【誰かの心が苦しそうなとき】何もできなくても、そばにいるだけでいいと思うんです。

最近、こんな言葉をよく聞くようになりました。
「心がつらい」
「もう無理かも」
「何をしてもダメ」
昔よりも確実に、“心の苦しさ”を口にできる人が増えたと感じます。でもその一方で、相談された人が
「どう応えたらいいかわからない」
と悩んでいる姿も、私はよく見かけます。
この記事は、そんなときの「ちょっとしたヒント」をまとめたものです。
■ 「深呼吸すれば?」「瞑想がいいよ」が心に届かないときもあります。
心が限界まで疲れている人に、「ゆっくりして」「ポジティブになろう」と言っても、
「もう、そんなの100回くらい聞いたよ…」
と、逆に遠ざけてしまうこともあります。
悪気がないどころか、心から心配しているのに言葉が届かない。かける言葉が見つからない。
アドバイスがかえって“しんどさ”を強めてしまってる気がする。
魔法のような言葉があればいいのに・・
そんなジレンマに、私自身も悩んできました。
■ 「言葉を見つける」じゃなく、「一緒にいる」
ここからは、「私自身が試してきたこと」「相談を受けた中で見えてきたこと」をまとめて見たいと思います。
どれも“特別なこと”ではありません。むしろ“何もしない”ことに近いかもしれません。
1. 何もせず、ただ一緒に座る
沈黙でも、スマホを見ながらでも構いません。
「話さなきゃ」と思わなくていい時間を一緒に過ごすだけで、少しだけ心がゆるむことがあります。
もちろん相手が、何か話してきたら、自分の意見を言うのでは無く、ただただ聞くことに徹するようにしています。
相手が話しやすいような、あいずちを心がけています。
2. 意味のない作業を、なんとなく一緒にやる
石を並べる、毛糸を丸める、コップに水を注ぐ…
“意味を求められない”動きは、心の緊張をほどいてくれるように思います。
お店屋さんに行って「いらっしゃい!何がいいですか?」とグイグイ来られるより、こちらから「すみませーん」と声をかけて来てもらうくらいが丁度いい時もありますよね。そんな感じの距離感です。
3. わからなくても・・
「わかるよ」と言うより、「うんうん」と相手に同意する方が、本当の安心につながることがあります。
でも、絶対に「わかるよ」がダメなわけじゃないです。
あなたが経験者で、同じ気持ちがわかるなら「わかるよ」は心強い言葉になって届くと思います。
4. 静かな優しさを行動で。
「大丈夫?」の代わりに、温かいお茶を渡す。
「頑張って」の代わりに「今日もいい天気だね」と言う。
“生きてる証拠”をそっと肯定するだけでも、救いになることもあります。
心が苦しい人は、優しく寄り添ってくれたことに、気づいています。
自分のペースではなく、相手の呼吸に合わせてみて下さい。
5. 「逃げてもいい日かもね」
今日だけは、責めない。
「今日はいいよ」と言ってあげる。
それは、「頑張れ」よりもずっと、心に伝わる言葉かもしれません。
私たちが思う以上に、本人は何十倍、何百倍苦しく感じています。しかも、おそらく
「私は、なんでできないんだろう」
って自分自身を思い切り責めてもいるでしょう。
その行為って、本人が納得できるまで永遠に続くのです。
他人からみると「なんでそこまで悩むの?」と思うかもしれませんが、それは所詮他人だから、そう思えるんです。
本人は本当に辛くて辛くてたまらないのです。
■ 私も、うまくできません。
この記事を書いている私も、いつも上手に寄り添えているわけじゃありません。
「なんて声かけたらいいかわからない」
「黙って見てるしかないなんて、苦しい」
——そんな気持ちになることもたくさんあります。
でも、“何とかしようとしない”ことで、逆に救われる瞬間があることを、私は何度も見てきました。
■ 最後に
もしあなたが今、
「誰かのつらさにどう向き合えばいいかわからない」
と悩んでいるなら、それは心配無用です。
あなたがそばにいること自体が、もう充分に“支え”です。
そして、悩んでいる人の心に寄り添っていること自体、尊いでのです。
人の悩みはそれぞれ違っていて、正解は一つではないと思います。
辛くても病院に行けない人も多くいます。
ギリギリなのに頑張っている人も山ほどいます。
そう言う人は、心が優しくて、とても繊細で、自分に厳しい人が多いです。
「瞑想をしたらいい」
と言われますが、おそらく瞑想ができない方も多いんだと思います。
心を無にできる人は、幸せなんです。
頭の中をグルグル悩みが巻き付いていると、正しい瞑想はできません。
だから私は相談に来た方に「瞑想しましょう」とは言えないのです。
人は未来が見えません。
「その悩みは、こうやって解決しますよ」
と言えればいいのですが、それは言えません。
悩みや心の辛さは、結局、自分で解決するしかありません。
そのお手伝いができるよう、これからも寄り添っていこうと思っています。
※この記事は、「何かしてあげたいけど、何もできない」と感じている方に向けて書きました。
医学的なケアが必要な場合は、専門の医療機関へ相談することも大切です。