「WindowsパソコンでCドライブの「プロパティ > セキュリティ」を操作してしまい、ソフトが起動しない・ファイルが開けない。」
このような相談は2025年11月時点でも継続して寄せられています。
本記事では、Cドライブや主要システムフォルダのアクセス権を誤って変更してしまった場合の復元手順を、安全に実行できるよう“危険操作を避ける形”で解説します。
重要:takeown /F C:\ /R や icacls C:\ ... /T のようにドライブ直下(C:\)へ再帰で一括適用するのは非推奨です。ブート不可・更新失敗・アプリ動作不良が長期化する恐れがあります。
また、C:\ 全体の所有者を NT SERVICE\TrustedInstaller にするのも誤りです。
なぜアクセス権をいじると危険なのか?
Cドライブは、Windowsのシステムやアプリが動作する最重要領域です。アクセス権限(セキュリティ設定)には、重要なアカウントがいくつも含まれており、それぞれ役割があります。
たとえば
- TrustedInstaller:Windows Updateやシステムファイルを守る特権ユーザー
- SYSTEM:OS内部の重要なプロセスが使うアカウント
- Administrators:管理者権限ユーザー
- Users:通常ユーザー
これらを削除・編集してしまうと、Windowsの動作そのものが破壊されてしまう可能性があります。
よくあるトラブルの症状
アクセス権限を変更してしまった後に、次のような症状が現れる場合があります。
- アプリやソフトが「アクセスが拒否されました」と表示して起動できない
- Windows Updateが失敗する
- ファイルエクスプローラーが開かない、または遅くなる
- コマンドプロンプトなどが「アクセス不可」となる
これは大事なアカウントにアクセス許可がなくなった状態で起きる現象です。
まず試すべき安全手順(権限をいじる前に)
- システム ファイル整合性の修復
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth→ 完了後にsfc /scannow。再起動。 - 復元ポイントがあれば「変更前」に戻す。
- インプレース修復(修復インストール):最新ISO/メディアからセットアップを起動し、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択。システムファイルと権限の破綻を広範囲に正常化できます。
※①~②で直れば、手動での権限操作は不要です。
アクセス権を手動で復元する方法
ステップ①:セーフモードで起動
まず、セーフモードで起動します。通常のモードでは操作すらできないことがあります。
Shiftキーを押しながら「再起動」→ トラブルシューティング → 詳細オプション → スタートアップ設定 → 再起動 → [4]キーでセーフモード
ステップ②:権限を再設定
セーフモードで、Cドライブのプロパティ → 「セキュリティ」タブ → 「編集」→「追加」から、以下のユーザーを再登録します。
| アカウント名 | 権限 |
|---|---|
| SYSTEM | フルコントロール |
| Administrators | フルコントロール |
| Users | 読み取りと実行 |
| TrustedInstaller | 読み取りと実行(またはそのまま) |
※NT SERVICE\TrustedInstallerの追加には手順が少し特殊です。後述のコマンドで対応可能です。
GUIでの基本復元:必要アカウントの再登録
対象フォルダ(例:C:\Windows や C:\Program Files)を右クリック →「プロパティ」→「セキュリティ」→「編集」→「追加」。
- SYSTEM … フルコントロール
- Administrators … フルコントロール
- Users … 読み取りと実行
- TrustedInstaller(入力欄に
NT SERVICE\TrustedInstallerと打鍵)… 読み取りと実行(※所有は後述の対象でのみ)
「詳細設定」→「継承の有効化」をオンに。子オブジェクトへ正しく継承されるようにします。
コマンドで一括修復する方法(限定スコープ版)
管理者のコマンド プロンプトで、対象をシステム領域に限定して実行します。C:\ 全体には当てません。
1) Windows フォルダ(%windir%)
takeown /F “%windir%” /R /D Y
icacls “%windir%” /grant:r SYSTEM:(F) Administrators:(F) Users:(RX) /T /C
icacls “%windir%” /setowner “NT SERVICE\TrustedInstaller” /T /C
2) Program Files(64bit)
takeown /F “%ProgramFiles%” /R /D Y
icacls “%ProgramFiles%” /grant:r SYSTEM:(F) Administrators:(F) Users:(RX) /T /C
3) Program Files (x86)(32bit)
takeown /F “%ProgramFiles(x86)%” /R /D Y
icacls “%ProgramFiles(x86)%” /grant:r SYSTEM:(F) Administrators:(F) Users:(RX) /T /C
4) ProgramData(アプリ共通データ)
takeown /F “%ProgramData%” /R /D Y
icacls “%ProgramData%” /grant:r SYSTEM:(F) Administrators:(F) Users:(RX) /T /C
補足:所有者(/setowner)は通常 %windir% のようなシステム領域に対して適用します。C:\ 直下やユーザープロファイル全体に一律適用するのはNGです。
実行後は再起動し、DISM → SFC をもう一度回して整合性を確認します。

どうしても直らない時の最終手段(安全順)
- 復元ポイント:権限変更前にロールバックできる最短ルート。
- インプレース修復(上書きインストール):個人ファイル・アプリを保持しつつ、システム領域の破綻を広範囲に修復。
- 初期化:最後の手段。事前バックアップ必須。メーカー製は独自リカバリ手順を要確認。
よくある質問
ここまでの手順で多くのケースは改善されると思いますが、それでも「TrustedInstallerの追加方法がよくわからない」「このまま使っていて大丈夫なのか不安」といった声も多く寄せられています。
そこで、読者の方から実際によくいただく質問を、Q&A形式でまとめました。該当するものがあれば、ぜひ参考にしてください。
Q1. TrustedInstallerを元に戻す方法は?
手動追加が難しいため、icaclsコマンドで復元するのが確実です。
Q2. 権限が原因でアプリが動きません。どうしたら?
該当フォルダ単位で再設定するか、上記コマンドで一括修復を行ってください。
Q3. 何もできないレベルでおかしい場合は?
セーフモードで復元ポイントを適用するか、回復ディスクを使って修復を行いましょう。
まとめ・アクセス権限の変更は慎重に!
Cドライブの「プロパティ > セキュリティ」画面は、基本的には触らないのが安全です。もし変更する場合は、復元ポイントを作っておく、変更内容を記録しておくなど、万が一に備えましょう。
今回ご紹介した手順を使えば、多くのケースで復元可能ですが、それでも直らない場合は専門サポートの利用もご検討ください。
更新履歴:2025年11月—C:\ 直下への一括適用手順を削除し、%windir% 等の限定スコープに修正/GUI手順を現行UIに合わせて加筆/先に DISM→SFC→復元ポイント→インプレース修復 の安全順を提示。
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