近年、Windowsの動作が不安定になった際の最終手段である「初期化」が、正常に完了しないというトラブルが急増しています。大切なデータを守るためにも、まずは原因を理解し、ご自身でできる対策を試してみましょう。
なぜ初期化できない?考えられる主な原因
Windowsの初期化が途中で止まったり、エラーが発生したりする場合、主に以下の原因が考えられます。
システムファイルの破損
アップデートの失敗や予期せぬシャットダウンなどにより、Windowsの重要なファイルが破損している可能性があります。
ディスクのエラー
ハードディスクやSSDに物理的な損傷や論理的なエラーが発生している場合、初期化に必要な領域へのアクセスが妨げられることがあります。
周辺機器との干渉
キーボード、マウス、外付けHDDなどの周辺機器が、初期化プロセスに影響を与えている場合があります。
セキュリティソフトの影響
インストールされているセキュリティソフトが、初期化プログラムを誤ってブロックしている可能性があります。
回復パーティションの問題
初期化に必要な回復パーティションが破損している、または容量が不足している場合があります。
BIOS/UEFIの設定
BIOS/UEFIの設定が初期化プロセスと競合している場合があります。
自分でできる!初期化トラブルへの対策
初期化がうまくいかない場合でも、諦めずに以下の対策を試してみてください。
周辺機器をすべて取り外す
まずは、パソコンに接続されているキーボード、マウス、外付けHDD、USBメモリなどの周辺機器をすべて取り外した状態で、再度初期化を試してみてください。これにより、周辺機器との干渉が原因である場合、問題が解決することがあります。
セーフモードで起動して初期化を試す
セーフモードは、必要最低限のシステム構成でWindowsを起動するモードです。通常起動では影響を与える可能性のあるドライバやスタートアッププログラムが読み込まれないため、セーフモードで初期化を試すことで、問題が解決する場合があります。
セーフモードでの起動方法
①パソコンを再起動します。
②メーカーロゴが表示されたら、すぐに電源ボタンを長押しして強制的にシャットダウンします。この操作を2~3回繰り返すと、Windows回復環境が起動します。
③「トラブルシューティング」
→「詳細オプション」
→「スタートアップ設定」を選択します。
④「再起動」をクリックすると、スタートアップ設定のメニューが表示されます。
⑤キーボードの[4]または[F4]キーを押して「セーフモードを有効にする」を選択します。
⑥セーフモードでWindowsが起動したら、
「設定」
→「更新とセキュリティ」
→「回復」から「このPCを初期状態に戻す」を実行します。
コマンドプロンプトから初期化を実行する
Windows回復環境のコマンドプロンプトから、初期化コマンドを実行する方法もあります。
コマンドプロンプトからの初期化方法
①上記「セーフモードで起動して初期化を試す」の手順1~2と同様に、Windows回復環境を起動します。
②「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「コマンドプロンプト」を選択します。
③コマンドプロンプトが開いたら、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
systemreset –factoryreset
④画面の指示に従って初期化を進めます。
回復ドライブを使用する
事前に作成しておいた回復ドライブがある場合は、それを使用して初期化を試すことができます。
回復ドライブからの初期化方法
①回復ドライブをパソコンに接続します。
②パソコンを起動し、BIOS/UEFIの設定画面を開き、起動順序を回復ドライブが最優先になるように変更します。
③パソコンを再起動すると、回復ドライブから起動します。
④画面の指示に従って初期化を進めます。
BIOS/UEFIの設定を確認する
まれに、BIOS/UEFIの設定が初期化プロセスに影響を与えることがあります。特に、セキュリティ関連の設定(Secure Bootなど)が原因となる場合があります。BIOS/UEFIの設定画面を確認し、必要に応じて設定を変更してみてください。(設定変更は慎重に行ってください)
それでも解決しない場合は…
上記の方法を試しても初期化ができない場合は、ハードウェアの故障や、より深刻なシステムの問題が考えられます。ご自身での解決が難しい場合は、以下の専門機関に相談することをおすすめします。
・パソコンメーカーのサポート窓口
・修理業者
・お近くの家電量販店の修理サービス
【2025年6月追記】Windowsの初期化トラブルは6月も継続中
この記事は2025年5月時点の情報をもとに作成していますが、6月現在も「初期化に失敗する」「回復環境が読み込めない」といったトラブルは引き続き多く報告されています。
特に、更新によるシステムファイルの破損や、回復パーティションの不具合など、根本的な原因は変わっていません。
本文で紹介している手順や回復コマンド(DISM/sfc)などは、6月以降も有効な対処法です。初期化を試みる前に、ぜひご確認ください。
まとめ
これまでにないパターンの不具合が増加しています。以下に、最近特に多い新しい原因とその対処法をまとめました。
新たに増えている原因 | 補足と対策 |
---|---|
Microsoftアカウントの同期失敗 | クラウドバックアップ機能が影響して処理が止まることがあります。 対策:ローカルアカウントに一時的に切り替えて初期化を実行してください。 |
BitLockerの自動有効化 | BitLockerがオンの状態では、初期化時に回復キーの入力を求められたり、処理が中断されることがあります。 対策:初期化前にBitLockerをオフにするのがおすすめです。 |
更新プログラム(KB5058411など)の影響 | 一部の累積更新パッチがシステムファイルを破損し、初期化失敗の原因になるケースが報告されています。 対策:セーフモードでの初期化または回復ドライブの使用が有効です。 |
TPMやSecure Bootの設定 | Windows 11のセキュリティ機能が回復処理と競合する可能性があります。 対策:BIOSで一時的にSecure Bootを無効にしてみるのも1つの手です。 |
*初期化に繰り返し失敗した場合は、「C:\$Windows.~BT\Sources\Panther」フォルダ内の setupact.log
や setuperr.log
などのログファイルを確認することで、原因の特定につながる場合もあります。
*今後のアップデートやパッチで改善される可能性もありますが、現時点では上記のような「手動での対応」が有効です。初期化前には、改めてデータバックアップとアカウント状態の確認を、くれぐれもお忘れの無いようお願いします!
データのバックアップは忘れずに!
初期化は、パソコン内のすべてのデータが削除される操作です。トラブルシューティングを行う前に、可能な限り重要なデータのバックアップを取っておくことを強く推奨します。
今回の情報が、Windowsの初期化トラブル解決の一助となれば幸いです。
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