
近年、Windows 10/11で
「初期化が40%から進まない」
「再セットアップが途中で止まる」
「PCをリセット中のまま一晩経っても終わらない」
という相談が、明らかに増えています。パソコンの調子が悪くなったときの“最後の切り札”である初期化がうまくいかないと、どうしていいか分からなくなりますよね。
この記事では、Windowsの初期化が途中で止まる/失敗する原因と、自分で試せる対処手順を「安全な順番」でまとめました。
あわせて、2025年時点で使えるインプレースアップグレードなどの“裏技的な最終手段”も紹介します。
多くのケースでは、周辺機器の取り外し → システム修復(DISM / SFC)→ セーフモードや回復環境からの初期で解決します。
それでもダメな場合は、「インプレースアップグレード」や「クリーンインストール」を検討すると、意外とあっさり復活することもあります。
1. なぜWindowsの初期化が途中で止まるのか?
まずは、「このPCを初期状態に戻す」やメーカーのリカバリが止まってしまう代表的な原因を整理しておきましょう。
- システムファイルの破損
アップデート失敗・強制終了・電源断などが原因で、初期化に必要なWindowsのファイルが壊れている。 - ディスク(SSD/HDD)のエラー
SSD/HDDの一部が読み書きできない状態だと、初期化用のファイルを展開できず途中で止まる。 - 周辺機器やドライバの干渉
外付けSSDやUSBメモリ、古い周辺機器用ドライバが、初期化処理の邪魔をすることがあります。 - セキュリティソフト・暗号化(BitLocker)
ウイルス対策ソフトや、BitLockerの暗号化がかかった状態で初期化しようとして引っかかるケース。 - 回復パーティションやWinREの破損
「このPCを初期状態に戻す」が依存している回復パーティション/WinREのデータが壊れている。 - ファームウェア(BIOS/UEFI)の設定
セキュアブートやストレージ設定(RAID/AHCI)が変わっていて、インストーラーがうまく動けない。
原因はさまざまですが、「Windowsそのものが不安定」+「ディスク側の問題」という組み合わせが多い印象です。
このあと紹介する手順を、簡単なもの → 少し踏み込んだものの順で試していきましょう。
2. 初期化前に必ず確認したいこと(チェックリスト)
初期化前のチェックリスト
- 外付けSSDやUSBメモリなどに必要なデータをバックアップしたか
- Microsoftアカウント・各種クラウドサービスのサインイン情報を把握しているか
- BitLockerが有効な場合、回復キーをメモまたは印刷しているか
- ノートPCなら、ACアダプタを接続して作業しているか
ここを飛ばしてしまうと、初期化がうまくいっても「データが戻せない」「ロックが解除できない」という別のトラブルになりかねません。
3. 自分でできる:初期化できないときの対処手順
ステップ1:周辺機器をすべて外す(いちばん手軽で効果大)
まずは、外付けHDD/USBメモリ/プリンター/外付けDVDドライブ/ゲームコントローラーなど、
電源とLAN以外のケーブルをすべて抜いてから初期化をやり直してみましょう。
意外に多いのが、
- 外付けSSDにインストールしていた古いWindowsの残骸
- USBメモリやSDカード
- 昔の周辺機器用ドライバ
が悪さをして、初期化の途中でフリーズしたように見えるケースです。
まずは「本体だけの状態」にしてから、再チャレンジしてみてください。
ステップ2:システム修復(DISM / SFC / CHKDSK)を先にかける
初期化がうまくいかないときは、その前にWindows本体を修復しておくと成功率が上がります。
① スタートメニューを右クリック → [ターミナル(管理者)] もしくは [Windows PowerShell(管理者)] を開く
② 次の順番でコマンドを実行します
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
sfc /scannow
③ 必要に応じて、ディスクチェックも実行します
chkdsk C: /scan
エラーの量やPCの性能によっては、完了までに30分以上かかることもあります。途中で閉じずに待ってください。
完了後に再起動し、「設定 → システム → 回復 → このPCを初期状態に戻す」から再度初期化を試します。
ステップ3:セーフモードから初期化を実行する
通常起動のままでは失敗してしまう初期化も、セーフモード(最低限の構成)で実行すると通ることがあります。
セーフモード起動 → 初期化の流れ
- 設定を開き、[システム] → [回復] を開く
- [PC の起動をカスタマイズする] のところで[今すぐ再起動]をクリック
- 再起動後、[トラブルシューティング] → [詳細オプション] → [スタートアップ設定] を選択し、再起動
- 番号キー [4] または [F4] で「セーフモードを有効にする」を選ぶ
- セーフモードで起動したら、再度 [設定] → [システム] → [回復] → [このPCを初期状態に戻す] から初期化を実行
これで余計な常駐ソフトやドライバを読み込まずに初期化できるため、途中で止まるリスクを減らせます。
ステップ4:回復環境(WinRE)から初期化する
Windowsがうまく起動しない場合は、回復環境(青い画面のメニュー)から初期化を実行する方法があります。
- 電源ボタン長押しで起動 → ロゴ表示 → 強制電源オフを2〜3回くり返す
- 「自動修復を準備しています」→「詳細オプション」が表示されたら、[トラブルシューティング] を選択
- [このPCを初期状態に戻す] → 「ファイルを保持する」または「すべて削除する」を選ぶ
ここで表示される「このPCを初期状態に戻す」は、Windowsの内部にある回復環境(WinRE)から実行されます。
通常の画面からの初期化で止まってしまう場合でも、こちらからなら完走するケースがあります。
ステップ5:コマンドで初期化画面を呼び出す(systemreset)
回復環境の「詳細オプション」→「コマンド プロンプト」から、systemresetコマンドで初期化画面を呼び出す方法もあります。
コマンド例
systemreset -cleanpc
systemreset -factoryreset
コマンドが受け付けられる環境では、GUIからうまく開けない初期化画面を直接起動できる裏ワザとして覚えておくと便利です。
※コマンドが実行できない環境もあります。その場合はインストールメディアからのクリーンインストールに切り替えてください。
4. 2025年向けのポイント:クラウドダウンロード/BitLocker/WinRE
クラウドダウンロードとローカル再インストール、どちらを選ぶ?
