「出勤前に共有フォルダを開こうとしたら、エラーが出てアクセスできない…」
もしあなたが今、そのような状況に直面しているのであれば、この記事がお役に立てるはずです。共有フォルダへのアクセス時に表示される「ネットワークパスが見つかりません(エラーコード:0x80070035)」というエラーは、多くの人が経験するトラブルの一つです。
そこで今日は、このエラーが発生する原因を丁寧に解説し、初心者の方でも理解できるよう、具体的な手順を交えながら解決策をご紹介します。
エラー「0x80070035」とは?
このエラーは、Windowsがネットワーク上の共有フォルダの場所(パス)を見つけられない場合に表示されます。つまり、「指定された場所に、お目当ての共有フォルダが存在しませんよ」とWindowsが教えてくれている状態です。
《具体的なメッセージ例》
ネットワークパスが見つかりません。
エラーコード:0x80070035
すぐに試せる!よくある原因と対策
このエラーにはいくつかの原因が考えられますが、まずは以下の表で、よくある原因とすぐに試せる対策を確認してみましょう。
よくある原因と対策一覧
原因 | 対策 |
---|---|
ネットワーク種別が「パブリック」になっている | 「プライベート」に変更する |
ネットワーク探索が無効 | ネットワーク探索を有効にする |
SMB 1.0が無効 | 必要に応じて有効にする(※セキュリティ注意) |
ファイアウォールがブロックしている | ファイル共有の例外設定を追加する |
PC名でアクセスできない | IPアドレスを直接入力してアクセスする |
NetBIOSが無効 | 手動で有効にする |
名前解決できない | hostsファイルやIP指定で対応する |
VPNやWi-Fiの設定に問題がある | VPNルートやルーター設定を見直す |
それでは、各項目の具体的な解決方法を見ていきましょう。
各項目の解決方法
ネットワークの種類を「プライベート」に設定する
「パブリックネットワーク」設定になっていると、セキュリティ上の理由から共有機能が制限されることがあります。「プライベート」に変更することで、共有フォルダにアクセスできるようになる場合があります。
①タスクバー右下のネットワークアイコンをクリックします。
②表示されたネットワーク一覧から、現在接続しているネットワークの名前をクリックします。
③ネットワークの設定画面が開いたら、「ネットワークのプロファイル」という項目を探し、「プライベート」を選択します。
ネットワーク探索を有効にする
プライベート設定の手順
ネットワーク探索がオフになっていると、ネットワーク上の他のPCやデバイスを認識できず、共有フォルダにアクセスできません。
ネットワーク探索を有効にする手順
①「コントロールパネル」を開き、「ネットワークと共有センター」を選択します。
②左側のメニューから「共有の詳細設定の変更」をクリックします。
③現在使用しているネットワークプロファイル(通常は「プライベート」または「ゲストまたはパブリック」)の下にある「ネットワーク探索を有効にする」にチェックを入れます。
④念のため、「ファイルとプリンターの共有を有効にする」にもチェックが入っていることを確認し、「変更の保存」をクリックします。
SMB 1.0を有効にする(※セキュリティに関する重要な注意点)
古いNAS(ネットワーク接続ストレージ)や一部の古い機器では、ファイル共有プロトコルとして「SMB 1.0/CIFS」のみをサポートしている場合があります。最新のWindowsではセキュリティ上の理由からデフォルトで無効になっていますが、必要に応じて有効にすることができます。
SMB 1.0を有効にする手順
「コントロールパネル」を開き、「プログラムと機能」を選択します。
左側のメニューから「Windowsの機能の有効化または無効化」をクリックします。
表示された一覧の中から「SMB 1.0/CIFS ファイル共有サポート」を探し、チェックを入れます。
「OK」をクリックし、PCの再起動を促された場合は再起動します。
⚠️ 注意:SMB 1.0はセキュリティ上の脆弱性が報告されています。可能な限り、共有元の機器をより新しいSMBプロトコルに対応させるか、他の安全な共有方法への移行を検討してください。一時的な対応として有効にする場合も、問題が解決したら無効に戻すことを強く推奨します。
Windows Defender ファイアウォールの設定を確認する
Windows Defender ファイアウォールが、共有フォルダへのアクセスに必要な通信をブロックしている可能性があります。
ファイアウォールの設定を確認する手順
①「Windows セキュリティ」を開き、「ファイアウォールとネットワーク保護」を選択します。
②「許可されたアプリをファイアウォール経由で通信させる」をクリックします。
③「設定の変更」ボタンをクリックし(管理者権限が必要です)、一覧の中から「ファイルとプリンターの共有」に関連する項目(例えば、「ファイルとプリンターの共有 (SMB 受信)」など)にチェックが入っていることを確認します。
*もし項目がない場合は、「別のアプリの許可」から追加することもできます。
