はじめに(どんなエラー?)

Windows Update を実行したときに「0x80240069」が表示され、更新が先へ進まない事例が増えています。25H2 の累積更新(例:KB5066835)を適用しようとして失敗する、あるいは何度やっても更新準備の途中で止まる、といった症状が代表的です。
このエラーは更新コンポーネントの不整合や更新キャッシュの破損、サービスの停止、ネットワーク・プロキシの干渉などが重なって起きることが多く、手順を順番に試すことで解決できるケースが大半です。
しかし、0x80240069 はソフトウェア側の整合性問題であることが多く、バックアップ → 基本の修復 → 別経路インストールの順で落ち着いて進めれば、元に戻せる見込みが高いエラーです。
症状の例
- 「更新プログラムをダウンロード中」までは進むが、インストール開始で失敗する
- 「再試行」を押すと同じ番号で失敗を繰り返す
- スタンドアロン(.msu)を使っても途中で止まる/弾かれる
Windows Update の履歴に“失敗”として0x80240069が並びます。
主な原因(まず疑うポイント)
- キャッシュ破損:SoftwareDistribution・catroot2 の破損や署名キャッシュの不整合
- WU関連サービスの不調:Windows Update / BITS / 暗号化サービス(CryptSvc)などが停止・遅延
- ネットワーク起因:プロキシ・VPN・セキュリティソフトの通信フィルタ、DNSの取りこぼし
- ポリシーやレジストリの残り:過去に WSUS を使っていた、レジストリの WUServer が残っている など
- .msu の実行方法:ネットワーク共有から直接実行してエラー、権限不足で展開失敗
すぐできる初期チェック
- 空き容量の確保:Cドライブに10GB以上
- 周辺機器を外す:外付けHDD、USBメモリ、プリンタなどは一旦外します
- 常駐の一時停止:他社製ウイルス対策やチューナー・配信系ツールを一時的に止めます
- 再起動 → 更新の確認:一度の再起動で直ることも意外と多いです
手順1:トラブルシューティングを走らせる
- 設定 → システム → トラブルシューティング → その他のトラブルシューティング
- Windows Update → 実行
自動で基本的な不整合(サービス設定・レジストリの一部)を直してくれます。終わったら再起動し、更新を再試行します。
手順2:WUサービスと更新キャッシュを“安全リセット”
管理者の Windows PowerShell を開き、次を順に実行します(コピペOK)。
net stop wuauserv
net stop bits
net stop cryptsvc
ren C:\Windows\SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old
ren C:\Windows\System32\catroot2 catroot2.old
net start cryptsvc
net start bits
net start wuauserv
ポイント
キャッシュの再生成で、壊れたダウンロードや署名情報を作り直します。
実行後は必ず再起動し、Windows Update の「更新の確認」を押してみてください。
手順3:SFCとDISMで“土台”を整える
管理者 PowerShell で続けて次を実行します。
sfc /scannow
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
SFCがシステムファイルの破損を修復し、DISMがコンポーネントストアの整合性を直します。
※ SFC で修復が出た場合は再起動→もう一度 SFC、表示が「破損は見つかりません」になるまで繰り返すとより確実です。
手順4:ネットワークとプロキシ・VPNを点検
0x80240069 はネットワーク層の影響でも出やすいです。
- VPN を切る/別回線で試す(スマホのテザリング等で試すと切り分けが早いです)
- プロキシ設定の確認:設定 → ネットワークとインターネット → プロキシ → 自動検出のみ有効に
- DNS を一時的に変更:例)1.1.1.1 / 8.8.8.8 に切り替え → 更新を試す
- 証明書エラー対策:PC の日時ズレがあると署名検証に失敗します。日付と時刻を自動にし、再試行します
手順5:スタンドアロン適用(.msuはローカルに保存して実行)
- Microsoft Update カタログから該当 KB(25H2 向け)をダウンロード
- ネットワーク共有から直接実行せず、いったんデスクトップへ保存してダブルクリック
- 途中で止まる場合はセーフモード(ネットワークなし)で .msu を実行 → 再起動
※ 共有パスからの実行は、環境によって展開や署名照合に失敗しやすいです。
手順6:WSUS/ポリシーの“残り”を疑う(企業PC・中古PCで要注意)
・設定 → アカウント → 職場または学校にアクセスに見慣れない接続が残っていないか確認
レジストリの HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate
に WUServer
などが残っていると、家庭用回線で Microsoft へ直接取りに行けず失敗することがあります(企業管理の名残)。
企業管理配下でないのに残っている場合は、バックアップを取ってからポリシーを解除するか、新アカウントへ環境移行を検討します(触るのが不安ならこの手順はスキップしてOKです)。
手順7:修復インストール(ISOで上書き)— 成功率が高い“最終兵器”
- 最新の Windows 11 ISO を取得(Microsoft 公式ツールが安全)
- ISO をマウント → setup.exe → 個人用ファイルとアプリを引き継ぐを選択
- 画面の指示に沿って進める
これにより、更新コンポーネントを丸ごと再構築できます。多くの環境で 0x80240069 を回避して最新状態にできます。
まだ直らないときの深掘り
- サービス起動の確認:
services.msc
で Windows Update / BITS / Cryptographic Services / Windows Installer / Windows Modules Installer(TrustedInstaller) が動作しているか確認 - イベントログ:イベントビューアー → Windows ログ → Setup / System に失敗理由のヒントが残ります
- WindowsUpdate.log の生成:
Get-WindowsUpdateLog
を PowerShell で実行すると、解析用のログがデスクトップに出力されます - サードパーティ製AVの一時アンインストール:停止だけではドライバが残る製品もあるため、アンインストール→再起動→更新→再導入の順が確実です
- ストレージ健全性:
chkdsk /scan
、SSD のファームウェア更新、空き容量を再確認してみてください
よくある質問(FAQ)
Q. 0x80240069 はハードの故障ですか?
A. 多くはソフト側の整合性不良です。キャッシュ再生成・SFC/DISM・別経路インストールで解消することがほとんどです。
Q. .msu をダブルクリックしても動きません。
A. ローカルへ保存して実行してみてください。共有フォルダからの直接実行は失敗要因になります。セーフモードでの実行も有効です。
Q. 企業管理PCではどうすべき?
A. WSUS や管理ポリシーの可能性があります。社内の管理者に確認し、配布リングや一時的な直接配布の可否を相談してください。
まとめ
- まずは基本整備:空き容量・周辺機器・常駐の一時停止・再起動
- 次に“整える”:トラブルシューティング → キャッシュリセット → SFC/DISM
- ネットワークを切り分け:VPN/プロキシを外し、DNSや時刻を見直す
- 別経路で適用:.msu はローカル保存、ダメなら ISOで修復インストール
これで 0x80240069 は多くのケースで解決できます。
Windows Update は、仕組みが複雑に見えても、手順を分解すれば必ず原因に近づけます。
0x80240069 に当たっても、落ち着いて順番に進めれば、また普段どおりに更新できるはずです。
同じ症状で困っている方の助けになれば幸いです。
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