レジストリの変更はシステムに影響を与える可能性があるため、操作には十分ご注意ください。必ずバックアップや復元ポイントを取った上で、自己責任で実施してください。
また、企業・学校などで管理されているPCでは、組織ポリシーにより変更しても無効化される場合があります。
はじめに
Windowsでは、通常は「既定のブラウザー」を変更すると、多くのリンクやHTMLファイルがそのブラウザーで開きます。しかし、Windows 10/11 では一部の機能(検索バーやウィジェット、ニュースなど)が microsoft-edge: という専用リンクを使っており、既定のブラウザーを変更しても強制的に Microsoft Edge が開く場面が残っています。
この記事では、
- レジストリ編集で「通常のリンク/ファイルの関連付け」を細かく調整する方法
- それでも Edge が強制される場面と、その背景
- サードパーティツールで回避できるケースと注意点
を、できるだけ正確な情報に基づいて解説します。「Edgeを完全に無効化する」ことはできませんが、挙動をある程度コントロールしたい方の参考になるはずです。

注意事項:レジストリ変更は慎重に
レジストリエディタはWindowsの中枢を直接操作するツールです。操作を誤ると、アプリが開けなくなったり、最悪の場合はWindowsが起動しなくなる可能性もあります。
⚠【注意事項】
- 事前に レジストリのバックアップ または システムの復元ポイント を作成してください。
- 業務用PC(会社・学校管理PC)の場合は、必ず管理者に確認してください。
- 本記事の操作は、すべて自己責任で行ってください。
前提:まずは「設定」から既定のブラウザーを変える
レジストリ編集に入る前に、必ず通常の方法で既定のブラウザーを変更しておきましょう。Windows 10/11 では、基本的にはこの設定が最優先で使われます。
- 設定 → アプリ → 既定のアプリ を開く
- 「Chrome」「Firefox」など使いたいブラウザーを選択
.htm/.html/HTTP/HTTPSなどの項目を、そのブラウザーに変更
それでも一部のリンクが Edge で開いてしまう・古い設定が残っている場合に限り、次のレジストリ編集を検討してください。
手順1:レジストリエディタを起動する
- キーボードで「Windowsキー + R」を押す
- 「ファイル名を指定して実行」に
regeditと入力し Enter - 「ユーザーアカウント制御」が表示されたら「はい」をクリック
レジストリエディタを開くには管理者権限が必要です。
手順2:関連するレジストリキーを確認する
ブラウザーの起動に関係する代表的なキーは、次の2つです。
http キーは「HTTPリンク(Webリンク)」の既定の開き方、htmlfile キーは「.htm / .html ファイル」の開き方に関わります。環境によっては、古い設定のまま Internet Explorer や Edge のパスが残っていることがあり、その場合にレジストリを修正すると症状が改善することがあります。
※ すでに Chrome や Firefox などのパスが入っている場合、無理に変更する必要はありません。
手順3:値を必要に応じて変更する
例として http\shell\open\command を修正するケースを紹介します。
HKEY_CLASSES_ROOT\http\shell\open\commandを開く- 右側の「(既定)」をダブルクリック
- 値を確認し、必要であれば使いたいブラウザーのパスに書き換える
例:Firefox を使いたい場合
例:Chrome を使いたい場合
【補足】
- パスは環境によって異なります。必ず実際にインストールされている場所を確認してください。
htmlfile\shell\open\commandも同様に修正できますが、まずはhttpキーを優先して確認するのがおすすめです。- 値を変更したら、レジストリエディタを閉じて構いません。
手順4:動作を確認する
ブラウザーを再起動し、メールソフトやアプリからWebリンクをクリックしてみてください。設定したブラウザーで開かれるようになっていれば成功です。
- 反映に再起動が必要になる場合があります。
- Windowsの大型アップデート後に設定が元に戻ることがあります。その場合は、再度設定を確認してください。
元に戻すには?
