2025年5月30日、年金制度に関する改正法案が衆議院本会議で可決され、参議院に送付されました。

日本の年金制度における今後の行方を左右する重要な節目として、大きな注目を集めています。
今回の法案では、将来的な少子高齢化を見据えて「年金制度の持続可能性」をどう保つか、という点に焦点が当てられています。
中でも話題となっているのが、「基礎年金の水準が将来的に低下する可能性がある場合に、厚生年金の積立金を活用する」という新たな仕組みの導入です。
■ 今回の改正案のポイントは?
厚生労働省が発表した資料などによると、以下のような内容が含まれています。
- 基礎年金の水準維持に向けた仕組みの整備
→ 2029年に行われる財政検証の結果次第で、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合に、厚生年金の積立金を活用することが可能に。 - 繰下げ受給の利便性向上
→ 年金の受給開始時期を遅らせた場合の手続きが簡素化され、高齢者がより柔軟に働きながら年金を受け取る選択がしやすくなる。 - 年金加入期間の見直しや電子化対応の促進
→ 年金制度全体の利便性や透明性を高める方針が示されている。
■ 「積立金の活用」は今すぐ始まるの?
今回の法案で誤解されやすいのが、「厚生年金の積立金がすぐに使われるのか?」という点です。
実際には、今すぐ積立金を取り崩すわけではありません。
今回の改正は、2029年に実施される財政検証の結果を踏まえて、将来基礎年金が一定の水準を下回ることが予測される場合にのみ、「備え」として活用できる仕組みをあらかじめ整えるものです。
■ 将来の受給額が減る?102万円の減少は本当?
一部のメディアでは、今回の法案と関連づけて、
「現在65歳で厚生年金を受け取っている人の受給総額が、将来的に約102万円減る可能性がある」
という試算が紹介されています。
ただし、この情報はあくまで将来の経済前提に基づくシミュレーションの一例であり、制度改正により必ずその額が減るということではありません。
給付水準は、以下のような多くの要素によって変動します。
- 日本の賃金水準(マクロ経済スライドの影響)
- 出生率や人口構成の変化
- 今後の政策判断(増税・財源確保など)
将来予測はあくまで「前提条件」が変われば大きくブレるものであるため、断定的に「○○円減る」といった表現には注意が必要です。
■ なぜ「厚生年金の積立金」が注目されているのか?
現在、日本の公的年金制度は「賦課方式」が基本となっており、現役世代が納めた保険料で高齢者の年金を支えています。
しかし、出生率の低下や高齢化の進行により、将来の制度維持に対する不安が高まっています。
そうした中で、厚生年金の積立金(約200兆円規模)を、基礎年金の補完に使う選択肢を用意するというのは、ひとつの“柔軟性”を持たせる試みとも言えるでしょう。
ただし積立金には運用リスクもあり、過度な取り崩しは制度全体の信頼性を損なう恐れがあるため、慎重な議論が求められます。
■ よくある質問
Q:年金の受給額がすぐに減るのですか?
→ 今回の法改正が直接、現在の年金受給額に影響するわけではありません。あくまで将来の選択肢を用意する制度整備です。
Q:若い世代ほど損をするという話は本当?
→ 将来的に給付水準が下がる可能性はありますが、それに応じて働き方や税制、積立制度の見直しがなされることも考慮されています。
■ まとめ|「知らないままにしない」ことが、将来を守る第一歩
今回の年金制度改正案は、「今すぐ年金が減る」というような内容ではなく、今後の人口動態や経済状況に備えるための“仕組みづくり”が中心です。
今回の制度をわかりやすく表にまとめてみました。
項目 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
可決日 | 2025年5月30日 | 衆議院本会議で可決、現在は参議院へ送付済み |
主な目的 | 年金制度の持続可能性を確保 | 少子高齢化による給付低下リスクへの備え |
積立金の活用 | 財政検証の結果次第で活用可能 | 現時点での取り崩しは行われない |
給付減の試算 | 一部報道で「約102万円減」 | 将来予測の一例であり断定はできない |
他の改正点 | 繰下げ受給の簡素化、電子化対応など | 高齢者の働き方の選択肢拡大も視野に |
今できること | 制度を理解し将来の備えを考える | 情報に振り回されず、正しく理解を(冷静に情報を整理) |
- 2025年5月30日:衆議院本会議で可決(参議院で審議予定)
- 2029年:財政検証の結果を受けて、本格的な制度運用が検討される可能性あり
- 現時点では大きな制度変更というより、「備え」の段階
不確かな情報に振り回されるよりも、制度の意図と流れを知り、今できることを考える姿勢が、これからの社会で生きる私たちには必要です。
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