「出社してPCをつけたら、なぜか動かない」
「ネットに繋がらない」
「アップデートで固まった」
そんなトラブル、実は大手企業内でも急増中です。
この記事では、社内のIT部門に連絡する前に自分で試せる対処法をわかりやすく解説します。
トラブルが起きたとき、慌てず落ち着いて対応するための“朝一チェックリスト”としてご活用ください。
よくあるトラブルと「まず試すべきこと」
以下に「まず試すべきこと」をわかりやすく表にしてみました。
トラブル内容 | 最初にやること |
---|---|
PCの起動が極端に遅い | 一度「再起動」し、外部機器(USBなど)を外してみる |
ネットに繋がらない | Wi-Fi接続先の確認 → IPv6無効化やDNSリセット |
アップデートで止まる | 「Windows Update」を手動確認/SoftwareDistributionのリセット |
ログインできない | CapsLockやNumLockの確認/ローカルアカウントの使用 |
社内IT部門に聞く前に試してみる「3つのセルフチェック」

1. 再起動しても変わらない場合
- Windows + Rキー →「msconfig」と入力してスタートアップを確認
- 「不要な起動項目」を無効にするだけでも劇的に軽くなることがあります
2. コマンドプロンプトを使って診断
Windowsには「コマンドプロンプト(黒い画面)」という診断用のツールが用意されています。
次の手順で、システムファイルに異常がないかをチェックできます。
実行手順
- PC画面左下の「🔍検索ボックス」や「スタートメニュー」をクリック
- 「cmd」と入力すると「コマンドプロンプト」が表示されます
- そのアイコンを右クリックし、「管理者として実行」を選びます
- 黒い画面が開いたら、次のコマンドを入力してEnterを押します
sfc /scannow
→ システムファイルの整合性チェックができます(10〜15分)
- 「管理者として実行」が表示されない場合は、アイコンを右クリック →「その他」→「管理者として実行」と進んでください。
- ノートPCの場合、ACアダプタをつないだ状態で行うと安心です。
3. ネットワークトラブル時はDNSリセット
Wi-FiやLANケーブルでつないでいるのに「インターネットに接続できません」と出るときは、
パソコンの「DNS(名前解決)」という仕組みが乱れている可能性があります。
そんな時は、以下の手順でDNSをリセットしてみましょう。
実行手順
- PC画面左下の「🔍検索ボックス」またはスタートメニューをクリック
- 「cmd」と入力して、「コマンドプロンプト」が表示されたら右クリック
- 「管理者として実行」をクリックして、黒い画面を開きます
- 下のコマンドを入力して、Enterキーを押します
ipconfig /flushdns
「DNS Resolver Cache が正常にフラッシュされました。」と表示されれば完了です。
よくあるミスと注意点
- 【USB機器】常時接続している外付けHDDやUSBメモリが起動を妨げる原因になることがあります
- 【無線LAN】Wi-Fiルーターとの相性やドライバの古さで突然接続不能になることも
- 【シャットダウンと再起動の違い】「電源オフ」では更新が完了しないケースあり。“再起動”が効果的
これらのミスは、日常的な操作の中で無意識にやってしまいがちなことばかりです。
特に業務用PCは、「自分の裁量でいじってはいけない」という意識が強くなりやすく、そのまま放置してしまうことで、トラブルが長期化するケースも少なくありません。
また、「シャットダウン」と「再起動」の違いに気づいていない人も多いですが、実は「再起動」の方がパソコン内部をリセットする効果が高く、アップデートもきちんと適用されやすいという特徴があります。
更新のせいで重いときの対処法
「Windows UpdateのせいでPCが重い」場合、以下の方法で改善することがあります。
◾ 対処手順
以下の操作では、Windowsが保持している「更新プログラムの一時保存フォルダ(SoftwareDistribution)」をいったんリセットし、再取得を促すことで不具合を解消します。どなたでも、手順どおりに実行すれば安全に行える作業です。
※不安な場合は、社内のIT部門に確認してから進めてください。
net stop wuauserv
net stop bits
ren C:\Windows\SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old
net start wuauserv
net start bits
→ 更新関連フォルダをリネームして、再取得させる方法です。
※コマンドプロンプトを「管理者として実行」する必要があります。
❗ コマンドが実行できない・エラーになる場合の対処法
上記のコマンドを入力しても、以下のようなメッセージが表示されることがあります。
- 「アクセスが拒否されました」
- 「指定されたサービスは開始されていません」
- 「ファイルが使用中のため、名前を変更できません」
これらのエラーが出た場合は、次の対処法を順に試してみてください。
1. 「管理者として実行」されていない
