はじめに
2025年10月28日、Microsoftは 「KB5067931」 を公開しました。
この更新は、Windows 11 バージョン25H2向けの .NET Framework 3.5 および 4.8.1 用累積プレビュー更新プログラム です。
KB5067931は、アプリケーションの動作を支える土台部分である「.NET Framework（ドットネット・フレームワーク）」の安定性と信頼性を強化する目的で提供されています。
見た目の変化はほとんどありませんが、裏側で多くの改善が施されており、アプリの動作不安定やフリーズの軽減にもつながります。
そして、2025年11月現在、KB5067931 適用時に「0x800f0922」「0x800f0983」などのエラーが増えており、更新が90〜100％付近で停止するケースが報告されています。
更新の主な内容
● .NET Frameworkとは？
.NET Frameworkは、Word・Excel・LINE・Zoomなど、多くのWindowsアプリが内部的に使用している実行環境です。
この仕組みが古くなったり不具合を抱えたままだと、アプリの起動エラーや応答停止の原因になります。
● 今回のKB5067931で改善される主なポイント
Microsoft公式サポートページによると、今回の更新には以下の改善が含まれています。
- 信頼性の向上：アプリケーション実行中のクラッシュを減らす。
- セキュリティ強化：一部のコード実行パスにおける安全性を改善。
- パフォーマンス最適化：UI描画やデータベース連携時の動作をよりスムーズに。
- 既知の不具合修正：特定のWPFアプリやASP.NETアプリでのエラーを修正。
※ 特に業務ソフトや会計ソフト、印刷アプリなど、.NETを利用するアプリケーションを多用している環境では、安定性が上がる可能性があります。
適用方法
- 設定 → Windows Update を開きます。
- 「最新の更新をいち早く取得する」をオンにしておきましょう。
- 「更新プログラムのチェック」をクリックします。
- 「KB5067931」が表示された場合は、「ダウンロードしてインストール」を選択します。
※ 再起動が必要になる場合があります。作業中のファイルは保存してから進めてください。
注意点
- この更新は 「プレビュー更新（任意インストール）」 です。自動で全員に配信されるわけではありません。
- 主に「機能追加」ではなく、「信頼性向上」「修正」「軽微な最適化」が中心です。
- 業務利用や安定運用を重視している場合は、次回の 正式累積更新（Patch Tuesday版） で統合されるのを待っても問題ありません。
- 現時点では、重大な不具合報告は確認されていません。
■ 補足：更新の仕組み
.NET Frameworkは、アプリケーションが実行されるたびに内部で「共通言語ランタイム（CLR）」と呼ばれる処理層を介して動作します。
KB5067931では、このランタイムの「メモリ管理」「ガベージコレクション（不要データの削除）」「描画処理」などが改善されています。
これにより、
- アプリ起動が早くなる
- 長時間動作させても動作が重くなりにくい
- メモリリーク（徐々にメモリを食いつぶす不具合）が減る
といった効果が期待できます。
特に WPF（Windows Presentation Foundation） や WinForms ベースのアプリケーションを利用している方には、恩恵が大きいアップデートです。
古いPCでも安定動作が見込めるため、「見た目は地味だけど確実に効く」タイプの改善といえます。
【2025年11月追記】KB5067931適用時に増えているエラーと対処の優先度
2025年10月末にリリースされた「.NET Framework 3.5 および 4.8.1 向け累積的な更新プログラム プレビュー（KB5067931）」は、Windows 11 25H2環境で .NETの信頼性やセキュリティを高める更新です。一方で、Windows Update上で「.NET Framework Preview Update (KB5067931) – 再起動の保留」のまま進まない、あるいはインストール途中で0x800f0922 / 0x800f0983 / 0x800f081f / 0x80070306などのエラーになってロールバックするケースも報告されています。
症状としては次のパターンが代表的です。
- 何度再起動しても、Windows Updateに「.NET Framework Preview Update (KB5067931) – 再起動の保留」と表示されたままになる
- 更新が90〜100％付近で止まり、「インストールに失敗しました（0x800f0922 など）」と表示されて元の状態に戻る
根本原因は、本記事で解説している Windows Update 全般のトラブルとほぼ同じで、特に次の3つが多い印象です。
- 回復パーティション（System Reserved / Windows RE）の空き容量不足（ブート関連ファイルの更新に失敗し 0x800f0922 が出る）
- .NET Framework 3.5 / 4.x の構成不全や途中失敗（オンライン構成が完了しておらず 0x800f0922 や 0x800f0983 を返す）
- VPN・プロキシ・セキュリティソフトの干渉や、Windows Updateコンポーネントの破損
