2025年11月17日(米国時間)、Microsoftは Windows 10 向けに「KB5072653」という緊急アップデート(Out-of-band update)を公開しました。
KB5072653とは?
これは通常の累積更新(LCU)ではなく、
- Windows 10 のExtended Security Updates(ESU)専用
- 「ライセンス準備パッケージ(Licensing Preparation Package)」
- 主目的は、ESUライセンスの認識不具合を直して、11月のESU更新がちゃんと入るようにする
という、かなり「ピンポイント」な更新プログラムです。
特に問題になっていたのが、2025年11月のESU更新「KB5068781」がエラー 0x800f0922 で失敗するケースです。これを解消するために出てきたのが KB5072653 という位置づけになります。

なぜ今「KB5072653」が話題になっているの?
背景:Windows 10 サポート終了と ESU 開始
- Windows 10 は 2025年10月14日にサポート終了。
- そこから先も Windows 10 を使い続ける人向けに、有料の延長セキュリティ更新(ESU)プログラムがスタートしました。
- 2025年11月の Patch Tuesday で、最初の Windows 10 ESU 更新「KB5068781」が配信開始。
ところがこの KB5068781 が一部環境でコケる(0x800f0922) というトラブルが発生。特に、
- Microsoft 365 管理センターからサブスクリプションとして Windows ライセンスを配布している企業環境
- WSUS や SCCM(ConfigMgr)経由で配信している組織
で、「ESUに加入済みなのに、KB5068781 がエラー 0x800f0922 で適用できない」という報告が相次ぎました。
この不具合の対策として、Microsoft が急きょ公開したのが KB5072653(ESU ライセンス準備パッケージ)です。
KB5072653 が必要な人・不要な人
KB5072653 が「必要」な人
おおまかに言うと、次の条件に当てはまる場合は KB5072653 が重要です。
- Windows 10 22H2 を使用している
- Windows 10 の ESU プログラムに加入している
- 個人で「Windows 10 Extended Security Updates(1年延長)」を購入した
- もしくは組織で商用 ESU を契約している
- 2025年11月の ESU 更新(KB5068781)を適用しようとしている、または適用したい
- すでに ESU の更新がエラー 0x800f0922 で失敗した、またはこれから対策しておきたい
とくに、Microsoft 365 のサブスクリプションで Windows ライセンスを配っている企業(サブスクリプション アクティベーション環境)は、Microsoft 公式でも「KB5072653 を入れてから KB5068781 を再実行してください」と案内されています。
KB5072653 が「不要」な人
逆に、次のようなユーザーは KB5072653 を気にしなくてOK です。
- すでに Windows 11 に移行済み
- Windows 10 でも、
- ESU に一切加入していない
- セキュリティ更新も特に受ける予定がない(自己責任でオフラインなど)
- 企業ではなく、自宅 PC で「Windows 10 ESU は使わず、PC自体を買い替える予定」
通常の Windows 10 Home / Pro ユーザーで ESU 未加入なら、そもそも KB5072653 は降ってこないか、インストール要求も出ません。
KB5072653 の前提条件:入れる前にここだけチェック
KB5072653 を適用するためには、いくつかの前提条件があります。マイクロソフトサポート+1
- Windows 10 Version 22H2 であること
- [設定]→[システム]→[バージョン情報]で「エディション」と「バージョン」を確認
- 2025年10月のセキュリティ更新 KB5066791 が適用済み
- [設定]→[更新とセキュリティ]→[更新の履歴を表示する]で
「KB5066791」が「品質更新プログラム」の中にあれば OK
- [設定]→[更新とセキュリティ]→[更新の履歴を表示する]で
- ESUプログラムに登録済み
- 個人の場合:
Microsoft アカウントで「Windows 10 ESU」を購入した、または
1,000 Microsoft Rewards ポイントなどで交換したパターンが対象とされています。 - 企業の場合:
ボリューム ライセンスや CSP 経由で ESU キーを取得し、KMS / MAK やサブスクリプション アクティベーションで有効化している環境。
- 個人の場合:
KB5072653 のインストール手順
1. Windows Update から自動インストールする(推奨)
