Windows Updateを実行した際に、「0x800f0831」というエラーコードが表示され、更新に失敗してしまうことがあります。このエラーは比較的多くのユーザーに発生しており、原因が複数あるため、対応に苦労される方も少なくありません。
この記事では、「0x800f0831」の原因とその対処法について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
エラーコード0x800f0831の概要
このエラーは主に
「更新プログラムのインストール中に必要なファイルが見つからない」
「依存する更新プログラムがインストールされていない」
「コンポーネントストア(Component Store)が破損している」
などの理由で発生します。
- .NET Frameworkの更新に失敗した場合
- Windowsの累積更新プログラムが途中で止まった場合
- 以前の更新プログラムが完全に適用されていない状態で次の更新を行った場合
というような状況で表示されることが多いエラーです。

主な原因
1. 依存関係にある更新プログラムが見つからない
エラー「0x800f0831」が最もよく発生する理由のひとつが、ある更新プログラムが過去の更新プログラムを前提としているにもかかわらず、それがインストールされていない状態です。
例えば、KB番号で指定された前提条件の更新が欠けていると、インストーラーが必要なファイルを見つけられずに停止します。
2. Windows Updateのキャッシュ破損
ダウンロード済みの更新ファイルが破損していたり、不完全だった場合にもこのエラーが発生します。
3. プロキシやセキュリティソフトの干渉
会社や自宅のネットワークやウイルス対策ソフト、ファイアウォールがWindows Updateの通信をブロックしているケースもあります。またご使用しているVPN接続なども干渉の原因になることがあります。
対処法1:DISMとSFCによるシステム修復
まず試したいのが、Windowsのシステムファイルを修復するコマンドです。以下の手順で操作してください。
【手順】
- スタートボタンを右クリック →「Windowsターミナル(管理者)」を開く
- 以下のコマンドを順に入力してEnterします
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
続いて
sfc /scannow
- 完了したらパソコンを再起動し、もう一度Windows Updateを試してください。
(この方法で、破損したファイルや不足しているコンポーネントが修復されることがあります。)
補足*DISMのコマンドには以下のオプションを試す価値があるかもしれません。
DISM /Online /Cleanup-Image /ScanHealth
・コマンド終了後は再起動してください。
注意・↑これは破損を検出するのみで修復は行いませんが、より正確な診断に役立つことがあります。
対処法2:Windows Updateの履歴とキャッシュのクリア
以下の手順で更新の履歴とキャッシュを削除して、再ダウンロードを促します。
注意・管理者権限が必要な操作です。
【手順】
- Windowsキー + R で「ファイル名を指定して実行」を開く
- services.msc と入力してEnter
- 「Windows Update」サービスを右クリックして「停止」
- エクスプローラーで以下のフォルダにアクセス
C:\Windows\SoftwareDistribution
- DownloadフォルダとDataStoreフォルダの中身を削除(※フォルダごとではなく中身だけ)
- 再び「services.msc」を開き、「Windows Update」サービスを「開始」
その後、Windows Updateを再度実行してみてください。
対処法3:前提となるKBパッチを手動でインストール(上級者向け)
Windows Updateカタログから、必要なKBパッチを手動でインストールする方法です。
【確認手順】
- エラー発生時のログを「イベントビューアー」または「CBS.log(場所はC:\Windows\Logs\CBS\CBS.log)」で確認
- 欠けているKB番号を調べて、Microsoft Update カタログで検索
- 該当のパッチをダウンロードし、手動でインストール
この方法は、企業ネットワークやオフライン環境で特に有効です。
【補足】
Microsoft Update カタログの利用は高度な対処法であるため、ある程度のPC知識があるユーザー向けです。テキストファイルであるため、メモ帳などで開いてエラーに関連する記述を探す必要があります。
対処法4:.NET Frameworkの有効化
このエラーは.NET Framework関連の更新でもよく発生します。
【手順】
- 「Windows の機能の有効化または無効化」を開く(スタートで検索)
- 「.NET Framework 3.5(.NET 2.0 および 3.0 を含む)」にチェックを入れる
- OKを押してインストールを進めます(インターネット接続が必要です)
うまく進まない場合は、DISMでオフラインインストールを行うこともできます。
【補足】
DISMでのオフラインインストールではWindowsインストールメディア(ISOファイルなど)が必要になります。また、具体的なDISMコマンドは
DISM /Online /Enable-Feature /FeatureName:NetFx3 /All /Source:D:\sources\sxs /LimitAccess
(D:\sources\sxs はインストールメディア内のSXSフォルダのパスに置き換えてください)
最終手段:メディア作成ツールでの上書きインストール
どうしても改善しない場合は、Windowsの上書きインストール(修復インストール)が有効です。
*念のため重要なデータはバックアップしておいてください!
【参考手順】
- Microsoft公式サイトから「メディア作成ツール(MediaCreationTool.exe)」をダウンロード
- 「このPCを今すぐアップグレードする」を選択し、データを保持したまま再インストール
インストール完了後、多くの更新エラーが解消されるケースがあります。
まとめ
エラーコード「0x800f0831」は、Windowsの更新失敗エラーの中でも比較的発生頻度が高いものです。ですが、原因と対処法を正しく知っていれば、ほとんどの場合は自力で解決することができます。
特に以下の3点を意識して対応すると効果的です。
- 過去の更新(KBパッチ)の確認と適用
- DISM/SFCコマンドによる修復
- Windows Updateのキャッシュ削除
それでも解決しない場合は、上書きインストールという選択肢もあります。落ち着いてひとつずつ試していきましょう。