Windows 11の「このPCを初期状態に戻す」では、次の2種類が選べることがあります。
- クラウドから再インストール(クラウドダウンロード)
Microsoftのサーバーから最新のイメージをダウンロードして初期化する方法。回復パーティションが壊れていても成功しやすいのがメリットですが、通信量が大きいのでモバイル回線には不向きです。 - このデバイスから再インストール(ローカル再インストール)
PC内部の回復用ファイルを使って初期化する方法。通信量は少なく済みますが、その回復領域が壊れていると途中で止まりやすいという弱点があります。
初期化が何度も止まる場合は、「クラウドから再インストール」側を試すと突破できることが多いです。
BitLocker有効PCは回復キーを必ず確認
最近のノートPCでは、知らないうちにBitLocker(ドライブ暗号化)が有効になっていることも多くなっています。
- 初期化の途中やインストールメディアから作業しているときに、回復キーの入力を求められることがある
- 回復キーが分からないと、ドライブ内のデータにアクセスできなくなる
初期化・クリーンインストールに入る前に、以下のページなどを参考に、BitLocker回復キーの確認と保管を行っておくことをおすすめします。
▶︎ 「BitLocker回復キー」の入力を求められたときの対処法
WinRE(回復環境)の状態を確認する小ワザ
「このPCを初期状態に戻す」自体が灰色になっていたり、実行するとすぐエラーで終わる場合、WinRE(回復環境)が無効になっていることがあります。
reagentc /info
上のコマンドで「有効/無効」や場所を確認できます。詳しい再構成方法は上級者向けになるため、その場合はインストールメディアからのクリーンインストールに切り替える方が早いことが多いです。
5. それでもダメなときの“裏技”と最終手段
裏技1:インプレースアップグレード(上書き再インストール)
「初期化は失敗するのに、Windows自体はなんとか起動する」という場合、
いきなり全消去する前にインプレースアップグレード(上書き再インストール)を試してみる価値があります。
- Microsoft公式ツール(インストール アシスタント/メディア作成ツール)で最新のセットアップをダウンロード
- ダウンロードしたセットアップをWindowsが起動している状態から実行し、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択
- Windowsの中身だけを最新かつきれいな状態に上書きできる
「初期化で全消去する前に、もう一度だけ救済したい」というときの、隠れた有力候補です。
▶︎ 【公式裏ワザ】再インストール不要の“インプレースアップグレード”という選択
裏技2:インストールメディアからのクリーンインストール
どうしても初期化が完走しない場合は、インストールUSBを作成してクリーンインストールするのが、最も確実な方法です。
- 別のPCでインストールメディアを作成しておく
- トラブル中のPCをUSBから起動し、既存のパーティションを削除して入れ直す
- ドライバとWindows Updateを適用し直す
手間はかかりますが、内部のごちゃごちゃした状態を一度リセットする感覚で、サッパリやり直すことができます。
▶︎ Windowsを完全リセット!失敗しないクリーンインストールのやり方
ハードディスク/SSDの寿命が怪しいときのサイン
- 初期化中だけでなく、普段からカリカリ音が続く/異常に遅い/よくフリーズする
- SMARTエラーの警告が出ている(メーカー診断ツールや「CrystalDiskInfo」など)
chkdskで不良セクターが多数検出される
こうした症状がある場合は、ディスク自体の交換を前提に考えたほうが安全です。
トラブルシューティングに時間をかけるより、新しいSSDに乗り換えた方が結果的に安く・速く・静かということもよくあります。
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初期化・クリーンインストール前に用意しておきたいアイテム
データ退避用のストレージと、インストールメディア用のUSBが1本ずつあると安心です。
6. まとめ:初期化が止まっても、まだ取れる手はたくさんある
Windowsの初期化が途中で止まると、「もうこのPCはダメかも…」と不安になりますが、実際には試せる手段はまだまだ残っています。
- まずは周辺機器を外す・DISM/SFC/CHKDSKでシステムとディスクを整える
- それでもダメなら、セーフモードや回復環境(WinRE)から初期化を試す
- BitLocker回復キーやクラウドダウンロードなど、2025年時点ならではのポイントも意識する
- 最終的には、インプレースアップグレードやクリーンインストールで“まっさらな状態”に戻すこともできる
大事なのは、いきなり全消去に突っ走らず、バックアップと事前準備をしながら、安全な順番で一つずつ試していくことです。
この記事が、初期化トラブルからPCを立て直すための道しるべになればうれしいです。
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