
はじめに
2025年6月のWindows 11アップデート後、一部のパソコンで突然のエラーや不具合が発生する報告が相次いでいます。
• アプリが起動しない
• インストールが途中で止まる
• ブルースクリーンになる
• エラーコード「0xc0000005」「0x800f0922」などが表示される
SNSやフォーラム、企業サポートなどでも、今回のアップデートをきっかけに様々な現象が起きているとの声が多く上がっています。この記事では、現在わかっている主な現象と、取るべき対策をまとめてご紹介します。
どのようなエラーが多発しているのか?
今回の6月アップデート後に多い主な症状を整理します。
主な症状 | 詳細内容 |
---|---|
アプリケーション起動エラー | アプリが開かず、0xc0000005エラーが出る |
インストール失敗 | Windows Updateの更新が途中で失敗する |
ブルースクリーン(BSOD) | SYSTEM_SERVICE_EXCEPTION、MEMORY_MANAGEMENTなど |
一部のゲーム・業務ソフトの動作不良 | DirectX・ドライバー依存アプリでクラッシュ発生 |
パフォーマンス低下 | 起動が遅くなる、固まる、強制終了 |
影響が報告されている環境の傾向
今回の現象は特定メーカーというよりも、特定のハード構成やドライバーとの組み合わせで発生している可能性が高いようです。SNSやフォーラムでは以下のような環境での報告が多く見られます。
- 富士通・mouse製ノートPC(国内モデル)
- GIGABYTE・ASUS・ASRock製のマザーボード搭載自作PC
- インテル第12世代以降のCPU構成
- 新旧ドライバーが混在している環境
あくまで「一部の環境で確認されている事例」であり、すべてのユーザーが該当するわけではありません。
主な原因として考えられるもの
まだMicrosoftから公式な障害情報は出ていませんが、現時点で推測される原因を整理します。
- 一部ドライバーが新しいセキュリティ機能と競合
- BIOS設定(メモリ設定やセキュアブート)との相性問題
- Windows内部のシステムファイル破損
- メモリの物理障害
- アプリケーション自体の互換性不良
- Visual C++ライブラリの不足・破損
今回のアップデートはセキュリティ面の強化が多く含まれており、古いドライバーや周辺機器との互換性に影響している可能性が高いと見られています。
今すぐ試せる一般的な対策
不具合が発生した場合、まずは以下の対策を順番に試してみましょう。
① システムファイルの修復
コマンドプロンプト(管理者)で以下を順に実行します。
続いて
を入力して「実行」してください。
② ドライバーの更新・見直し
- グラフィック、ネットワーク、チップセットなどのドライバーを最新に更新
- 逆に、最近更新したドライバーなら「ロールバック」を試す
③ メモリ診断を実施
- Windowsメモリ診断ツールで物理メモリの状態を確認
④ BIOS設定を確認
- オーバークロックを無効化
- メモリのXMPプロファイルを一時的にOFF
- BIOSの最新バージョンがあれば更新を検討(慎重に)
⑤ 一時的にWindowsアップデートの停止
- 設定 → Windows Update → 更新の一時停止
→ 状況が落ち着くまで更新適用を一時見送るのも選択肢です。
裏ワザ的な補足対策
データ実行防止(DEP)の設定確認
古いアプリはDEP機能と衝突することがあります。
「システムの詳細設定 → パフォーマンス → データ実行防止」で個別に除外設定可能。
Visual C++ライブラリの再インストール
古いアプリで多発する0xc0000005は、実はVisual C++ランタイム不足が原因になることがあります。2005~2022年版まで一通り最新版にしておくと安心です。
今回の6月アップデートは少し慎重に
今回の現象は、決してすべてのPCで発生しているわけではありません。
普段は正常に動いているPCでも、「環境の違い」「ドライバーの差」「更新タイミング」でエラーが出るケースがあります。
- 不具合が出ている方は、慌てず順番に対策を
- まだ更新していない方は、事前にドライバーやBIOSを最新にしてからの適用が安心
- もし不安があれば「更新の一時停止」を使って、しばらく様子を見るのも有効です
なぜ今、不具合が集中しているのか?
実は今回のように「特定の月のアップデート直後に不具合が集中する」現象は、Windowsの世界ではたびたび起きています。特にここ最近のWindows 11では、その傾向が少し強まっている印象もあります。
その背景には、いくつかの複雑な事情があります。
まず、Windowsのアップデートは毎月細かくセキュリティや機能の修正が入っていますが、その対象となるデバイスの種類があまりにも膨大 です。メーカー製のパソコンだけでも数え切れないモデルがあり、自作PCや法人用カスタマイズ機も加わると、まったく同じ構成のパソコンはほぼ存在しません。
さらに近年では、CPUも「インテル」「AMD」「ARM」が混在し、メモリ規格・ストレージ規格・グラフィックドライバーも複雑化しています。そのため、新しい更新プログラムが意図せず「一部の構成だけに影響してしまう」 ことが起きやすくなっています。
もうひとつの要因が、セキュリティ強化のスピードアップです。マイクロソフトは特に企業や政府向けに「ゼロデイ脆弱性対策」「ドライバー署名の厳格化」「カーネル保護機能の強化」を進めており、これが「古いけれどまだ使われている周辺機器・ソフトウェア」との互換性問題を引き起こしやすい状況になっています。
もちろん、すべての利用者が毎回不具合に遭遇するわけではありませんが、たまたま構成が重なった一部の方だけが突然困ってしまう、というのが今のWindowsアップデートの「難しさ」でもあります。
ただ、こうした現象は決して「自分のPCだけが悪い」わけでも「メーカーに問題がある」わけでもありません。むしろ、これだけの多様な環境をカバーしながら全体を維持しているのが、現代のWindowsのすごさとも言えます。だからこそ、もし何かトラブルが起きても焦らず、順番に対策を試していくことが大切です。
まとめ
今回のアップデート後に多発している症状と、原因、対策を一覧表にまとめてみました。
症状 | 考えられる原因 | 対策の例 |
---|---|---|
アプリ起動エラー(0xc0000005) | システムファイル破損・ランタイム不足 | SFC修復・Visual C++再インストール |
Windows Update失敗 | ドライバー不整合・一時ファイル障害 | トラブルシューティング・セーフモード更新 |
ブルースクリーン発生 | メモリ障害・BIOS設定不具合 | メモリ診断・BIOS設定見直し |
特定アプリの不安定化 | ドライバー互換性問題 | ドライバー更新・ロールバック |
今回のような現象は、「特定のメーカーが悪い」というより、ソフトウェアとハードウェアの複雑な組み合わせが偶然不具合を引き起こしていることが多いです。少しずつ確認を進めれば、必ず解決に近づけますので、あまりご心配なさらずに取り組んでみてください。
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