2025年5月のWindowsアップデート以降、Windows 10でのみネットワーク接続が不安定になる不具合が多くのユーザーから報告されています。本記事では、初心者でもできる基本的な確認から、中級者・上級者向けの裏技的な対処法、さらには最終手段までを一挙に紹介します。焦らず順番に試していけば、あなたのネットもきっと復活します。
まずは基本!誰でもできるネットワークの確認ポイント
「突然ネットが繋がらなくなった…」「昨日まで普通に使えていたのに…」
そんなとき、焦って設定をいじる前に、まずは落ち着いて基本的な確認から始めることが重要です。
ここでは、パソコン初心者の方でも簡単にチェックできる、基本のトラブルシューティング手順をご紹介します。
【ステップ1】ルーターとモデムの再起動
ネットワーク機器の一時的な不具合は、再起動で直ることがよくあります。
- ルーターとモデムの電源ケーブルを抜き、1分ほど待ってから再び電源を入れる。
- ランプが正常に点灯したら、PCの接続を確認します。
※一見関係なさそうでも、再起動は非常に効果的な基本手順です。
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【ステップ2】PCの再起動
単純なように思えますが、PCの再起動だけでネットに繋がるようになるケースも多いです。
- 一度シャットダウンし、2〜3分後に再起動してみましょう。
【ステップ3】ネットワークケーブルの確認(有線接続の場合)
有線で接続している場合、物理的な接続不良も疑ってみましょう。
- LANケーブルがしっかり刺さっているか確認。
- 可能なら別のLANケーブルに交換して試してみるのも効果的です。
【ステップ4】Wi-Fi接続の確認(無線接続の場合)
無線LANを使っている場合、以下を確認しましょう。
- 接続先のSSID(Wi-Fi名)が正しいか。
- パスワードが間違っていないか(再入力を推奨)。
- ルーターに近づいて接続を試してみる。
※電子レンジや壁などが干渉していることもあるため、物理的距離の調整も有効です。
【ステップ5】ネットワークアダプターのトラブルシューティング
Windowsには、ネットワーク関連の不具合を自動で診断・修復してくれる機能があります。
- 検索バーに「デバイスマネージャー」と入力して開く
- 「ネットワークアダプター」を展開し、現在使用中のアダプターを右クリック
- 「トラブルシューティング」を選択して、画面の指示に従う
【ステップ6】ネットワーク設定のリセット(コマンド実行)
それでも直らない場合は、ネットワーク設定をリセットしてみましょう。
①検索バーに「cmd」と入力し、「管理者として実行」
②以下のコマンドを1行ずつ実行します。
netsh winsock reset
netsh int ip reset
ipconfig /release
ipconfig /renew
ipconfig /flushdns
③実行後はPCを再起動してください。
※この操作でネットワーク関連の設定が初期化され、問題が解決することがあります。
上記の方法は、パソコンに詳しくない方でも比較的安全に試せる内容ばかりです。
それでも解決しない場合は、次の「中級者向けステップ」へ進んでください。問題の原因をもう一段階深く探っていきます。
中級者向け:設定を掘り下げて問題の原因を特定

基本的な対処で改善しなかった場合、次はもう少し深い部分に踏み込んでみましょう。ここでは、ネットワークドライバーやセキュリティ設定など、ソフトウェア的な要因を重点的に確認していきます。
【ステップ1】ネットワークアダプタードライバーの更新または再インストール
ドライバーの不具合が原因でネットワークが不安定になるケースもあります。
- 「デバイスマネージャー」を開き、「ネットワークアダプター」を展開
- 使用しているアダプターを右クリックし、「ドライバーの更新」を選択
- 「自動で検索」または、製造元サイトから最新版をダウンロードして手動で更新
※更新後も繋がらない場合は、一度「デバイスのアンインストール」を行い、PCを再起動してください。Windowsが自動で再インストールしてくれます。
【ステップ2】セキュリティソフトやファイアウォールの影響をチェック
セキュリティソフトがネットワークを遮断していることもあります。
- 一時的にセキュリティソフトやWindowsファイアウォールをオフにして接続を確認
- 接続できた場合は、ソフトの設定や例外ルールの見直しが必要です
※セキュリティソフトを無効化する際は、信頼できるネットワーク環境で行ってください。
【ステップ3】システムの復元を利用する
もしWindows Update前に正常にネットが繋がっていた状態に戻したい場合、復元機能が有効です。
- 「システムの復元」と検索して起動
- 更新前の日付の復元ポイントを選んで復元を実行
※個人ファイルには影響はありませんが、インストールしたアプリやドライバは巻き戻される可能性があります。
上級者向け:さらに踏み込んだ高度なトラブルシューティング
中級者向けでも改善しなかった場合、ここからは専門的な知識が必要な内容となります。自己責任で慎重に進めてください。
【ステップ1】イベントビューアーでエラーログを確認
- 「イベントビューアー」と検索し起動
- 左側の「Windowsログ」→「システム」を開く
- 赤や黄色の「警告」「エラー」ログを確認
ネットワーク関連のサービス停止やエラーなどが記録されている場合、エラーコードで原因の特定が可能になります。
【ステップ2】PowerShellを使ったネットワーク診断
PowerShellを使えば、コマンドでネットワーク状態を詳細に調査できます。
Get-NetAdapter | Select-Object Name, Status, LinkSpeed
Get-NetIPConfiguration
Test-NetConnection -ComputerName google.com -Port 80
回線の有無、速度、接続先の到達性などを確認できます。Test-NetConnection はPingの代替としても活用できます。
