
はじめに
2025年10月の月例更新(Patch Tuesday)として配信された 「KB5066835」 は、Windows 11(24H2 / 25H2)向けの累積更新プログラムです。OSビルドは 26100.6899(24H2)/26200.6899(25H2) に上がります。公式情報では、セキュリティ修正や品質改善に加え、最近のプレビューで入っていた改善も取り込まれています。あわせて SSU(Servicing Stack Update:KB5067360) の適用も案内されています。
配信直後から、インストール時のエラー や 開発用途(IIS/localhost)での不具合 といった報告が点在しています。この記事では、「何が変わるのか」「どんなエラーが出やすいのか」「安全な対処手順」 を、PCが苦手な方でも実践できるようにやさしく解説します。必要に応じて 手動インストール(.msu) の入手先も紹介します。
KB5066835の概要(何が更新される?)
- 配信日:2025年10月14日(日本時間15日)
- 対象:Windows 11 24H2 / 25H2
- OSビルド:26100.6899 / 26200.6899
- 内容:セキュリティ修正、品質改善、前月プレビューの取り込み ほか
- SSU同梱:KB5067360(更新の土台を強化する仕組みの更新)
- 注記:Secure Boot 証明書の有効期限(2026年6月以降の段階的失効)に関する注意が掲示(早めの対応を推奨)
これらは Microsoft の公式サポートページに明記されています。
※Windows 11の更新サイクル(年1回の機能更新 ほか)の基礎情報は「Windows Release Health」にまとまっています。
いま出ている代表的なエラー/不具合の声
1) Windows Update のインストール失敗
- 「Install error – 0x800F0991」「0x800f0983」「“UNDOING CHANGES” で巻き戻る」など、途中で失敗して再起動を繰り返す 事例。フォーラムやコミュニティで複数報告が見られます。
2) IIS / ローカル開発(localhost)が動作しない
- IIS / IIS Express でローカルサイトが ERR_CONNECTION_RESET / ERR_HTTP2_PROTOCOL_ERROR を返すとの相談が寄せられています。特に Visual Studio でのデバッグや Web アプリ検証 に影響する可能性があります。
3) 既知の問題(公式掲示)
- 保護コンテンツの再生(Blu-ray/DVD/一部のDTVアプリ) が影響を受けるケース。2025年8月末以降の更新で発生し、9月以降の更新で一部解消・なお継続調査中、という扱いです(ストリーミングは非該当)。
※企業・管理者向けでは、Windows Server 2025 周辺で Active Directory のレプリケーション/DirSync に関する注意喚起が別途あります。クライアントの KB5066835 とは直接の混同に注意しつつ、サーバー側の既知の問題も並行チェックを。
まず確認したいポイント
- エラーコードのメモ
0x800F0991 や 0x800f0983 など、具体的な番号 を控えましょう(後述の対処で分岐に使います)。 - OSバージョン/ビルド
「設定 → システム → バージョン情報」から 24H2/25H2 とビルド番号 を確認。今回の正常適用は 26100.6899 / 26200.6899 が目安です。 - 周辺機器の切り離し・空き容量
外付けデバイスを外し、Cドライブに最低でも10GB以上 の空きを用意。 - セキュリティソフトの一時無効化(自己責任で)
リアルタイム保護が更新の展開をブロックすることがあります。IIS関連の不整合も、保護機能が一因になるケースが知られています。
それでも入らない? 基本の修復ステップ(順番どおりでOK)
Step 1:Windows Update トラブルシューティング
- 「設定 → システム → トラブルシューティング → その他のトラブルシューティング」から Windows Update を実行。
- これで 失敗履歴のリセット や 該当サービスの再初期化 が行われることがあります。
Step 2:DISM + SFC(システムの整合性確認)
管理者の Windows Terminal(またはコマンドプロンプト) で順に実行します。
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
sfc /scannow
- DISM は破損したコンポーネントストアを修復、SFC はシステムファイルの検査・置換を行います。
- 完了後に再起動 → 更新を再試行。
Step 3:SoftwareDistribution の初期化(履歴の詰まり解消)
- サービス停止
net stop wuauserv
net stop bits
- フォルダ名変更(バックアップ保全)
ren %systemroot%\SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old
