
はじめに
2025年8月以降、Microsoft は Microsoft 365 の各アプリ内で使える「Copilot Chat」 を、対象の Microsoft 365 サブスクリプション向けに追加費用なし(別ライセンス不要)で順次ロールアウトしています。デスクトップ・Web・Mac 版は8月中旬開始〜10月初旬完了見込み、モバイルは9月末までに完了見込みと案内されています。
一方で、高度な Excel 分析や Teams の高度要約、Power Platform 連携などは、従来どおり 「Copilot for Microsoft 365」(企業向け有料) または 「Copilot Pro」(個人向け有料)が必要です。
Copilotとは?
Copilot は Word / Excel / PowerPoint / Outlook / OneNote / Teams などに統合された AI アシスタントです。アプリのサイドパネルからチャット形式で指示(Copilot Chat)し、文章作成・要約・スタイル調整、集計・式提案、会議の要点抽出などを支援します。
いま“無料(追加費用なし)”で使えること/“有料”が必要なこと
| 領域 | 追加費用なし(対象M365サブスク) | 有料が必要 |
|---|---|---|
| Word/PowerPoint/OneNote | サイドパネルのCopilot Chatで要約・下書き支援・言い換え | 高度生成・高負荷機能はCopilot Pro/for Microsoft 365 |
| Excel | Copilot Chatでの説明・簡易分析の支援 | 高度分析や表全体の大規模生成等は有料層(企業/Pro) |
| Outlook/Teams | 要約・下書き支援(Copilot Chat) | Teamsの高度なインテリジェント要約などは企業向け有料 |
| Power Platform/拡張 | — | Copilot Studio/エージェントなどは別途(Studio容量/AgentsはAzure従量) |
※“追加費用なし”は対象の Microsoft 365 サブスクリプションを持つ Microsoft Entra アカウントが前提です。
プラン別の目安
- 個人:Microsoft 365 Personal / Family
アプリ内 Copilot Chat は追加費用なし。より強力な生成(特に画像/高負荷や優先計算資源など)を求める場合は Copilot Pro を検討。 - 法人:Business Standard / Premium など
Copilot Chat は追加費用なし。ただし、Excel高度分析/Teamsの高度要約/Power Platform連携/管理・ガバナンス強化などは Copilot for Microsoft 365(有料) が対象。
ロールアウト時期(2025年8〜10月)
- Word / Excel / PowerPoint / OneNote(Windows・Web・Mac):8月中旬開始〜10月初旬完了見込み
- モバイル(iOS/Android):8月中旬開始〜9月末完了見込み
上記は Microsoft のプラン/価格ページに明記されています。
アプリ名称の変更(リブランド)
従来の「Microsoft 365(Office)アプリ」は、2025年1月15日から「Microsoft 365 Copilot」へ名称・アイコンの展開を開始。Web は m365.cloud.microsoft に統合され、旧URL(office.com / microsoft365.com)は自動リダイレクトされます。
なお、10月以降 Windows 端末のスタートメニュー等で「Microsoft 365 Copilot」アプリが“自動で入ったように見える”事象が話題ですが、実体はリブランドと機能統合です。管理者は Apps Admin Center 等で制御できます(ニュース参照)。
新機能トピック:Teams「Audio recap」(音声要約)
Teams の「Audio recap」は、会議の文字起こしをもとに音声ダイジェストを生成して後から“耳で要点確認”できる機能です。精度は要確認と明記されており、検証しながらの運用が安心です。
メリット
- コストをかけずに着手:対象サブスクならCopilot Chat を追加費用なしで試せるため、PoCやチーム導入のハードルが下がる。
- 小さく始めて拡張:まずはアプリ内チャットで定型作業を効率化し、効果が出たら Copilot Pro / for Microsoft 365 で拡張。
デメリット・注意点
- “全部無料”ではない:高度分析・拡張は有料層(Pro/for M365)。要件に応じて線引きを。
- データ保護の設計が必須:Copilot が参照できる範囲=権限設計の質。Purview 等の情報ガバナンスとセットで。管理の公式ガイドへの社内ポータルリンク推奨。
企業利用の実務ポイント
- 権限と可視化:SharePoint/Teams の共有設定を棚卸し。Copilot は既存権限に従うため、“見えては困るデータ”が見えていないかを先に是正。
- 最小構成からの段階導入:まずは「Copilot Chat+要約」のみで運用ルールを固め、後から Teams 高度要約 / Excel 高度分析 へ拡張。
- トレーニング:プロンプトの型(「役割・目的・条件・出力形式」)をテンプレ化し、再現性のある使い方をチームで共有。
- 監査・記録:監査ログ/保持ポリシーの確認と、“AI に入力しない情報”の明文化。
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まずは基盤を整える:Microsoft 365(Personal/Family)
Copilot Chatを“追加費用なし”で使うなら、対象のMicrosoft 365サブスクが前提。Word/Excel/Outlookを日常的に使う方は、まずここから始めるのが近道です。
まとめ
- 対象の Microsoft 365 サブスクなら、各アプリの「Copilot Chat」を追加費用なしで使える(2025年8月中旬〜10月初旬に展開)。
- 高度機能(Excel 高度分析、Teams 高度要約、拡張/エージェント等)はCopilot Pro / Copilot for Microsoft 365(有料)が必要。
- 名称変更は 2025年1月15日から段階展開。スタートメニューの見え方はリブランドによるもの。
- Teams の Audio recap など新機能も登場。効果検証とガバナンス設計を並走させるのが安全。
今回の追加費用なしでの「Copilot Chat」提供は、Microsoft が AI を“特別な機能”ではなく“標準の作業ツール”として広げていく大きな一歩です。
まずは Word や Outlook、Excel などで実際に触れてみることで、自分の作業スタイルにどう変化が生まれるのかを体感できます。
AIをうまく活用できれば、文章作成・分析・コミュニケーションすべての時間が短縮され、生産性の質そのものが変わります。
今後も Copilot は Pro/for Microsoft 365 との連携強化や業務自動化機能などが順次追加される予定です。
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