事前に控えておいた値(またはバックアップ)に戻せばOKです。
- レジストリエディタで該当キーを開き、「(既定)」の値を元の文字列に戻す
- または、エクスポートしておいた
.regファイルをダブルクリックして復元する - 最悪の場合は「システムの復元」でレジストリ全体を巻き戻すことも視野に入れます。
レジストリ変更はアップデートでリセットされることも
Windows 10/11 では、大型アップデートや一部のセキュリティ更新プログラムの適用時に、HKEY_CLASSES_ROOT や HKEY_LOCAL_MACHINE 配下の一部設定が初期化されることがあります。Edge や標準ブラウザーの挙動に関する部分は特に戻されやすく、再度 Edge で開かれるようになった場合は、設定を見直す必要があります。
トラブル例と対応策の表
| 症状 | 原因 | 対応策 |
|---|---|---|
| リンクをクリックしても何も起きない | レジストリのパスが誤っている | ブラウザーの実行ファイルの場所を再確認し、正確に入力し直す |
| 一部のリンクだけEdgeで開いてしまう | microsoft-edge: 専用リンクが使われている | 完全な回避は難しい。後述のツール利用や、仕様として割り切る |
| システムが不安定になった | 別のキーを誤って変更した | バックアップやシステムの復元から戻す。自力で難しい場合は専門家に相談 |
レジストリ編集は強力な分、トラブルが起こると自力での復旧が難しくなります。少しでも不安がある場合は、無理に変更しないことも立派な選択肢です。
なぜEdgeが強制されるのか?その背景とMicrosoftの方針
Windows 10以降、Microsoftは自社ブラウザー「Microsoft Edge」を積極的に利用してもらうため、システム内部のさまざまな場所で Edge を優先する設計を取っています。特に問題になっているのが、検索バー・ウィジェット・ニュースなどで使われる microsoft-edge: という専用リンクです。
このリンクは「既定のブラウザー」の設定を無視して常に Edge で開くよう設計されているため、レジストリで http や htmlfile の関連付けを変えても完全にはコントロールできません。
なお、EUなど一部地域(EEA)では、デジタル市場法(DMA)の影響で、検索やウィジェットのリンクも既定ブラウザーを尊重する方向に改善が進んでいますが、日本を含むその他の地域では、2025年11月時点でも多くの場面で Edge 優先の仕様が残っています。
フリーソフトで回避できるケースも
こうした Edge 強制を回避するために、サードパーティ製のツールも開発されています。
【例】
- EdgeDeflector:過去に「microsoft-edge:」リンクを既定のブラウザーへリダイレクトするツールとして人気でしたが、現在のWindows 11ではMicrosoft側の対策により多くの環境で動作しなくなっています。
- MSEdgeRedirect:Edge関連のプロセスや引数を監視し、ニュースや検索結果、ウィジェットなどのリンクを既定ブラウザーに転送するツール。現在も更新が続いており、Windows 8.1以降で利用できます。
これらのツールを使うと、検索バーやウィジェットのWebリンクを既定ブラウザーで開けるようになる場合があります。ただし、
- Windowsのアップデートで突然動かなくなる可能性
- サードパーティ製であり、Microsoftのサポート対象外であること
- セキュリティソフトによりブロックされる可能性
といったリスクもあるため、導入は慎重に検討してください。
レジストリ編集が有効な場面と限界
ここまで見てきたように、レジストリ編集は「標準の既定アプリ設定がうまく効いていない」「古い設定が残っている」といったケースに対しては有効な手段になり得ます。
- HTMLファイル(.htm / .html)の関連付けを細かく調整したい
- 特定アプリから開くWebリンクの挙動を修正したい
- 古いIE/Edgeの設定が残っていてリンクが開けないのを修正したい
一方で、microsoft-edge: を使ったシステム内部のリンクはレジストリだけでは制御できません。この部分は OS 側にハードコードされており、仕様として「Edgeでしか開かない」前提で設計されています。
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✔ バックアップ用にUSBメモリを1本用意しておくと安心です
- オフラインで保管できるので、クラウド流出のリスクを減らせる
- テキストファイルで保存しておけば、必要なときにすぐコピー&貼り付けできる
- 普段使いのUSBとは分けておけば、誤削除や紛失のトラブルも防ぎやすい
※バックアップ用として1本専用USBを用意しておくと、管理がぐっと楽になります。
裏技的な応用:カスタムスキーム登録
上級者向けには、独自のスキーム(プロトコル)を登録して、それをブラウザーや自作スクリプトで処理させる応用テクニックも存在します。たとえば、「mybrowser://」というスキームを登録し、それを経由してURLを既定ブラウザーに渡すことで、社内システムなどでブラウザーを統一する、といった使い方が可能です。
ただし、これは主に企業や教育機関のシステム管理者が行うレベルの話であり、一般家庭のユーザーが気軽に手を出すべきものではありません。スクリプトの作成や配布、メンテナンスが必要になるため、ここでは概念紹介にとどめます。
まとめ
Microsoft Edgeは、Windows 10/11に深く統合されたブラウザーであり、既定のブラウザー設定を変更しても完全にはEdge強制を避けられない場面があります。
本記事で紹介したレジストリ編集は、
- 既定のブラウザー設定が正しく反映されていない
- 古いIE/Edgeの設定が残っていてリンクが開かない
といった問題を解消するのには役立ちますが、microsoft-edge: リンクを含むすべてのEdge強制を無効化できるわけではない点には注意が必要です。
操作には十分な注意が必要ですが、「どうしても別のブラウザーをメインに使いたい」「挙動がおかしいので根本原因を確認したい」という方にとっては、一つの選択肢になります。自信がない場合は、無理にレジストリを触らず、サードパーティツールや今後のWindowsアップデートによる改善を待つ、という判断も十分アリです。
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