コマンドプロンプトは必ず「管理者として実行」しないとできません。
方法が分からない方は以下の手順を確認してみてください。
- 左下の検索ボックスに cmd と入力
- 表示された「コマンドプロンプト」を右クリック
- 「管理者として実行」を選んで黒い画面を開く
2. Windows UpdateやBITSサービスが手動停止できない場合
「サービスが実行中です」や「停止に失敗しました」と表示されるときは、以下を試してみましょう。
- タスクマネージャーで「Windows Update」「Background Intelligent Transfer Service(BITS)」のプロセスを確認し、停止する
- どうしても止まらない場合は、PCを一度再起動後にすぐコマンドを実行する
3. フォルダのリネーム(SoftwareDistribution.old)ができない
「使用中のため名前を変更できません」と出る場合は
- 上記2つのサービス(wuauservとbits)が確実に停止していることを確認
- エクスプローラーをすべて閉じてから再試行
- コマンドプロンプトを「セーフモード+管理者権限」で起動すると成功しやすくなります。
4. それでもうまくいかない場合は…
- 手動でフォルダ削除やリネームが難しい場合は、「Windows Update トラブルシューティングツール」を使う方法もあります。
- 設定 → 更新とセキュリティ → トラブルシューティング → 「Windows Update」を選択 → 修復を実行
- 企業PCで制限がある場合は、IT部門に実行権限があるかを確認してみる必要があります。
補足:この操作の影響について
このコマンドで削除・リネームされるのは一時的な更新ファイルのみです。
個人ファイルやアプリには一切影響はありませんので、安心して操作できます。
明日のトラブルを防ぐには
- PCは「シャットダウン」ではなく「再起動」で終了する
→ Windows Updateが途中で止まることを防げます - 出社後すぐにブラウザを立ち上げず、まずはPC状態の確認を
→ 起動直後は裏で処理が走っている場合あり - スタートアップアプリを定期的に見直す
→ IT部門に相談する前に、自分の環境を整えることが基本です
社内PCならではの“制限”に注意
業務用PCは、セキュリティ強化のために制限がかかっていることがよくあります。
たとえば
- Windowsの一部設定が変更できない
- ソフトのインストール権限がない
- VPNやイントラネットの経由でしかアクセスできないサービスがある
これらの制限がトラブルの原因となっている場合、自分でいじっても解決できないことがあります。
そのため、自分のPCがどういう制限の中にあるかを知っておくことが、実は最も重要な“予防策”です。
トラブルが起きたとき、「管理者権限が必要です」と出たら無理に進めず、IT部門に報告しましょう。
「ちょっと待てば直る」ことも多い?
Windowsの更新や処理は、バックグラウンドで行われるため、起動直後に重くなるのはよくある現象です。
特に「朝一番」は次のような処理が走っていることがあります。
- Windows Updateのバックグラウンド実行
- セキュリティスキャン(Defender等)
- OneDriveやTeamsの同期
これらは「数分〜十数分」で自然に落ち着くことも多いため、
「起動直後にすぐ操作せず、5分ほど様子を見る」
という対処も意外と効果的です。
もちろん、それでも遅い・止まるようであれば、本記事で紹介したセルフチェックを行ってください。
IT部門への“伝え方”で対応スピードが変わる
「PCが重い」「動きません」では、IT部門の担当者も原因が特定できません。
スムーズな対応のために、以下のように具体的な状況を伝える習慣をつけましょう。
質問 | よくある伝え方(NG) | 正しい伝え方(OK) |
---|---|---|
いつ発生した? | 今朝 | 6月2日の朝9時、出社直後の起動時に |
どんな症状? | 動かない | ログイン後、5分以上読み込みが続く画面で止まった |
何を試した? | 何もしてない | 再起動とLANケーブルの抜き差しは試した |
このように伝えるだけで、IT部門の対応スピードと的確さが段違いに変わります。
記事内のチェックリストも、相談前のメモに使ってください。
よくある質問とその答え
Q1. IT部門が忙しくてなかなか来てくれません
→ 上記のセルフチェックを済ませたうえで、「どの画面で止まっているか」「最後に動いたのはいつか」をメモしておくと、対応がスムーズになります。
Q2. 自分でやるのは不安です
→ 無理にいじる必要はありません。手順を印刷してIT部門に渡すのも有効です。
まとめ:業務PCにトラブルはつきもの。落ち着いて対応を!
企業ユーザーにとって、パソコンの不具合は「生産性に直結する」深刻な問題です。
ですが、基本的なセルフ診断を知っておくだけで、大半のトラブルは解決の糸口が見えます。
特に、業務用のPC環境では標準化された設定がされていることも多いため、
このようなセルフチェック項目を知っておくことは強力な“武器”になるでしょう!
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