個人事業主にとって、「経費」とは節税に直結する大切なポイントです。
経費として認められるものを正確に把握し、適切に計上することで、所得税や住民税の負担を大きく減らすことができます。しかし、どこまでが経費として認められるのか曖昧に感じている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、元税理士事務所勤務の私が『経費として落とせるもの』『落とせないもの』を具体的な事例とともに丁寧に解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、正しい経費管理を行いましょう!
個人事業主必見!経費として認められるための基本条件
まず、経費として認められるには以下の条件を満たす必要があるんです。
詳しく事例を含めて解説していきます。
1. 事業に直接関連していること
経費は「事業活動を行うために必要な支出」でなければなりません。個人的な支出は対象外です。
2. 証拠書類があること
領収書や請求書、クレジットカードの利用明細など、支出を証明する書類が必要です。
3. 合理的な金額であること
同業他社と比較して極端に高額な支出は経費として認められない場合があります。
経費で落とせるものの具体例
2-1. 事業活動に関連する主な経費
以下は多くの個人事業主が活用している代表的な経費の項目です:
① 家賃・光熱費(自宅兼事務所の場合)
• 自宅を事務所として利用している場合、家賃や電気代、水道代の一部を経費に計上できます。
計上例:
• 家賃:10万円/月 → 事務所スペースが全体の30%の場合、3万円を経費計上
• 光熱費:2万円/月 → 事業使用割合が50%の場合、1万円を経費計上
注意点: 按分計算の根拠を明確にしておく(例:面積や使用時間の割合)。
② 通信費
• 仕事で使用するスマートフォンやインターネット代は経費になります。
計上例:
• スマートフォン料金:1万円/月 → 事業使用割合が70%の場合、7,000円を経費計上
• 自宅Wi-Fi:5,000円/月 → 事業使用割合が50%の場合、2,500円を経費計上
③ 交通費
• 仕事での移動にかかる交通費は全額経費にできます(プライベート利用を除く)。
計上例:
• 電車やバス代
• タクシー代(要領収書)
• マイカー使用時のガソリン代(業務利用分のみ)
④ 消耗品費
• 文房具や事務用品など、使用頻度が高い物は消耗品費として計上可能。
具体例:
• ボールペン、ノート、プリンター用紙
• プリンターのインクやトナー
• パソコン周辺機器(マウス、キーボードなど)
⑤ 会議費
• クライアントやスタッフとの打ち合わせで使用したカフェ代や飲食費。
計上例:
• コーヒー代(1,000円未満/人が目安)
• 打ち合わせ時の軽食代
⑥ 福利厚生費
• 個人事業主が従業員を雇用している場合、従業員の福利厚生にかかる費用が該当。
具体例:
• 社員への飲食代補助
• 健康診断費用
⑦ 広告宣伝費
• ビジネスの認知度を高めるための支出。
具体例:
• SNS広告費(Instagram、Facebookなど)
• チラシ作成費
• ウェブサイト制作費
経費で落とせないものの具体例
3-1. プライベートに関わる支出
事業に関係ない支出は経費として認められません。
具体例:
• 家族旅行の費用
• プライベートな飲食代
• 自宅全体の家賃や光熱費
3-2. 事業関連でも過度な支出
• 極端に高額な接待費や、合理性がない支出は認められない可能性があります。
例:
• クライアント1人に対する高級レストランでの食事代(10万円以上)
• 事業規模を超える高額な備品購入(例:個人事業で数百万円の高級車)
4. 知っておきたい節税テクニック
4-1. 経費を漏れなく記録する
• 領収書やレシートは必ず保存し、日々記録をつけましょう。会計ソフト(例:freeeや弥生会計)を活用すると便利です。
4-2. 按分計算を活用する
• 自宅兼事務所やスマホなど、事業とプライベートで共用しているものは按分計算を忘れずに行いましょう。
4-3. 年度末の駆け込み経費
• 年末に必要な備品や機器を購入して経費計上することで、節税効果を得られます。
5. 経費計上の注意点
税務調査への備え
税務署は経費の妥当性を重点的に確認します。
私も数多くの税務調査に立ち会いましたが、法人調査より個人事業主の調査の方が細かくチェックされた記憶があります。それは、やはり「経費で落とせるもの」が法人に比べて細分化されているからなのです。
• 証拠を残しましょう
税務調査が来て、質問を受けた際にすぐ返答できるよう、領収書や契約書、写真などを保存することは当然ですが、業務日記などをつけておく事もオススメです。
• 説明ができるようにする
経費の目的や関連性を口頭で説明できる準備を!
*質問を受けて「どーだったっけ?」「わからない」というのはよくないです。自分の事業なのです。質問には即答えられるようにしましょう。
まとめ
経費の正しい理解と管理は、個人事業主の節税において重要なポイントです。
事業活動に関連する支出を適切に経費計上することで、税負担を軽減し、より多くの資金をビジネスに活用できます。
もし、「これは経費にできるの?」と迷った場合は、税理士や会計ソフトのサポートを活用しましょう。
正確な知識を持つことで、安心して事業運営を行いましょうね。