【ステップ3】ネットワーク監視ツールを使う(Wiresharkなど)
- Wiresharkなどのネットワークキャプチャツールを使えば、パケット単位で通信状況を解析できます。
- 通信が途中で止まっている箇所や、不審な通信の有無もチェック可能です。
ただし、ツールの操作には専門知識が必要です。トラブルシューティングに慣れている方向けです。
【ステップ4】レジストリの編集(※要バックアップ)
ネットワークの詳細な設定は、レジストリでも制御されています。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\Tcpip\Parameters
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\Dhcp
編集を誤ると起動不能になるリスクがあります。必ずバックアップを取ってから変更してください。
【ステップ5】ネットワークアダプターの詳細設定を見直す
- 「デバイスマネージャー」でネットワークアダプターを右クリック →「プロパティ」
- 「詳細設定」タブを開く
- 「速度とデュプレックス」「フロー制御」などの値を調整
一部の環境では、「自動」から「100Mbps フルデュプレックス」などに変更することで安定することがあります。
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インストールUSBの作成・バックアップに必須です。迷ったらこの2つから。
最終手段:リカバリーまたはクリーンインストールを検討
どんな対処法を試しても改善しない場合は、システムの初期化やクリーンインストールが最後の手段になります。
【方法1】リカバリー(初期化)
- Windowsの設定画面 →「回復」から「このPCを初期状態に戻す」を選択
- 個人ファイルを保持するかどうかを選べます(保持可能ですが、アプリは削除されます)
【方法2】クリーンインストール
- Windows公式サイトからインストールメディアを作成し、完全にクリーンな状態からOSを再インストール
- ドライバ、アプリ、個人ファイルはすべて削除されるため、事前バックアップ必須
どちらの方法も、事前に大切なデータを外部にバックアップしておくことをお忘れなく。
Microsoftが緊急パッチを配信中
2025年5月14日、MicrosoftはWindows 10 バージョン 22H2 向けの累積更新プログラム「KB5058379」を公開しました。
この更新には、ネットワーク接続の不具合を含むいくつかの既知の問題に対する修正が含まれています。
- Windows Update から自動配信される場合がありますが、届いていない場合は手動で「更新プログラムのチェック」を行ってください。
- 更新後は再起動が必要になります。作業中のデータは事前に保存しておきましょう。
※比較的新しいPCでWindows 10を使用している方は、ぜひこの更新の有無を確認してください。
この修正によって、「突然ネットが繋がらなくなった」という問題が解決する可能性があるため、まだ試していない方はぜひアップデートを検討してみてください。
■ KB5060842での改善報告あり(7月プレビューパッチ)
2025年6月末に公開されたWindows 10向けのプレビューパッチ KB5060842 にて、ネットワーク関連の修正が含まれており、一部の環境では以下の改善が見られました。
・ Wi-Fi接続が頻繁に切れていた問題が解消された
・ 特定のIntelチップ搭載機でスリープ復帰後の接続不良が改善
・ VPN使用時の不安定さが軽減されたケースもあり
このパッチはオプション扱いのため、自動ではインストールされません。次の手順で確認・適用が可能です。
【2025年8月 最新補足】累積更新プログラムによる追加改善
■ KB5060533(2025年8月累積更新)での修正内容
2025年8月13日に公開された累積更新プログラム「KB5060533」では、ネットワーク関連の安定性向上が含まれています。特に以下のような改善が一部ユーザーから報告されています。
- Wi-Fi接続が数時間ごとに途切れる現象の軽減
- 特定のIntel/Realtekネットワークドライバーで発生していた通信エラーの修正
- VPN使用時の遅延が減少したケースあり
この更新は自動で配信される場合もありますが、届いていない場合は手動で「更新プログラムのチェック」を行ってください。
ドライバー更新との併用が効果的
8月パッチ適用後も改善しない場合、ネットワークアダプターのドライバー更新をあわせて行うと安定する可能性があります。Windows Update経由だけでなく、PCメーカーやチップメーカー(Intel・Realtekなど)の公式サイトから最新版を入手することも検討しましょう。
今後の見通し
Microsoftは引き続き、ネットワーク関連の不具合に対応する更新を順次配信しています。改善しない場合でも、今後の月例パッチやプレビューパッチで追加修正が含まれる可能性があるため、最新情報の確認を続けることをおすすめします。
また、一部の環境では「IPv6を再有効化」することで通信が安定したり、Windows 11 24H2 へ移行することで問題が解消した事例もあります。もし環境が対応している場合は、こうした選択肢も検討してみてください。
まとめ・原因は一つじゃない、だからこそ段階的に対応を
今回のネットワークトラブルは、2025年5月のWindowsアップデート後、Windows 10環境で多発しています。原因は単一ではなく、「ドライバー」「セキュリティ」「設定変更」など様々です。
焦らず、まずは基本の確認から順に、段階的に試していくことが解決の近道です。
また、自力での解決が難しい場合は、
- お使いのPCメーカーのサポート
- インターネットプロバイダの問い合わせ窓口
に相談することも検討しましょう。あなたの環境に合った的確なアドバイスをもらえる可能性があります。
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