
はじめに|ネットに「つながっているのに使えない」不思議なトラブル
Windowsのアップデート後に「Wi-FiやLANには接続できているのに、メールが受信できない」「Webサイトが開けない」といった通信トラブルが発生することがあります。
これは見た目では接続できているように見えても、内部的には通信に問題がある状態です。
今回は、このような“見かけ上は正常”なのに通信できない原因と、その対処法をわかりやすく解説します。
よくある症状|ネットワークアイコンは正常でもWebが開かない
多くのユーザーが次のような状況を報告しています。
- Wi-Fiや有線LANアイコンは正常に表示されている
- 「インターネット アクセスあり」と表示されている
- しかし、EdgeやChromeなどのブラウザでは「ページが表示できません」エラー
- OutlookやThunderbirdなどのメールソフトが受信できない
- 一部のアプリ(Teams、OneNoteなど)がオフライン表示になる
このような現象は、ネットワークは接続されていても、通信経路や設定に問題がある場合に発生します。
主な原因|アップデートで設定が書き換わることも
1. DNSサーバーが正常に機能していない
Webページを開く際、URL(例:www.example.com)をIPアドレスに変換する「DNSサーバー」が正常に動作していないと、通信は行えません。
【補足】KB5060533など一部のWindows更新で、DNS解決エラーが報告されています。
2. プロキシ設定が自動でオンになっている
Windowsアップデート後、まれにプロキシ設定が勝手にオンになり、通信に支障をきたすことがあります。
【補足】企業や学校などのネットワークを利用しているPCで、特にこの設定が原因になることが多いです。
3. ファイアウォール設定が変更された
Windows Defender ファイアウォールの設定がアップデートにより変更され、特定の通信(メールやHTTPS)がブロックされてしまうことがあります。
4. 一部アップデートが通信機能に悪影響を及ぼしている
2025年6月配信の「KB5060533」などのパッチ適用後に発生しているケースも確認されています。特定の環境では、通信スタックに異常が出ることがあります。
対処法|通信を復旧させるための基本的な手順
1. DNSをGoogleパブリックDNSなどに変更する
DNSの不具合が原因である場合、以下の設定変更が有効です。
- [コントロールパネル] > [ネットワークと共有センター] > [アダプターの設定の変更]
- 接続中のネットワークを右クリックして「プロパティ」
- 「インターネット プロトコル バージョン4(TCP/IPv4)」を選択し「プロパティ」
- 「次のDNSサーバーのアドレスを使う」にチェックを入れ、以下を入力します
代替DNSサーバー:8.8.4.4
【補足】これはGoogleのDNSです。高速かつ安定しているため、多くの不具合に対応可能です。
2. プロキシ設定を確認して無効にする
- [設定] > [ネットワークとインターネット] > [プロキシ]
- 「スクリプトによる設定」や「手動プロキシ設定」がオンになっていれば、すべてオフにします
3. Windows Defender ファイアウォールをリセットする
ファイアウォールの誤作動を防ぐには、一度設定をリセットするのが効果的です。
- [コントロールパネル] > [Windows Defender ファイアウォール]
- 左側の「既定値に戻す」を選択し、「はい」
4. 問題のある更新プログラムをアンインストールする
- [設定] > [Windows Update] > [更新の履歴を表示]
- 「更新プログラムをアンインストールする」から「KB5060533」などを選択し、削除
⚠️ アンインストール後は、必ず再起動をしてください。
5. コマンドによるネットワーク修復
通信トラブルが発生した場合は、コマンドプロンプトから以下のコマンドを順に実行することで、ネットワーク設定のリセットが可能です。
netsh int ip reset
netsh winsock reset
これらのコマンドにより、DNSキャッシュ・IPスタック・Winsockカタログが初期化され、名前解決やポート関連の問題が解消する場合があります。
6.「ネットワークのリセット」機能を使う
Windowsにはネットワーク設定を初期状態に戻す「ネットワークのリセット」機能があります。
【手順】
- [設定] → [ネットワークとインターネット] → [状態]
- 下の方にある「ネットワークのリセット」をクリック
- 「今すぐリセット」を実行し、再起動
【補足】Wi-Fiの設定やVPN構成もリセットされるため、事前にメモしておくことをおすすめします。
7.「セーフモード+ネットワーク」での起動テスト
一時的にセーフモード(+ネットワーク)で起動し、通信が復旧するかを確認してみるのも手です。
【やり方】
- [スタートメニュー] → [再起動]をShiftキーを押しながらクリック
- オプション画面が開いたら、[トラブルシューティング] → [詳細オプション] → [スタートアップ設定]
- 再起動後に「5)ネットワークを有効にしたセーフモード」を選択
これで通信できる場合、常駐ソフトやセキュリティソフトが原因の可能性があります。
8. セキュリティソフトを一時的に無効化して確認
アップデート後、サードパーティ製のウイルス対策ソフトが通信をブロックするケースもあります。
一時的に無効にして挙動を確認し、改善した場合は設定を見直すか、Windows Defenderに切り替えることも検討しましょう。
9. イーサネット(有線)接続に切り替えてみる
Wi-Fi接続が不安定な場合、一時的にLANケーブルを使った接続に切り替えてみるのも有効です。
【補足】無線LANドライバがアップデート後に正常に動作していないケースもあり、これにより原因の切り分けができます。
裏技|どうしても解決しない場合の応急処置
・一時的にVPNを導入すると、別経路で通信が確立されることがあります。
・新しいローカルアカウントを作成してログインし直すと、設定の不整合が解消されるケースもあります。
・コマンドプロンプトから ipconfig /flushdns や netsh winsock reset を実行するのも効果的です。(これは高度な対処法になります)
予防的対策|今後同じことが起きないようにするには?
- 更新前に「復元ポイント」を作成しておく
- DNSやプロキシの設定は手動で管理するようにする
- 「ネットワーク トラブルシューティングツール」を定期的に実行する
これらの予防策をあらかじめ実施しておくことで、トラブルが発生した際にも冷静に対処できるようになります。特にDNSやプロキシなどの設定は、アップデートによって変更されることもあるため、自分でコントロールできる範囲はなるべく手動で管理しておくのがおすすめです。
また、通信トラブルが起きたときは「ネット自体が悪いのではなく、PC側の設定が変わっている可能性がある」という視点を持つだけでも、原因の特定が早くなります。
まとめ|「ネットにはつながっている」だけでは安心できない時代
Windowsアップデートは利便性向上のために必要なものですが、時として意図しないトラブルを引き起こすこともあります。
今回のように、ネットワークが「見かけ上は正常」なのに通信ができないという現象は、DNSやプロキシ、ファイアウォールといった隠れた部分に原因が潜んでいるケースが多いです。
本記事が、同じようなトラブルに悩んでいる方の助けになれば幸いです。
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