長期休暇のあと、久しぶりに出社して電源ボタンを押す――
「……あれ? 反応がない?」そんな経験、ありませんか?

今回は、PCの電源が入らないときにまず試すべき5つの基本的な確認ポイントを、わかりやすく紹介します。
焦らず、順番に確認してみましょう。
手順1:まずは「電源ケーブル」と「コンセント」をチェック
意外と多いのが「電源ケーブルの抜け」や「電源タップのスイッチがオフ」になっているケースです。
以下を順番に確認してください。
電源ケーブルがPC本体にしっかり刺さっているか
①コンセントに通電しているか(スマホ充電などで確認)
②電源タップのスイッチはONになっているか
③落雷などでブレーカーが落ちていないか
このように、ちょっとした接触不良が原因で電源が入らないこともあります。
手順2:PC本体の「放電」を試す
電源がまったく入らない場合、PC内部に電気が残ってしまっていることが原因かもしれません。
次のように「放電」(PC内部に残った不要な電気を放出すること)を行いましょう。
<デスクトップ・ノート共通です>
①電源コードをコンセントから抜く
②ノートPCの場合は、バッテリーが取り外せる機種であれば外す
③電源ボタンを10~30秒程度長押しする
④電源コードを戻して、再び電源を入れる
「こんなことで?」と思われるかも知れませんが、呼ばれて修理に行ってもこれだけで復活することはよくあります。
手順3:モニターや接続ケーブルも確認
本体は起動しているのに、画面が映らないだけというケースもあります。
以下を確認してみてください。
①モニターの電源は入っているか
②接続ケーブル(HDMI、DisplayPort、VGAなど)がしっかり刺さっているか
③デュアルモニター設定で、表示先が間違っていないか(ノートPCの場合)
💡画面が真っ暗なだけで「壊れた」と思ってしまうこともあるので要注意です。
手順4:異音・異臭がないか確認
もし「パチッ」という音や、焦げたようなにおいがする場合、内部の故障の可能性が高くなります。
この場合は無理に再起動を試さず、すぐにIT担当者や修理窓口へ連絡しましょう。
「突然電源が落ちた」「うっすら焦げ臭い」などのサインも危険信号です。
手順5:別の電源ケーブル・ACアダプタを試す
特にノートPCでは、ACアダプタの断線や故障が原因になっていることがあります。
予備の電源ケーブルや、同型モデルのアダプタがあれば一度試してみましょう。
純正品でなくても、動作確認のためなら問題ありません。ただし、出力電圧がPC本体の指定と異なるACアダプタを使用すると、故障の原因になることがありますので注意してください。
トラブルを未然に防ぐために:予防策とメンテナンス
「PCの電源が入らない」といった事態は、日頃のちょっとした心がけで防げるケースも多くあります。
ここでは、故障の予防や休暇前にしておくと安心な準備についてご紹介します。
■ 日常的なメンテナンスを習慣に
- 定期的な再起動を行う
長時間スリープ状態にしていると、動作が不安定になることがあります。週に一度は再起動するようにしましょう。 - ホコリの除去はこまめに
PC内部や電源周りにホコリがたまると、通電不良や発熱の原因になります。掃除機やエアダスターを使って、月に1回程度の清掃を。 - ソフトウェアのアップデートも重要
OSやBIOSの更新には、電源管理や安定性の改善が含まれることがあります。セキュリティの観点からも、アップデートは怠らないようにしましょう。
■ 電源周りの安全対策を見直そう
- タコ足配線は要注意!
複数の機器を1つのコンセントに接続すると、電力が足りず電源が落ちたり、火災リスクが高まることも。使用は最小限に。 - 雷サージから守る
雷などによる急な電圧変化で、PCが故障することもあります。雷サージ対応の電源タップを使うのがオススメです。 - UPS(無停電電源装置)を導入する
重要な作業をしているときの突然の停電でも、電力を一時的に確保できるUPSは安心感があります。オフィスでの導入も検討してみましょう。
■ 長期休暇前にやっておきたい準備
- 正しいシャットダウンを心がける
スリープや休止状態ではなく、完全にシャットダウンしてから休暇に入ることで、不要な電力消費や不具合を防げます。 - ケーブルの整理整頓も忘れずに
ケーブルがゆるんでいたり、踏まれて断線していたりすることもあります。電源ケーブルを含め、周辺機器の配線を見直しておくと安心です。
ちょっとした対策でも、PCトラブルの予防や被害の軽減につながります。
「壊れてから」ではなく、「壊れる前に」できることを習慣にしておきましょう。
✔️それでも直らないときの“応用編”トラブルシューティング(少し専門的)
基本の確認では解決しなかった方のために、もう一歩踏み込んだトラブル解決の方法をご紹介します。
少し難易度が高めになりますが、順を追って説明するので、落ち着いて試してみてください。
■ BIOS/UEFIの起動と確認
BIOS/UEFIとは?
PCの電源を入れて一番最初に動作する、ハードウェア制御の設定画面です。ここでハードディスクやメモリが認識されていない場合、物理的な故障が疑われます。
起動方法の例
電源ボタンを押した直後に、メーカーに応じて「Delete」「F2」「F12」などのキーを連打します。
(例:NEC=F2、Dell=F12 など)
BIOS/UEFIで確認できること
CPU温度、メモリの容量、接続されているストレージの有無など。これらが正しく表示されていなければ、接続不良や故障の可能性があります。
■ セーフモードでの起動
セーフモードとは?
WindowsやMacが、最低限の構成だけで起動する診断モードです。ドライバや常駐ソフトが原因の場合、セーフモードでは起動できることがあります。
起動方法
・ Windows 10/11:Shiftキーを押しながら「再起動」→「トラブルシューティング」→「セーフモード」
・ Mac:電源オン時に「Shiftキー」を長押しします。
判断のヒント
セーフモードで正常起動すれば、ソフトウェアの問題が原因の可能性が高いです。
最近インストールしたアプリなどを見直しましょう。
■ 周辺機器の切り離し
意外とある落とし穴
USBメモリ、外付けHDD、プリンタなどが原因でPCが止まることがあります。特に、起動時に「黒い画面で止まる」場合はこれが疑われます。
手順
すべての周辺機器を一度外し、PC本体だけの状態で電源を入れてみましょう。
その後、一つずつ機器を戻しながら原因を切り分けていきます。
■ リカバリー(初期化)という選択肢
✔️最終手段ですが…
どうしても起動しない・修復できない場合、PCを初期状態に戻すリカバリーが必要になることもあります。ただし、保存していたデータは消えるリスクがあるため注意が必要です。
OSごとの方法
・Windows:電源オンとオフを3回繰り返すことで自動修復に入り、「このPCを初期状態に戻す」へ
・Mac:電源オン時に「Command + R」を押しながら起動 → macOSユーティリティから初期化
応用編でも解決しないときは?
これらをすべて試しても改善しない場合は、ハードウェアの深刻な故障やマザーボードのトラブルの可能性もあります。無理に自分で分解などはせず、メーカーや専門業者に相談するのが最も安全です。
まとめ:慌てず、基本から確認を
電源が入らない=壊れた、とは限りません。
まずは今回紹介した「5つの基本手順」を落ち着いて確認し、それでも改善しない場合は専門部署(社内のIT担当者や、メーカーのサポート窓口など)へ連絡しましょう。
連休明けはPCも少し“お休みボケ”しているかもしれません。
人間と同じように、ゆっくり目を覚ます準備をしてあげましょう。