KB5067931でエラーが出ている場合は、次の「優先度順のチェックリスト」で一つずつ確認していくのがおすすめです。
- VPNやプロキシ、サード製セキュリティソフトを一時的に無効化し、再起動してから Windows Update を再試行する
- 「Windows の機能の有効化または無効化」で .NET Framework 3.5 / 4.x を確認し、必要に応じて再有効化や構成をやり直す（オフラインや制限付きネットワークでは失敗しやすいので注意）
- 管理者権限のコマンドプロンプトで
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth→sfc /scannowを実行し、Windows Update コンポーネントやシステムファイルを修復する - ディスク管理ツールやパーティションソフトで、回復パーティション（EFI/System Reservedを含む）の空き容量をチェックし、最低 500MB以上（可能なら1GB程度） を確保する
なお、0x800f0922 全般の原因と対処手順をまとめた記事も別途用意しています。KB5067931以外の更新でも同じエラーが出る場合は、そちらも参考にしてみてください。（※ここにご自身の「0x800f0922」記事へのリンクを入れてください）
KB5067931はあくまで「プレビュー更新」の扱いのため、業務で使うPCや不具合が心配な環境では、無理に適用せず11月以降の本番配信（セキュリティ更新）を待つという判断も一案です。どうしてもエラーが繰り返される場合は、この更新プログラムだけを一旦非表示にして様子を見るのも選択肢になります。
■ よくある質問（FAQ）
Q1：この更新を入れないとどうなりますか？
更新を入れなくてもすぐに不具合が起こるわけではありませんが、.NET Frameworkを利用するアプリで「応答しない」「突然終了する」などの軽微なエラーが出ることがあります。
特に経理ソフト、印刷アプリ、ブラウザ拡張などは.NET依存度が高いため、長期的な安定性を考えると適用をおすすめします。
Q2：インストールにどのくらい時間がかかりますか？
環境にもよりますが、平均で5〜10分程度です。更新内容が.NET Frameworkの内部処理中心のため、再起動を伴っても比較的短時間で完了します。
Q3：不具合が出た場合、どうすればよいですか？
更新をアンインストールする場合は、「設定」→「Windows Update」→「更新の履歴」→「更新プログラムをアンインストール」からKB5067931を選択します。
ただし、正式累積更新（Patch Tuesday）で自動的に再適用される場合もあるため、根本的に無効化するよりは、次の更新で上書き修正されるのを待つほうが安全です。
■ 今後の展望とおすすめ設定
Microsoftは今後、Windows 11の定例更新において、OS更新と同時に.NET Frameworkの改良をセットで行う傾向を強めています。
そのため、「Windows Updateを自動にするのは怖い」と感じる方でも、.NET Framework更新だけは手動で定期確認するのがおすすめです。
確認手順のヒント
- 「設定」→「Windows Update」を開く
- 「詳細オプション」→「オプションの更新プログラムを表示」をクリック
- “.NET Framework 更新プレビュー” と書かれた項目があれば、クリックして内容を確認
特に業務アプリ利用者は、これらのプレビューを1〜2ヶ月遅れで正式反映されるまで様子を見る運用が安定します。
KB5067931 更新プログラム概要表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 更新番号 | KB5067931 |
| リリース日 | 2025年10月28日 |
| 対象OS | Windows 11 バージョン 25H2 |
| 対象コンポーネント | .NET Framework 3.5 および 4.8.1 |
| 更新の種類 | 累積プレビュー更新（オプション） |
| 主な改善内容 | ・アプリの信頼性向上 ・セキュリティ改善 ・パフォーマンス最適化 ・WPF/ASP.NETエラー修正 |
| 適用方法 | 設定 → Windows Update → 更新プログラムのチェックから手動インストール |
| 再起動の有無 | 必要になる場合あり |
| 既知の不具合 | 現時点で大きな不具合報告なし |
| 備考 | Patch Tuesday（正式累積更新）で統合予定。安定性重視のユーザーは待機も可。 |
まとめ
KB5067931は、Windows 11の動作を支える「.NET Framework」の安定化に焦点を当てた更新です。
表面上の変化は見えにくいものの、アプリの起動・動作がよりスムーズになる可能性があります。
特に業務アプリやデータベース、WPFアプリを使っている方は、早めの適用を検討してみてください。
一方で、プレビュー段階であるため、安定重視の環境では正式リリース版を待つ選択も有効です。
どちらを選ぶ場合でも、更新の前には「復元ポイントの作成」や「バックアップ」を取っておくと安心です。
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