Windows 11 24H2へアップグレードしたあと、家庭内ネットワークで他のPCにアクセスできない、リモートログインやドライブ共有が使えないといったトラブルが多発しています。
とくに「一方のPCはネットワーク上の他の機器を見られるが、もう一方は見えない」といった、片方向だけ繋がらない現象が多いです。
この記事では、基本的な対処法に加え、やや高度な「裏技」も紹介します。
よくある原因と対処法一覧

原因 | 対処法 |
---|---|
プライベートネットワークに設定されていない | 両方のPCを「プライベートネットワーク」に変更する |
ファイル共有設定が無効 | 「すべてのネットワーク」→「ファイルとプリンターの共有を有効にする」 |
パスワード保護共有が有効 | 「パスワード保護共有を無効」に設定する |
SMB機能が無効 | 「SMB 1.0/CIFS ファイル共有のサポート」を有効にする |
ネットワーク探索が無効 | Windowsの機能で「ネットワーク探索」をONにする |
これらの設定は、Windowsの大型アップデート後に初期化されたり無効化されたりすることが多く、意図せずファイル共有機能が遮断されてしまう原因になります。
特に「ネットワーク探索」や「パスワード保護共有」の設定は、セキュリティ強化の影響でデフォルトが変更されていることがあり、以前まで問題なく使えていた環境でも急に繋がらなくなることがあります。
まずはこの表にある基本的な項目を一つひとつ丁寧に確認し、それでも解決しない場合に次の「裏技的な方法」に進むのがおすすめです。
もう一歩深く!裏技的な解決法
1. IPv6を無効にする
一部の環境では、IPv6が通信の妨げになっているケースがあります。
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「アダプターのオプションを変更」
- 使用しているネットワークを右クリックして「プロパティ」
- 「インターネットプロトコル バージョン6(TCP/IPv6)」のチェックを外す
IPv6は将来的に重要なプロトコルですが、現時点では一部のルーターやNAS、Windowsの共有機能との相性が悪いことがあり、通信が不安定になる要因になることがあります。特にホームネットワーク内での接続問題では、IPv6を一時的に無効にするだけで改善するケースが少なくありません。
無効化しても通常のインターネット利用には支障が出ないため、トラブル切り分けの手段として試す価値があります。
2. hostsファイルで直接IPを指定する
Windowsが名前解決で混乱している可能性があります。
C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts に相手PCのIPとホスト名を直接書くことで解決することがあります。
192.168.1.20 sub-pc-name
3. Credential Manager(資格情報マネージャ)に手動で資格情報を追加
- 「コントロールパネル」→「資格情報マネージャー」
- Windows資格情報 → 「Windows 資格情報を追加」
- 相手PCのアドレス、ユーザー名、パスワードを事前に登録することで接続成功するケースがあります
Windowsでは、ネットワーク越しのアクセス時に認証エラーで接続が拒否されることがよくあります。資格情報マネージャを使ってあらかじめユーザー名とパスワードを登録しておくと、接続時の自動認証がスムーズに行われるようになり、エラーが回避される可能性が高まります。
特に、MicrosoftアカウントでログインしているPCどうしの場合や、共有先がローカルアカウントで設定されているときに有効です。
4. ファイアウォールで「ファイルとプリンタの共有」を許可
- 「Windows セキュリティ」→「ファイアウォールとネットワーク保護」→「アプリを許可する」
- 一覧から「ファイルとプリンターの共有」にチェックが入っているか確認
それでもダメな場合の最終手段
✔ Windowsの「機能の有効化」からSMBを明示的にONにする
「SMB 1.0/CIFSファイル共有のサポート」は初期状態で無効なことがあります。
- [Win]+[R]で「optionalfeatures.exe」と入力
- 「SMB 1.0/CIFS ファイル共有のサポート」にチェック
✔ コマンドでNetBIOSやネットワーク探索を再起動する
コマンドプロンプトを管理者で開き、以下を順に実行
【新仕様補足】「Windows Hello」や「共有のUI」が影響する場合
Windows 11 24H2では、「共有」機能(共有センターUI)が刷新され、MicrosoftアカウントやPINログインを使っている場合、従来と異なる認証フローになることがあります。特に「Windows Hello」設定の影響で資格情報が通らないケースが報告されています。