IPアドレスで直接アクセスしてみる
PC名によるネットワーク上の識別がうまくいかない場合、共有フォルダがあるPCのIPアドレスを直接指定することでアクセスできることがあります。
IPアドレスで直接アクセスする手順
①「エクスプローラー」のアドレスバーに、
\\共有元のPCのIPアドレス\共有フォルダ名
を入力してEnterキーを押します。 (例:\\192.168.1.10\共有←という感じです)
*共有元のPCのIPアドレスが不明な場合は、共有元のPCでコマンドプロンプトを開き、
「ipconfig」
と入力してEnterキーを押すと表示される「IPv4 アドレス」を確認できます。
NetBIOSの有効化を確認する
ローカルネットワーク内でPC名が正しく認識されない場合、NetBIOS over TCP/IPの設定が適切でない可能性があります。
NetBIOSの有効化を確認する手順
①「コントロールパネル」を開き、「ネットワークと共有センター」を選択します。
②左側のメニューから「アダプターの設定の変更」をクリックします。
③現在使用しているネットワークアダプター(通常は「イーサネット」または「Wi-Fi」)を右クリックし、「プロパティ」を選択します。
④一覧の中から「インターネット プロトコル バージョン 4 (TCP/IPv4)」を選択し、「プロパティ」をクリックします。
⑤表示されたウィンドウの下部にある「詳細設定」ボタンをクリックし、「WINS」タブを開きます。
⑥「NetBIOS over TCP/IP を有効にする」が選択されていることを確認し、「OK」をクリックしてすべてのウィンドウを閉じます。

VPNや不安定なWi-Fiの確認
▶︎VPN(仮想プライベートネットワーク)を使用している場合、その設定によってはローカルネットワークへのアクセスが遮断されていることがあります。VPN接続を一時的に切断して、共有フォルダにアクセスできるか試してみてください。
▶︎また、Wi-Fiルーターの設定によっては、「AP隔離」や「クライアント間通信を禁止」する設定が有効になっている場合があります。これらの設定が有効になっていると、同じWi-Fiネットワークに接続している他のPCにアクセスできなくなることがあります。ルーターの設定画面を確認し、必要であれば設定を変更してください。
Windowsの大型アップデート後やWi-Fiへの再接続時などに、ネットワークの名前や種類が意図せず変更され、それまで正常に動作していた共有設定がリセットされることがあります。
補足:ネットワーク名が変わったときの対処法
出勤前など、時間がないときにエラーが発生すると焦ってしまうものです。以下のチェックリストを順番に確認していくことで、多くの問題を迅速に解決できるはずです。
✔️ネットワークに再接続した後、ネットワークの種類が「プライベート」になっているか再度確認してください。
✔️セキュリティソフトがネットワーク接続を干渉している可能性も考えられます。一時的にセキュリティソフトを無効にして、アクセスできるか試してみるのも有効です。
朝イチで確認すべきチェックリスト
チェック項目 | 状態 |
---|---|
ネットワーク種別が「プライベート」か | □ |
ネットワーク探索が有効になっているか | □ |
SMBの設定が適切か | □ |
ファイアウォールが通信をブロックしていないか | □ |
IPアドレス直打ちでアクセスできるか | □ |
NetBIOSが有効になっているか | □ |
上記のチェックリストを一つずつ確認していけば、多くの「ネットワークパスが見つかりません」エラーは解決できます。特に、アップデート直後やネットワーク環境の変更後に発生しやすいため、定期的な見直しをおすすめします。
それでも解決しない場合は、セキュリティソフトやネットワーク機器の再起動も試してみてください。焦らずに一つずつ対処していきましょう
それでも解決しない場合
上記の方法を試しても解決しない場合は、以下の点も確認してみましょう。
・共有元のPCが正常に起動しており、共有設定が有効になっているか。
・ネットワークケーブルが正しく接続されているか(有線LANの場合)。
・ルーターやハブなどのネットワーク機器が正常に動作しているか。再起動を試してみるのも有効です。
・セキュリティソフトや他のアプリケーションが通信を妨害していないか。
焦らずに、一つずつ原因を特定していくことが大切です。
おわりに
「ネットワークパスが見つかりません」というエラーは、予期せぬタイミングで発生し、作業を中断させてしまう厄介な問題です。しかし、この記事で紹介した手順を試すことで、多くの場合、問題を解決し、スムーズに共有フォルダへのアクセスを取り戻せるはずです。
もし、この記事を読んでも解決しない場合は、より詳細なネットワーク環境の情報(OSのバージョン、ネットワーク構成、エラー発生時の具体的な状況など)を添えて、専門の技術者に相談することをおすすめします。
この記事が、あなたの朝のトラブル解決の一助となれば幸いです。
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