【要注意】都内で急増中「偽基地局」を知ってますか?——知らないと危険な見分け方と応急処置まとめ

「偽基地局」とは何

偽基地局(別名:スティングレイ、IMSIキャッチャー)とは、本物の携帯基地局のふりをして、スマホの通信を一時的に乗っ取る装置のことです。

▶︎スティングレイ(Stingray)という名称は、アメリカのHarris Corporation社が製造するIMSIキャッチャーの製品名の一つとして広く知られています。IMSI(International Mobile Subscriber Identity:国際移動体加入者識別情報)キャッチャーは、携帯電話が基地局に接続する際の認証情報を悪用する技術です。


しかも、偽基地局は、実際には通信事業者ではない第三者が設置し、あたかも正規の基地局であるかのように振る舞います。スマートフォンは、通常、電波強度の強い基地局に自動的に接続しようとするため、偽基地局が強い電波を発信することで、意図せず接続してしまうことがあります。


これにスマホが接続されてしまうと…

  • 通話やSMSの盗聴
  • 電波強度の異常な低下
  • 通信の切断・遮断
  • 強制的なプロファイル変更(Wi-Fi接続誘導など)

などのスパイ行為や詐欺の土台となる危険があります。

また、犯罪目的だけでなく、法執行機関が捜査のために使用する場合もあります。ただし、その使用は厳格な法的根拠と手続きに基づいて行われるべきであり、濫用はプライバシー侵害などの深刻な問題を引き起こします。

どうして都内で増えているのか?

  • 通信事業者のインフラが集中しているエリア(霞ヶ関、新宿、渋谷など)
  • 外国人観光客やビジネス目的の滞在者が多い
  • 人流データや個人情報が狙われやすい都市構造

これらの理由から、特に繁華街や駅前での使用が報告されています。


▶︎特に霞ヶ関は、官公庁、新宿・渋谷は商業施設やエンターテイメント施設、ビジネス街が集積しており、多くの人の移動と通信が集中します。これらの場所は、個人情報や企業の機密情報などを狙う攻撃者にとって魅力的なターゲットとなり得ます。

こんな症状、偽基地局の可能性あり!

  • 一部のエリアでだけ突然電波が0〜1本になる
  • 「不明なSIMカードを検出しました」などの警告が出る
  • 4Gや5Gのマークが一瞬消えて、3Gになる
  • 位置情報がずれる/現在地が正しく出ない
  • スマホが急に熱くなったりバッテリーの減りが早くなる
  • 通話中にノイズが頻繁に入る、音声が途切れる。
  • SMSの送信遅延や未送信。
  • データ通信速度が極端に遅くなる、または不安定になる。
  • 身に覚えのないアプリがインストールされている、または設定が変更されている(強制的なプロファイル変更と関連)。

これらが特定エリアでだけ頻発する場合、偽基地局の影響が疑われます。


✔️注意点・・これらの症状は、必ずしも偽基地局によるものとは限りません。一時的なネットワークの混雑や、スマートフォンの不具合、ソフトウェアの問題などでも発生することがあります。重要なのは、「特定の場所で」「一時的に」「複数の症状が同時に」発生する場合に、偽基地局の可能性を疑うことです。

応急処置と予防策

1. モバイル通信を一時的に切断する

「機内モード」→ON(5分ほど)→再びOFF

偽基地局から切断され、本来の正規の電波に再接続されることがあります。

また、機内モードのON/OFFだけでなく、SIMカードを物理的に取り外すことも、より確実な遮断方法です。ただし、再接続時には注意が必要です。

2.手動でネットワーク選択する

設定 → モバイル通信 → ネットワーク選択 → 「自動」をOFF → 正規の通信事業者を手動選択

強制的に自分の契約しているキャリアへ接続します。

偽基地局は不明な名称・異常な電波強度を表示する場合があるので、表示名にも注意しましょう。

✔️そのためには、正規の通信事業者の名称を正確に把握しておくことが重要です。偽基地局は、正規の事業者に類似した名称を使用したり、弱い電波の事業者を装ったりする場合があります。

