
Windows 11に標準搭載されている「ペイント(Microsoft Paint)」に、悪意のあるプログラムを実行されるおそれがある脆弱性が確認されました。
「ペイントで画像を開くとウイルスに感染するの?」「Windows Updateをしていれば大丈夫?」と心配になった方もいるのではないでしょうか。
今回確認されたのは、CVE-2026-83844という脆弱性です。Microsoftは2026年10月13日に情報を公開し、修正プログラムを案内しています。
ただし、11月5日時点では、Microsoft Storeで修正版が表示されないという報告もあり、注意が必要です。
この記事では、ペイントの脆弱性の内容、画像を開く際の危険性、現在のバージョンを確認する方法、更新できない場合の対処法を初心者向けに解説します。
Windows 11のペイントに見つかった脆弱性とは?
今回の脆弱性は、Windows 11で画像の編集や保存などに使われる「Microsoft Paint」に関するものです。
ペイントは、スクリーンショットに文字を書き込んだり、画像を切り抜いたりするときに便利なアプリです。普段から利用している方も多いでしょう。
今回の問題は、ペイントが処理するデータの一部で、本来読み取るべきではないメモリ領域を参照してしまう「範囲外読み取り(Out-of-bounds Read)」と呼ばれるものです。
この問題を悪用された場合、攻撃者によって不正なコードが実行される可能性があります。
脆弱性の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 脆弱性番号 | CVE-2026-83844 |
| 対象アプリ | Microsoft Paint(ペイント) |
| 公開日 | 2026年10月13日 |
| 深刻度 | Important(重要) |
| CVSSスコア | 8.1/10 |
| 脆弱性の種類 | 範囲外読み取り |
| 想定される影響 | リモートコード実行 |
| 修正方法 | Microsoft Store経由のアプリ更新 |
CVSSスコアは10に近いほど危険性が高いことを示す指標です。
今回の8.1は「高」に分類されます。ただし、Microsoftの深刻度評価は「Critical(緊急)」ではなく「Important(重要)」です。
重大な脆弱性ではありますが、ペイントを使用したすべてのパソコンが危険な状態になっているという意味ではありません。
参考:Microsoft公式セキュリティ情報(CVE-2026-83844)
ペイントで画像を開くだけでウイルスに感染する?
今回のニュースで気になるのが、「画像を開くとウイルスに感染するのでは?」という点です。
Microsoftの脆弱性情報では、攻撃者が細工したネットワーク通信を送信することで、問題が悪用される可能性が説明されています。
つまり、今回の問題は、単純に「画像ファイルを開くと感染する」というものではありません。
そのため、不審な画像を避けるだけで安心せず、ペイント自体の更新状況を確認することが大切です。
実際に攻撃されているの?
2026年11月5日時点で確認できる公開情報では、この脆弱性が実際の攻撃に悪用されているという確かな報告は確認されていません。
また、悪用には技術的な難しさがあると評価されています。
ただし、今後も悪用されないとは限らないため、修正版への更新を確認することが大切です。
【注意】画像を開くだけで感染するとは限りません
今回の脆弱性について、「画像を開くだけで必ず感染する」「すでに大規模な攻撃が発生している」といった情報は確認されていません。
不安をあおる情報に注意し、Microsoftの公式情報を確認してください。
ペイントのバージョンを確認する方法
まずは、自分のパソコンにインストールされているペイントのバージョンを確認しましょう。
方法1:ペイントの設定画面から確認する
- Windows 11の「スタート」を開きます。
- 検索欄に「ペイント」と入力します。
- 検索結果から「ペイント」を起動します。
- 画面右上付近の「設定(歯車アイコン)」を選択します。
- アプリのバージョン情報を確認します。
※ペイントのバージョンによって、設定画面の表示や項目名が異なる場合があります。
方法2:PowerShellで確認する
設定画面でバージョンが分からない場合は、PowerShellでも確認できます。
- スタートボタンを右クリックします。
- 「ターミナル」または「Windows PowerShell」を開きます。
- 次のコマンドを入力してEnterキーを押します。
Get-AppxPackage -Name Microsoft.Paint | Select-Object Name, Version実行すると、インストールされているペイントの名前とバージョンが表示されます。
この操作は確認だけなので、アプリの設定や画像データが変更されることはありません。
修正版のバージョンは?
