
Microsoftは2024年10月1日、待望の買い切り型「Office 2024」をリリースしました。従来のサブスクリプション型である「Microsoft 365」に加え、永続ライセンスを求めるユーザーに向けた選択肢が再び登場したことで、大きな注目を集めています。特に企業や教育機関、また「コストを一定に抑えたい」という利用者にとっては重要なニュースといえるでしょう。
本記事では Office 2024の概要、エディション別の違い、新機能、サポート体制、そしてMicrosoft 365との比較 を詳しく解説します。
Office 2024とは?
Office 2024は、Word・Excel・PowerPointなどの基本アプリを搭載した買い切り型の永続ライセンスです。インターネットに常時接続していなくても利用でき、購入後は追加の月額料金が発生しません。
企業にとっては、ライセンス管理や予算計画がシンプルになるという利点があります。一方で、Microsoft 365のようにクラウドベースでの自動アップデートやAI機能は含まれません。
エディションと価格
以下は、代表的なエディションの比較です。
エディション | 含まれるアプリケーション | 対象ユーザー | 価格(参考) |
---|---|---|---|
Office Home 2024 | Word, Excel, PowerPoint, OneNote | 個人・家庭・学生 | 約 149.99ドル / 139ユーロ |
Office Home & Business 2024 | Word, Excel, PowerPoint, OneNote, Outlook | 小規模企業・個人事業主 | 約 249.99ドル / 249ユーロ |
Office LTSC 2024 | Word, Excel, PowerPoint, Outlook, Access 等(法人向け) | 法人・官公庁・大規模環境 | ボリュームライセンス契約(価格は契約形態による) |
※価格は地域や販売代理店によって変動します。
新機能のポイント
Office 2024では、従来の操作性を保ちつつ、いくつかの新しい機能や改善が加えられています。
- Excel
- Dynamic Arrays(動的配列)による柔軟な数式処理
- TEXTAFTER や IMAGE 関数など最新の関数群
- データ分析に強い利用者には魅力的な進化
- PowerPoint
- Cameo機能(Webカメラ映像をスライドに直接挿入)
- プレゼン録画スタジオ機能の強化
- 字幕機能によりアクセシビリティが改善
- Word
- セッション回復機能(作業中断から自動復元)
- ODF 1.4 への対応で国際規格との互換性を強化
- Outlook(Business版)
- 高度な検索機能の改善
- Mac版ではスワイプ操作などのジェスチャーをカスタマイズ可能
- 全体の改善
- 新しいFluent DesignによるUI刷新
- アクセシビリティ強化(スクリーンリーダーや字幕対応の拡充)
サポート期間と注意点
Office 2024のサポートは 2029年10月9日まで(約5年間) 提供されます。これは従来のOffice 2016(10年)、2019(7年)と比べて短くなっています。
企業にとっては、長期利用には向かない点に注意が必要です。もし「7年以上同じ環境を使いたい」と考えている場合は、むしろMicrosoft 365の方が安定的といえるかもしれません。
Microsoft 365との違い
Office 2024とMicrosoft 365の最大の違いは、「利用形態」と「更新方針」にあります。
- Office 2024
- 買い切り型。1回の購入で永続利用
- アップデートはセキュリティ中心で、機能追加はほとんどなし
- CopilotなどのAI機能は含まれない
- OneDriveは無料の5GBのみ
- Microsoft 365
- サブスクリプション型。月額または年額で常に最新版
- 定期的に新機能が追加される(AI機能を含む)
- 1TBのOneDrive、リアルタイム共同編集が可能
- モバイルやタブレットでも同じアカウントで利用可能
導入のしやすさと運用コストの観点
企業や教育機関にとって、ソフトウェア選定で重要なのは「導入のしやすさ」と「長期的な運用コスト」です。Office 2024は一度購入すれば半永久的に利用できるため、サブスクリプションの契約管理や毎年の予算計上が不要になります。特に、インターネット接続が限定される環境や、セキュリティ上クラウドサービスの利用が制限されている組織では、買い切り型ライセンスのシンプルさが大きなメリットとなります。
一方で、Microsoft 365は常に最新版の機能を享受できるため、最新のセキュリティパッチや新機能を取り入れることで業務効率を高められるという利点があります。AIやクラウドストレージ、チームでの共同編集が前提となるワークスタイルでは、Office 2024では機能が不足するケースも考えられます。そのため、企業のIT部門では「利用部門ごとにどのライセンスを割り当てるか」を柔軟に組み合わせるケースも増えてきています。
さらに、Office 2024のサポートが2029年までであることを踏まえると、長期的な運用計画の中で「サポート切れ後のリプレイス戦略」を明確にしておく必要があります。特に官公庁や金融機関のようにシステム更新サイクルが長い組織では、5年というサポート期間の短さが課題となるでしょう。逆に、中小企業や短期間のプロジェクト利用においては、コスト効率が非常に高い選択肢となります。
このように、Office 2024とMicrosoft 365は「どちらが優れているか」ではなく、「どのような環境に最適化されているか」で選ぶことが重要です。
企業ユーザー向けの判断材料
- 短期利用ならOffice 2024
- 例えば「5年間限定のプロジェクト」や「オフライン環境での利用」が中心の場合は買い切り版が有利。
- 長期利用や共同作業ならMicrosoft 365
- AI(Copilot)、1TBクラウド、共同編集など、業務効率化を狙う企業にはサブスク型が圧倒的に有利。
- ライセンス管理
- Office 2024は1台ごとのライセンス。PC更新時は再インストール可能ですが、移行手続きに時間がかかる場合もあります。
- Microsoft 365はアカウント単位での利用なので、デバイスの入れ替えが柔軟です
スポンサーリンク
- 買い切りで安心の永続ライセンス
- Word, Excel, PowerPoint, Outlook を収録
- サブスクリプション不要
まとめ
Office 2024は、「一度購入すれば使い続けられる」という安心感を提供します。サブスクリプションに抵抗があるユーザーや、短期的にコストを抑えたい企業には最適です。
一方、AIやクラウド連携といった最新の生産性向上機能を重視する場合には、Microsoft 365を選ぶ方が長期的にはメリットが大きいでしょう。
- 買い切りの安定性を取るか
- 常に最新機能を享受するか
それぞれの利用シーンに応じて、適切な選択をすることが重要です。
この記事を読んで「自社はどちらが合っているのか?」と迷われている方は、既存の環境や予算、利用年数を基準に判断されるのが良いと思います。
あなたにおすすめ関連記事
▶︎Office 2024 vs Microsoft 365 vs Familyを徹底比較