【注意喚起】Intel Smart Sound Technology(SST)ドライバーとの互換性問題について

― Windows 11へのアップグレード時に注意すべきポイントとは ―

最近、Windows 10からWindows 11への移行が進む中で、ユーザーの皆様から

「アップグレードに失敗する」

「ブルースクリーンが頻発する」

といったご報告が寄せられています。
その原因のひとつとして注目されているのが、Intel Smart Sound Technology(SST)ドライバーとの互換性の問題です。

そこで今日は、SSTドライバーとは何か、その互換性によるトラブルの原因と対処方法を、丁寧に解説いたします。

Intel Smart Sound Technology(SST)とは?

Intel Smart Sound Technology(インテル・スマート・サウンド・テクノロジー)とは、インテルが開発した音声処理専用のDSP(デジタルシグナルプロセッサ)を使ったオーディオ機能です。

このテクノロジーにより、以下のような処理が効率化されています。
• 音声コマンドの認識(例:「Hey Cortana」など)
• 音声アシスタントとの連携
• 通話や録音時のノイズキャンセル処理
• 音声処理の負荷をCPUから分散

多くのノートPCやタブレットなどにSST対応チップとドライバーが組み込まれており、Windows OSと連携して動作しています。

なぜ互換性の問題が発生するのか?

    ● Windows 11との非互換な旧バージョンドライバーの存在

    Intel SSTのドライバーには複数のバージョンが存在しますが、一部の古いドライバーはWindows 11との互換性が確保されていません。この非互換なドライバーを搭載したPCに対し、Windows 11へのアップグレードを試みた場合、以下の不具合が確認されています。
    • ブルースクリーン(BSOD)が頻繁に発生する
    • サウンドデバイスが認識されない
    • アップグレード自体がブロックされる

    ● 対象となるドライバーバージョン

    特に問題となっているのは、以下のドライバー構成です:
    • Intel Smart Sound Technology (Intel SST) Audio Controller(バージョン 10.29.0.5152 以前 または 10.30.0.5152 以前)
    • 対応するRealtekオーディオドライバーとの組み合わせ

    このバージョンより古いSSTドライバーが検出された場合、Microsoftは自動的にWindows 11へのアップグレードをブロックする設計となっています。

    問題の確認方法と対処手順

      ● ドライバーのバージョンを確認する方法
      1. [スタート] → [デバイスマネージャー] を開きます
      2. 「システムデバイス」>「Intel Smart Sound Technology (Intel SST) Audio Controller」 を探します
      3. 右クリックで [プロパティ] → [ドライバー] タブ を開き、バージョンを確認します

      対象バージョン(10.29.0.5152 または 10.30.0.5152 より古い)であれば、互換性の問題があると判断されます。

      ● 解決策・・ドライバーをアップデートする

      問題を回避するには、製造元が提供する最新版のSSTドライバーに更新する必要があります。更新方法は以下のとおりです。
      • PCメーカーの公式サポートページで「オーディオドライバー」または「SSTドライバー」の最新版を検索
      • ドライバーが複数ある場合は、「Intel SST」と「Realtek」の両方を更新
      • 自動更新が難しい場合は、デバイスマネージャーで手動更新することも可能です
      デバイスマネージャー → 対象のデバイスを右クリック → 「ドライバーの更新」→ 「ドライバーソフトウェアの最新版を検索」

      いずれかの方法を用いて更新を試みてください。

      ドライバー更新後のアップグレード対応

        IntelとMicrosoftの協力により、該当のドライバーが更新されていれば、Windows 11へのアップグレードが可能になります。
        Windows Updateや「PC正常性チェック」ツールで互換性が確認され、更新案内が表示されるようになります。

        それでもアップグレードが進まない場合は、次の項目をチェックしてください。
        • 古いドライバーが複数残っていないか(旧バージョンが複数あると競合する場合あり)
        • キャッシュクリア後に再起動しているか
        • Windows Updateの保留中の更新が残っていないか

        まとめ

          Intel Smart Sound Technologyは、PCの音声処理を高度化・効率化する重要なコンポーネントです。
          しかし、古いSSTドライバーはWindows 11との互換性に問題があるため、アップグレード時には注意が必要です。

          Windows 11への移行をスムーズに行うには、デバイスドライバーの整備が最も基本的であり、最も重要な準備作業です。不具合を未然に防ぐためにも、定期的なドライバーの確認と更新を習慣化しておくことをおすすめいたします。