
Windows 11をお使いの方の中には、最近「HDRをオンにしたら、音が出なくなった」というトラブルに直面された方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、2025年6月のWindowsアップデート(KB5060533 など)以降に報告が増えている、「HDRモードで音声が出なくなる不具合」について、原因や対処法を詳しく解説します。
症状の概要|HDRをオンにした途端、音が消える?
今回多く報告されているのは、次のような症状です。
- HDRを有効にすると、音が一切出なくなる
- 音声デバイスは認識されているのに無音状態になる
- 映像は正常に出るが、Dolby Atmosや高品質出力時だけ音が消える
- HDRをオフにすると音が戻る
このようなトラブルは、特に外部モニターやホームシアター環境、Dolby Atmos対応サウンド環境を使っているユーザーから報告されています。
原因は2025年6月のWindowsアップデート?
このトラブルは、2025年6月に配信されたWindowsのセキュリティ更新プログラム(KB5060533など)以降で多く確認されています。更新内容の中には、Secure Bootの拡張やドライバ関連の調整が含まれており、一部のオーディオドライバやHDR処理との互換性に問題が生じていると考えられます。
特に、Auto HDRやDolby Atmosといった高機能のオーディオ出力設定と、最新のセキュリティパッチが衝突している可能性があると言われています。
影響が出やすい環境とは?
以下のような構成をお使いの方は、今回の不具合の影響を受けやすい傾向があります。
- HDR対応の外部モニターを使用している
- Dolby AtmosやDTS:Xなどのサラウンド設定を有効にしている
- HDMIで映像+音声を出力している
- GPUドライバが古い状態で、Windows Updateのみ適用されている
対処法|HDR環境で音が出ないときの解決方法
① Audio Enhancements(音声強調)を無効にする
- [設定] → [システム] → [サウンド]
- 出力デバイスを選択 → [プロパティ]
- 「オーディオの強化機能をすべて無効にする」にチェック
② Auto HDRを無効にする
- [設定] → [システム] → [ディスプレイ]
- 「HDR」設定を開く
- 「Auto HDR」をオフにする
③ グラフィックドライバ・オーディオドライバを更新する
- NVIDIA / AMD / Intelの公式サイトから最新版ドライバを手動でインストール
- 特にサウンドチップがRealtekやHigh Definition Audioの場合、メーカー版の最新版が必要なケースあり
④ 更新プログラムのアンインストール(最終手段)
- [設定] → [Windows Update] → [更新の履歴]
- 「更新プログラムをアンインストールする」
- KB5060533など、6月以降の更新を選んで削除
※その後の再適用を防ぐため、一時的に「更新の一時停止」も有効です
なぜHDRと音声が関係するのか?知られざる仕組みと落とし穴
HDR(ハイダイナミックレンジ)と音声トラブルが結びつくのは、意外に感じる方も多いかもしれません。映像と音声は別々のものと考えがちですが、実際にはWindowsの内部処理において、「出力経路」が同じHDMIやDisplayPortで一体化されていることが多く、これがトラブルの原因となるのです。
特に最近のPCやノートパソコンでは、HDRやDolby Visionに対応するために、映像と音声の出力を同時に最適化する高度なプロファイルが使われています。これらは、GPU・サウンドチップ・ドライバ・Windowsの全てが協調動作しないと正しく動作しません。
たとえば、HDRをオンにするとGPUが色空間やビット深度を切り替え、それに伴い「サウンドの出力モード」まで自動的に変化します。すると、スピーカーやテレビ、オーディオレシーバー側がその設定に対応できなかった場合、「映像は出るが音が出ない」という不思議な現象が起きてしまうのです。
実際に起こるトラブル例
- HDRモードでYouTubeは音が出るが、Netflixだけ出ない
- 外部モニター経由だと音が出ず、ノートPC本体からは出る
- 音は出るが、Dolby Atmosが使えなくなった
このように、「完全に無音になるケース」だけでなく、特定のアプリや条件でのみ音声に不具合が出るという報告も増えています。これにより原因の特定が難しくなり、ユーザーが混乱する要因となっているのです。
トラブルを避けるための「予防的対策」
Windowsのアップデートは避けられない一方で、事前に環境を整えておくことで多くのトラブルを防ぐことができます。以下は、HDR環境で音声トラブルを起こさないための予防策です。
- GPUドライバとオーディオドライバを常に最新版に保つ
- HDR表示とDolby Atmosなどの音声機能を使う場合は、出力先の機器(テレビ・レシーバー)が対応しているか確認する
- Windows Update後は、「サウンドのプロパティ」や「ディスプレイ設定」を開いて設定が変わっていないかを必ずチェックする
- 不具合が起きた場合は、まずはHDRをオフにして再起動してみる
HDRや高品質音声機能は、映像体験を大きく向上させる一方で、システム側の設定や互換性に大きく依存しています。そのため、定期的なドライバ更新や設定確認は面倒に感じるかもしれませんが、安定した環境を維持するためには非常に有効な習慣です。
特に、Windowsの月例アップデート後には、知らないうちに設定が変更されていることもあります。表示や音声に違和感がある場合は、アップデート履歴やデバイス設定を確認してみると、意外な解決につながることがあります。
注意点|HDR不具合は音声設定だけでは解決しないことも
この問題の厄介な点は、「映像は出るのに音が出ない」という、一見すると設定ミスに見えにくい現象です。実際には、HDR表示と音声出力が背後で連動しているため、映像と音の両方に注意を払う必要があります。
また、今回のようにOSのアップデートに伴って突然発生するケースでは、ドライバとの組み合わせによって問題の出方が異なります。特に、普段あまり設定を触らない方ほど戸惑うことが多いので、無理に設定をいじらず、一つずつ慎重に確認していくのがおすすめです。
まとめ|HDRと音声の不具合、今できる最善策は?
チェック項目 | 対処内容 |
---|---|
HDRをオンにすると音が出ない | 一時的にHDRまたはAuto HDRをオフにする |
Dolby Atmos利用時だけ無音になる | Audio Enhancementsを無効化、またはAtmos設定を確認 |
アップデート後に発生した場合 | KB5060533を一時アンインストール or ドライバ更新 |
原因不明なまま音が出ない | HDMI接続の変更、出力先の再選択、他の音声デバイスも試す |
この不具合は一部環境でのみ発生していますが、今後も類似の更新が続く可能性があるため、日常的にHDRや高音質出力を利用されている方は、最新のドライバ環境を整えておくことが重要です。
音声が出ないトラブルは、突然発生するととても不安になりますが、今回のようにHDR設定やアップデート内容が関係しているケースでは、冷静に原因を切り分けていくことが解決の近道になります。
本記事が、同じ症状に悩んでいる方のお役に立てば幸いです。今後も、WindowsアップデートやHDR環境での注意点をチェックしながら、安心してパソコンをお使いください。
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