3.Wi-Fiは「自動接続しない」にする

偽基地局がWi-Fi誘導型のトラップである可能性もあります。

特にカフェや公共施設のフリーWi-Fiには自動接続しない設定にしておきましょう。

  • リスク・・フリーWi-Fiスポットの中には、通信内容を盗聴したり、悪意のあるサイトへ誘導したりする目的で設置されたものも存在します。
  • 対策・・利用するWi-Fiネットワークの提供元やセキュリティ対策を確認する習慣をつけましょう。

4.VPNを使う

VPN(仮想プライベートネットワーク)を使うと、通信内容が暗号化されるため、盗聴や改ざんのリスクを大幅に減らせます。

VPNの仕組み

VPNは、インターネット接続を暗号化されたトンネルを通して行うことで、第三者による盗聴や傍受を防ぎます。

VPN使用上の注意点

VPNサービス自体もセキュリティリスクがないわけではありません。信頼できるプロバイダーを選び、プライバシーポリシーなどをしっかり確認することが重要です。

おすすめVPN

  • ProtonVPN(無料プランあり)
  • NordVPN
  • Surfshark

【注意】無料VPNは、通信速度が遅かったり、セキュリティやプライバシー保護の面で有料VPNに劣る場合があります。また、ログの保存や広告表示が多いサービスもあるため、注意が必要です。有料プランがある場合は、無料プランを試してみて、使用感や信頼性を確認することをおすすめします。

それでも改善しない時は…

  • なるべくそのエリアから一時的に離れる
  • 総務省の不審な電波通報窓口へ報告(→ https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/spam/)

▶︎総務省への通報・・ 通報することで、総務省が電波監視を行い、偽基地局の特定や排除に繋がる可能性があります。詳細な状況(発生場所、時間、症状など)を伝えることが重要です。

▶︎警察への相談・・明らかな被害(金銭的な損害、個人情報の漏洩など)が発生した場合は、速やかに警察に相談してください。

▶︎通信事業者への問い合わせ・・契約している通信事業者に状況を伝え、アドバイスや対応を求めることも有効です。

✔️また、iPhoneであれば

  • [設定] → [プライバシーとセキュリティ] → [位置情報サービス]
  • [システムサービス] → [モバイル通信ネットワーク探索]をOFFにする

「モバイル通信ネットワーク探索」OFF

この設定をOFFにすることで、iPhoneが自動的に利用可能なモバイルネットワークを探索する頻度を減らし、偽基地局に接続するリスクを低減できます。ただし、新しい場所に移動した際などに、手動でネットワークを選択する必要が生じる場合があります。。

ロジック的な背景(なぜ“引っかかる”のか?)

  • セル再選択(Cell Reselection): スマートフォンは、常に最適な電波状態を維持しようと、周辺の基地局の電波強度や品質を監視しています。より強い電波を発見すると、自動的にその基地局に接続を切り替える仕組み(セル再選択)が働きます。偽基地局はこの仕組みを悪用します。
  • IMSIの取得: 偽基地局は、スマートフォンが接続する際に送信するIMSI(加入者識別情報)を不正に取得します。IMSIは、個々のSIMカードに固有の番号であり、これを悪用することで、通話やSMSの傍受、位置情報の追跡などが可能になります。
  • プロトコルの脆弱性: 古い通信規格(2Gや3G)には、セキュリティ上の脆弱性が存在します。偽基地局は、意図的にこれらの古い規格で接続を確立させ、セキュリティが低い状態で通信を傍受する手口も確認されています。

まとめ:知らないうちに「通信がハッキング」されている可能性も

被害の深刻さ

偽基地局による被害は、単なる通信不良に留まらず、個人情報の詐取、金融情報の盗難、プライバシーの侵害など、深刻な事態に発展する可能性があります。しかも、その技術は常に進化しており、偽基地局の手口も巧妙化しています。最新の情報に注意を払い、常に警戒心を持つことが重要です。

もし偽基地局と思われる症状に遭遇した場合は、周囲の人にも注意を促し、情報を共有することが、被害の拡大を防ぐ上で重要です。
「なんだかおかしいな?」と感じたら、まずは疑ってみてくださいね。