
Windowsアップデートのあと、
「ドライバが突然読み込めなくなった」
「指紋認証やマウスが動作しない」
といったトラブルが起きていませんか?
こうした現象の原因として、最近よく報告されているのが 「メモリ整合性(Core Isolation)」というセキュリティ機能です。
この記事では、「メモリ整合性」が原因でドライバが無効化される理由と、初心者でも実践できる対処法を丁寧に解説します。
メモリ整合性とは何か?
「メモリ整合性(Memory Integrity)」は、Windows 10/11のセキュリティ機能「コア分離」の一部で、有害なコードからシステムを保護するために導入されています。
この機能は、ドライバに電子的な署名(デジタル署名)が正しくされていない場合、
そのドライバを読み込ませないようにブロックします。
セキュリティ的には非常に優れた仕組みですが、古いデバイスや非公式ドライバでは、この要件を満たせず、互換性エラーにつながることがあります。
よくある症状とエラーメッセージ
メモリ整合性が原因でドライバがブロックされると、以下のような症状が現れます。
- 指紋認証や顔認証が使えない
- マウスやキーボードが反応しない
- USB接続の外部機器が動作しない
- 「このドライバを読み込めませんでした」といったメッセージが表示される
特に「このドライバはWindowsのセキュリティ要件を満たしていません」という警告が出る場合、メモリ整合性の影響である可能性が高いです。
対処法①:メモリ整合性を一時的にオフにする
まず試してほしいのは、メモリ整合性を一時的に無効化して、ドライバの動作を確認する方法です。
【 手順 】
- 「スタート」→「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」
- 「デバイス セキュリティ」をクリック
- 「コア分離の詳細」をクリック
- 「メモリ整合性」をオフにする
- PCを再起動
【 補足 】
メモリ整合性を無効にするとセキュリティレベルはやや下がります。
ドライバの検証目的で一時的にオフにするのはOKですが、使用後にオンに戻すことを推奨します。
対処法②:最新の署名付きドライバに更新する
ドライバの問題は、最新版の公式ドライバに置き換えることで解決できるケースが多いです。
【 手順 】
- デバイスマネージャーを開く(「スタート」→「デバイスマネージャー」)
- 該当するデバイスを右クリック → 「ドライバーの更新」
- 「ドライバー ソフトウェアの最新版を自動検索」または、メーカー公式サイトから手動ダウンロード
【 補足 】
とくに指紋認証・USBコントローラー・グラフィックボードのドライバでは、メーカー提供の署名付きドライバが必須となることがあります。
対処法③:問題のあるドライバを確認・削除する
読み込めないドライバの詳細を確認し、必要に応じて削除・再インストールすることで回復できる場合もあります。
【 手順 】
- 「スタート」→「イベントビューアー」を開く
- 「Windowsログ」→「システム」内にあるエラーを確認
- 「Device Manager」で該当デバイスを右クリック → 「アンインストール」
- 再起動後、再インストールを試みる
対処法④:「Show or Hide Updates」ツールで自動更新をブロック
Microsoftが提供している隠しツール「Show or Hide Updates」を使うと、問題のあるドライバ更新だけを非表示にしてブロックすることができます。
- ツールのダウンロード:Microsoft公式ページ(wushowhide.diagcab)
【 補足 】
アップデートのたびに問題が再発する場合、このツールを使って特定の更新を止めるのが有効です。
読み込めないドライバを特定する「裏技」的なチェック方法
ドライバが読み込まれていない原因を特定するには、以下の2つの方法が便利です。
1. 「システム情報」から確認する方法(初心者向け)
- 「スタートメニュー」で「システム情報」と検索
- 左側メニューの「ソフトウェア環境」→「署名されていないドライバ」をクリック
- 一覧に表示されたドライバが「メモリ整合性でブロックされた可能性がある」ものです
これにより、どのドライバが署名されておらず、セキュリティ的にブロック対象になっているかがわかります。
*この「署名されていないドライバ」のリストに心当たりがある周辺機器があれば、それがトラブルの原因です。
2. 「Driver Verifier」ツールでドライバの挙動を監視する(中級者向け)
Windowsには「Driver Verifier」という隠れ機能があり、すべてのドライバの動作や互換性を検査できます。
使い方(※上級者向け、事前に復元ポイント推奨)
- 「cmd(コマンドプロンプト)」を管理者として実行
- verifier と入力してEnter
- 「カスタム設定の作成」を選択し、問題のありそうなドライバにチェック
- 再起動して異常なドライバを検出
❗ただし、動作が不安定になることもあるため、初心者の方は無理に使用しない方が安全です。
Windowsセキュリティが勝手にオンに戻すことも
「確かにメモリ整合性をオフにしたはずなのに、いつの間にかまたオンになっていた…」
という声も少なくない、この事案ですが、これは、Windowsセキュリティが自動的に“最適な状態”に戻そうとする仕組みがあるためです。定期的なセキュリティスキャンや大型アップデートのあとに、メモリ整合性を含む機能が再び有効化されることがあるのです。
とくに企業ネットワークやMicrosoftアカウントと同期されている環境では、グループポリシーやセキュリティポリシーの適用により、意図せず再有効化されることもあります。
そのため、
- 一度ドライバが動いても、次回の再起動後にまた読み込めなくなる
- Windows Update後に「勝手に戻ってる」と気づく
というケースもあります。
対策方法
- ドライバを署名付きのものに入れ替えておく
- ドライバのメーカーが対応していない場合は、メモリ整合性の無効化を継続する選択肢も視野に入れる
などもベストな方法です。また、定期的に設定を確認し、必要に応じて再度オンオフにしたり、Windows Updateの直後には設定が初期化されていないか注意しておきましょう。
裏技:レガシードライバ専用の互換モードで再インストール
古いハードウェア(10年以上前のプリンタやマウスなど)を使っている場合は、互換モードでドライバをインストールする方法もあります。
【 手順 】
- ドライバのインストーラを右クリック →「プロパティ」
- 「互換性」タブを開く
- 「互換モードでこのプログラムを実行する」にチェック
- 「Windows 7」など過去のバージョンを選択し「適用」
これにより、古いドライバが強制的に読み込まれる可能性が高まります(ただし保証はされません)。
注意点:組み込み型デバイス(BIOS連携)が絡む場合
- 一部のドライバ(例:TPM、Intel Management Engineなど)はBIOSと連携しており、Windowsだけで更新や調整ができないことがあります。
- この場合は、PCメーカー公式サイトでBIOS・チップセットのアップデートも確認してください。
まとめ
- メモリ整合性は、セキュリティ強化のための機能ですが、古いドライバとの互換性問題を引き起こすことがあります。
- 一時的に機能をオフにして確認し、可能であれば最新の署名付きドライバへ更新するのがベスト。
- Microsoftの公式ツールで自動更新のブロックも可能です。
「ドライバが読み込めない」というトラブルは、単なるソフトの不具合ではなく、セキュリティ強化やシステムの仕様変更が背景にあることが多いです。
あきらめず、1つずつ対処を試してみることで、案外すんなり解決するケースもあります。
この記事でご紹介した方法をひとつずつ試していけば、きっと解決に近づけるはずです。
もしどうしても改善しない場合は、機器メーカーの公式サポートや、信頼できるフォーラムの力を借りるのもひとつの手です。
あなたのパソコンが、また快適に使える状態に戻ることを願っています。
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