ren %systemroot%\System32\catroot2 catroot2.old
- サービス再開
net start wuauserv
net start bits
- その後、Windows Update を再実行。
Step 4:スタンドアロン(.msu)で手動インストール
- Microsoft Update Catalog から KB5066835 の .msu を取得し、直接適用します。
- 24H2(x64 / ARM64)・25H2 それぞれのパッケージが公開されています。
- 公式手順では、同梱MSUの順序 に言及があり、DISM での一括指定や、Windows Update Standalone Installer(wusa) での個別順次適用が案内されています。
Step 5:それでも失敗する場合
- 高速スタートアップの一時オフ → 再起動 → 更新再試行。
- クリーンブート(常駐を最小に)での適用。
- 回復環境(WinRE)からの修復:更新後に起動ループする場合は 「前のビルドに戻す」 や システムの復元 を検討。
- 業務PCなら、更新の一時停止(最大7日) で様子見も選択肢。次回累積で解消されるケースは少なくありません。
IIS/localhost系の不具合が出たとき(開発者・上級者向け)
- KB5066835 適用後、localhost が ERR_HTTP2_PROTOCOL_ERROR / ERR_CONNECTION_RESET で失敗する事例が報告されています。IIS Express / Visual Studio デバッグ でも顕在化することがあります。
- 対策のヒント
- HTTP/2 の一時無効化(
HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\HTTP\Parameters
配下や、IISのバインド設定でテスト) - IISの再構成/機能の再追加(管理ツールからいったん無効→再有効)
administration.config
やapplicationHost.config
の不整合 を疑って再生成(バージョン不一致がUI不具合を引き起こす既知のパターン)- セキュリティソフトの干渉 を一時的に無効化して再検証
これらは Microsoft Q&A のガイダンスにも類似事例として言及があります。
- HTTP/2 の一時無効化(
企業・管理者向けの注意点(要ウォッチ)
- Windows Server 2025 環境では、AD DS のDirSync/大規模グループ同期 に関する既知の問題が告知されました(2025年9月以降のサーバー側更新が契機)。クライアント更新とは別軸ですが、ハイブリッド/連携運用 の場合は注意してください。
- また、Microsoft Tech Community では スキーママスターが Windows Server 2025 の場合 に、レプリケーション不整合 が起き得る状況が共有されています(Exchange CU と絡むシナリオ)。サーバー側の計画適用時は事前検証を。
よくある質問(FAQ)
Q1. 今すぐ入れるべき? それとも数日待つべき?
A. 業務で不具合の影響が大きい場合は 数日様子見 も堅実です。新規の既知問題が判明すると、数日内にガイダンスや修正がアナウンスされやすいためです。新機能や改善は翌月以降も取り込まれます。
Q2. .msuの「順番」って必要?
A. 公式ページでは 複数のMSUを含む場合の適用順 に触れており、DISMで同一フォルダ指定 して一括適用、または 個別順序での適用 を案内しています。
Q3. 更新後にBlu-ray等の保護コンテンツが再生できなくなった
A. 2025年8月末以降の更新で生じた問題に関連し、一部は9月以降の更新で緩和、なお一部アプリは継続調査中です。最新の月例まで更新して改善しないか確認し、アプリ側のアップデートも合わせて実施してください。
安全にアップデートするコツ
- 更新前のバックアップ(外付けSSD/クラウド)
- 周辺機器を外す・空き容量を確保
- セキュリティソフトは一時オフ(自己責任で)
- 失敗したら:トラブルシューティング → DISM/SFC → 履歴初期化 → .msu手動
- 業務PCは段階展開(テスト端末→本番)
- Secure Boot 証明書の更新方針 を早めに確認(2026年の期限を意識)
Windows Update の累積更新は、毎月のように配信されるため「また失敗した…」と感じる方も少なくありません。しかし、ほとんどのケースは一時的な通信やキャッシュの不整合が原因で、手順を踏めば解消できます。
焦らずに一つずつ確認していくことが大切です。もし更新後に調子が悪い場合も、次の月例アップデートで修正されることが多いため、無理に再インストールを繰り返さず様子を見るのも選択肢のひとつです。
トラブルが起きたときほど、バックアップと冷静な判断があなたのPCを守ります。安心してWindowsを使い続けるために、今後も最新情報をチェックしておきましょう。
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