前提条件を満たしていれば、基本的には Windows Update から自動的に KB5072653 が配信されます。マイクロソフトサポート
- [スタート]→[設定]→[更新とセキュリティ]→[Windows Update]を開く
- [更新プログラムのチェック]をクリック
- 「KB5072653」または
「2025-11 Security Update for Windows 10 Version 22H2(KB5072653)」
といった名前の更新が表示され、自動ダウンロード・インストールされます - インストール完了後、自動的に再起動がかかる点に注意(作業中は避ける)
2. Microsoft Update カタログから手動で入れる
WSUS を使わない小規模環境や、オフラインに近い環境では Update カタログから直接ダウンロードして適用する方法もあります。Microsoft Update Catalog+1
- ブラウザで「Microsoft Update Catalog」を開く
- 検索ボックスに
KB5072653と入力して検索 - 自分の環境に合わせて、次のいずれかをダウンロード
- Windows 10 Version 22H2 for x64-based Systems
- Windows 10 Version 22H2 for x86-based Systems
- (必要に応じて ARM64)
- ダウンロードした
.msuファイルをダブルクリックして実行 - インストーラーに従い、インストール後に PC を再起動
KB5072653 を入れた後に確認しておきたいこと
KB5072653 をインストールしたら、本来の目的である ESU 更新が正しく入るかをチェックします。
① Windows Update で KB5068781 が入るか確認
- PCを再起動後、再度[Windows Update]を開き、更新プログラムをチェック
- 「KB5068781」が正常にダウンロード&インストールされるか確認
- エラー 0x800f0922 が出ず、インストール履歴に「成功」と出ていれば OK
②(企業向け)ESU ライセンス状態を確認
- 管理者権限のコマンド プロンプトで
slmgr.vbs /dlv - 出力の中に ESU 関連のライセンス エントリ が表示されているか確認
- WSUS / ConfigMgr を使っている場合は、コンプライアンス レポート上で「KB5068781 が必要」と認識されているかも要チェックです。
ありがちなトラブルと対処のヒント
1. KB5072653 自体がインストールできない場合
- まず KB5066791(2025年10月の更新)が入っているかを再確認
- セキュリティソフトや一部のエンドポイント保護製品が妨害しているケースもあるので、一時的に保護レベルを下げる・一時停止して試す
- それでもダメな場合は、
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealthsfc /scannow
などで Windows のコンポーネント ストアを修復してから再挑戦
2. 再起動ループが怖い場合
KB5072653 は比較的小さな「準備パッケージ」ですが、インストール後の再起動は必須です。
- 適用は 勤務時間外やメンテナンス時間帯に行う
- ノートPCは ACアダプタを接続した状態で実施
事前に 重要データのバックアップ(外付けSSD・クラウド) を取っておくと安心です。
よくある質問(Q&A)
Q1. KB5072653 は「一般ユーザー」も気にするべき?
ESU に加入していない一般の Windows 10 ユーザーは、基本的に気にしなくて大丈夫です。
ESU専用の準備パッケージなので、「普通の累積更新」とは別枠の話になります。
Q2. KB5072653 だけ入れておけば安全なの?
KB5072653 はあくまで ESU更新を通すための「前座」 です。
本命は毎月の ESU セキュリティ更新(今回で言えば KB5068781)なので、
- KB5072653 → 再起動
- そのあとすぐに Windows Update で KB5068781 を適用
という2ステップを完了して、初めて「11月分のセキュリティパッチが当たった」と言えます。
Q3. もう ESU にお金を払うぐらいなら、Windows 11 にした方がいい?
ここはPCのスペックと運用方針次第です。
- まだ新しめで Windows 11 対応 CPU/TPM のマシン →
Windows 11 への移行を強く検討した方がトータルコストは安く済むケースが多いです。 - どうしても専用ソフトの関係で Windows 10 をあと数年は維持したい →
ESU + KB5072653 で延命しつつ、並行して移行計画を立てるのがおすすめ。
最近のレポートでも、Microsoft は「Windows 10 を無期限に引き延ばす」のではなく、あくまで移行までの「時間を買う」ための ESUというスタンスを強調しています。
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