試してみましょう。
裏技・知る人ぞ知る方法
$WinREAgentフォルダーの退避
- Cドライブ直下の「$WinREAgent」フォルダーを、別ドライブ(例:D:\Backup)へ移動
- Windows Updateの妨害要因を回避できるケースあり
「$WinREAgent」フォルダーは、Windowsの回復環境(Windows Recovery Environment)やアップグレード処理に関連する一時ファイルを格納している場所です。
アップデートが失敗する場合、このフォルダー内にある古い一時ファイルや破損データが処理を妨げていることがあります。そのため、フォルダーを別ドライブに移動または退避することで、Windowsが新たな状態でアップデートをやり直せるようになり、成功率が高まるのです。
Microsoft Updateカタログからの手動インストール
KB5060999の「.msu」形式ファイルをダウンロードして実行します。
(公式:https://www.catalog.update.microsoft.com/)
古い.NET更新の再インストール
過去にインストール失敗した.NET KBが影響していることもあるようです。
古い更新(例:KB5049622)を再インストールしてみましょう。
Windows Updateがスキャンで止まるときは?
一部環境では、更新の確認(スキャン)が永久に止まる・無反応になる不具合も出ています。
この場合は、「KB5062324」という“構成更新”を受け取ることで復旧するケースが多いです。
対処手順
- 設定 → Windows Update を開く
- 「最新の更新プログラムをできるだけ早く入手する」をONに
- 再起動 → 更新のチェック → KB5062324を適用
この症状は、更新プログラムの整合性に問題がある場合や、特定の構成更新(特にKB5062324)が適用されていない場合に発生することが多いです。ユーザー側では「ずっと確認中のまま進まない」「画面がフリーズしたように見える」と感じがちですが、実際にはバックグラウンドで処理が進まないまま放置されているケースです。
Microsoftもこの問題を一部認識しており、「更新プログラムをできるだけ早く入手する」を有効化することで、自動的に復旧用の構成更新を受け取れるようになります。数回更新のチェックを繰り返す必要があるため、あきらめずに試してみてください。
それでもだめな場合の最終手段
Windowsのインプレースアップグレード(再セットアップ)
Windows 11のISOを使い、個人ファイルとアプリを保持したまま「上書き再インストール」できます。更新の失敗ループをリセットする効果が期待できます。
外付け機器や怪しいドライバの取り外し
プリンターや古いUSB機器、カスタムドライバを外してアップデートすると成功するケースもあるようです。
KB5060999更新エラー対処法
ステップ | 対処内容 |
---|---|
① | Windows Updateトラブルシューティングを実行 |
② | App Readinessサービスを自動&起動 |
③ | $WinREAgentフォルダーを退避(裏技) |
④ | Updateカタログから手動インストール |
⑤ | KB5062324を受け取って更新スキャンを復旧 |
⑥ | インプレースアップグレードを実行 |
⑦ | 不要な機器・ドライバを取り外す |
この表に沿って一つひとつ実行していくことで、多くの更新エラーは解消可能です。特にステップ⑤の「KB5062324」の適用は、見落としがちな構成要素ですが、これを経由することでスキャンやインストールの流れが正常に戻るケースが多く報告されています。
また、裏技や最終手段として紹介しているインプレースアップグレードも、環境をリセットせずに更新の不具合を解消できる有効な手段です。焦らず順を追って試していくことで、原因の切り分けと解決に繋がります。
まとめ
KB5060999の失敗は一部環境で深刻な影響を及ぼしており、単純な再試行では解決しないこともあります。とはいえ、ここで紹介した方法を組み合わせることで、高確率で突破できます。
特に「KB5062324の受け取り」や「$WinREAgentの退避」といったテクニックは、多くのユーザーが見逃しがちなので、ぜひ試してみてください。
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