【状況】Windows Hello PINでのログインが有効な場合、従来のパスワード共有が拒否される
→対策:Credential Managerで明示的にパスワードを登録することが有効です。
“Function Discovery Resource Publication” サービス
相手PCがネットワーク一覧に表示されない場合、サービス「Function Discovery Resource Publication」が停止していることがあります。
読み方:ファンクション・ディスカバリー・リソース・パブリケーション
このサービスは、Windowsネットワーク上でPCやプリンタなどの情報を他の機器に公開するための機能です。
例えば、家庭内LANで他のパソコンからこのPCを見つけられるようにするには、このサービスが「実行中」になっている必要があります。
無効になっていると、ネットワーク探索が有効でも他のPCに表示されなくなるなど、ファイル共有やリモート接続に影響が出ることがあります。
ファイルやフォルダの共有がうまくいかないときは、このサービスが「自動(遅延開始)」かつ「実行中」になっているか確認してみてください。
【対処法】
- [Win]+[R] → services.msc と入力してサービス一覧を開く
- 「Function Discovery Resource Publication」を「自動(遅延開始)」に設定し、開始
⇒ ネットワーク探索を有効にしても一覧に出ない場合に有効です。
超上級者向けの解決法もありますが・・
実は、これ以外にも「上級者向けの対処法」もあります。
しかし、かなりのハイリスクであったりしますので・・ざっくりだけ書いておきます。
①レジストリ編集による設定の強制有効化
②ローカルグループポリシーエディターでSMB署名の設定確認
③Windows Defenderの一時的無効化(⚠️完全自己責任)
④ファイル共有プロファイルの一時的な無効化(⚠️完全自己責任)
など、危険が伴うけれども「本当になにをしても無理」という時には、試す価値があるのでは?と思っています。(が、自己責任すぎるので手順は書きません)
よくある質問と回答
Q. エクスプローラーでPC名を直接入力しても開きません。
A. \\PC名 ではなく、\\IPアドレスで直接アクセスしてみてください。
Q. 相手PCがネットワーク一覧に出てこないだけで、アクセス自体はできることもありますか?
A. はい。名前解決ができていないだけの可能性もあるので、IPアドレスで試す価値があります。
ネットワーク越しのトラブルは、一見すると原因がわかりづらく、設定をすべて確認したつもりでも意外なところに落とし穴があることも多いです。
特にWindows 11 24H2では、以前と同じ設定でも接続できなくなる例が多発しています。
焦らず一つずつ検証することで、必ず解決への糸口が見えてきます。
今回紹介した方法はどれも実績のある対処法ですので、「もう手詰まりかも…」という方も、ぜひ再確認してみてください。
【2025年7月時点】Windows Update直後に発生した通信遮断
【内容】
2025年6月〜7月のアップデートで、「ネットワークプロファイルの自動リセット」や「ファイアウォール設定の初期化」が一部環境で報告されています。
特にプライベート→パブリックに変わってしまった結果、共有がブロックされていたケースが目立ちます。
この結果、ファイル共有やネットワーク探索が自動的にブロックされ、
「見えるはずのPCが急に見えなくなった」
といった現象が多数発生しました。対処法としては、
①「設定」→「ネットワークとインターネット」を選択
②「ネットワークとインターネット」の中の「プロパティ」から、接続中のネットワークが「プライベート」になっているか確認
③「パブリック」になっていたら、手動で「プライベート」に変更
大型アップデート後は、共有設定だけでなくネットワークの種類まで初期化されていることがあるため、必ず確認してみてください。
まとめ
24H2ではネットワークセキュリティがさらに強化された影響で、既存の共有設定が通用しないケースが出ています。
とくにIPv6、SMB、ファイアウォール、名前解決(DNS/hosts)まわりでつまずく方が多いです。
「もう全部やった!」という場合も、意外と資格情報マネージャの手動追加やhosts追記で解決するケースもあります。
諦める前に、この記事で紹介した「裏技的な解決法」もぜひ試してみてください。
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