2026年11月5日時点では、修正版として「11.2609.401.0」が報じられています。
ただし、修正版のバージョン表記やMicrosoft Storeでの配信状況については、情報に食い違いが見られます。
更新後はペイントのバージョンを確認し、Microsoftの公式セキュリティ情報で最新の修正状況を確認してください。
Microsoft Storeでペイントを更新する方法
ペイントの更新は、基本的にMicrosoft Storeから行います。
Windows Updateとは別に更新されるアプリなので、Windows 11を最新の状態にしていても、ペイントが古いままになっている可能性があります。
更新手順
- スタートメニューから「Microsoft Store」を開きます。
- 左側のメニューから「ダウンロード」を選択します。
- 「更新プログラムの確認」をクリックします。
- ペイントの更新が表示された場合は、更新を実行します。
- 更新完了後、ペイントを再起動してバージョンを確認します。
Microsoft Storeの画面構成によっては「ライブラリ」など、異なる名称で表示される場合があります。
また、Microsoft Storeの自動更新を有効にしている場合でも、更新が正常に適用されているか確認しておくと安心です。
ペイントが更新できない場合の対処法
2026年11月5日時点では、Microsoft Storeで更新を確認しても、修正版が表示されないという報告があります。
更新が見つからない場合は、次の方法を試してください。
1.Microsoft Storeを再起動する
Microsoft Storeを一度終了し、再度開いて更新を確認します。
一時的な通信エラーや画面表示の問題であれば、再起動によって改善する場合があります。
2.Microsoft Storeのキャッシュをリセットする
Storeの動作に問題がある場合は、キャッシュをリセットする方法もあります。
- 「Windowsキー+R」を押します。
- 「ファイル名を指定して実行」が表示されます。
- 次のコマンドを入力します。
wsreset.exe- 「OK」をクリックします。
- 処理が完了するまで待ちます。
- Microsoft Storeを開き直して更新を確認します。
この操作はMicrosoft Storeのキャッシュをリセットするもので、通常、インストール済みアプリや個人ファイルを削除するものではありません。
ただし、今回の修正版がStore側で配信されていない場合、この操作だけでは解決しません。
3.Windows Updateも確認する
ペイントの更新とは別に、Windows 11本体のセキュリティ更新も確認しておきましょう。
- 「設定」を開きます。
- 「Windows Update」を選択します。
- 「更新プログラムのチェック」をクリックします。
- 利用可能な更新があれば適用します。
Windows Updateは、Windows本体の脆弱性対策として重要です。
ただし、Windows Updateを実行しただけで、今回のペイントの脆弱性が修正されるとは限りません。
ペイント自体の更新状況も確認してください。
4.更新が表示されない場合は無理にインストールしない
Microsoft Storeで修正版が見つからない場合、インターネット上にある非公式のインストーラーを利用するのは避けてください。
正規の更新プログラムを装った不正なファイルが配布される可能性もあります。
公式のMicrosoft StoreやMicrosoftの案内を利用し、修正版の配信状況を確認しましょう。
更新できるまでペイントを使わない方がいい?
修正版を入手できない場合は、必要に応じてペイントの利用を一時的に控えることも選択肢です。
ただし、今回の脆弱性はネットワーク経由の悪用が想定されているため、ペイントを起動しなければ完全に安全になると保証できるわけではありません。
更新を待つ間は、次のような基本的なセキュリティ対策を続けましょう。
- Windows 11とMicrosoft Storeの更新を確認する
- Microsoft Defenderを有効にしておく
- 不審なファイルやリンクを開かない
- 信頼できないネットワークへの接続を避ける
- 不要なアプリやサービスを整理する
なお、企業や学校などの管理端末では、管理者によってアプリの更新が制御されている場合があります。
その場合は、自分で設定を変更せず、システム管理者に確認してください。
ペイントを一時的にアンインストールする方法
ペイントを使用しておらず、修正版の配信を待つ間にアプリを削除しておきたい場合は、Windowsの設定からアンインストールできます。
- 「設定」を開きます。
- 「アプリ」→「インストールされているアプリ」を選択します。
- 一覧から「ペイント」を探します。
- 右側の「…」をクリックします。
- 「アンインストール」を選択します。
※環境によってはアンインストールできない場合があります。
通常、ペイントをアンインストールしても、すでに保存している画像ファイル自体は削除されません。
ただし、保存していない編集中の画像は失われる可能性があるため、事前に保存しておきましょう。
また、ペイントを削除した場合でも、Windows本体のセキュリティ更新は引き続き必要です。
よくある質問(FAQ)
Q1.Windows 10のペイントにも影響がありますか?
今回の脆弱性はMicrosoft Paintに関するものですが、影響する環境はアプリの種類やバージョンによって異なります。
Windows 10を使用している場合も、Microsoftの公式情報で対象製品を確認してください。
なお、Windows 10 Home/Proの通常サポートは2025年10月14日に終了しています。必要に応じてESUなどの延長セキュリティ更新への対応も確認しましょう。
Q2.ペイントを使ったことがなくても危険ですか?
ペイントがインストールされている場合、脆弱性の影響を受ける可能性があります。
今回の脆弱性は利用者の操作を必要としない条件が評価されているため、使っていないことだけで安全とは判断できません。
Q3.Microsoft Defenderがあれば大丈夫ですか?
Microsoft Defenderは、不正なプログラムや不審な動作を検出するための重要なセキュリティ機能です。
ただし、すべての攻撃を防げるわけではありません。
今回のような脆弱性については、修正プログラムを適用することが基本的な対策になります。
Q4.ペイントの更新が出てこない場合はどうすればいい?
まずMicrosoft Storeで更新を確認し、ペイントのバージョンを調べてください。
更新が表示されない場合は、Storeの再起動やキャッシュのリセットを試します。
それでも修正版が表示されない場合は、非公式サイトから無理に入手せず、Microsoftの案内を待ちましょう。
Q5.ペイントで保存した画像は削除した方がいいですか?
今回の脆弱性を理由に、過去に保存した画像をすべて削除する必要はありません。
通常の画像ファイルが一律に危険になったというわけではないためです。
ただし、出所の分からないファイルは、引き続き慎重に扱いましょう。
まとめ|ペイントの更新状況を確認しておこう
Windows 11の標準アプリ「ペイント」に、リモートコード実行につながる可能性のある脆弱性「CVE-2026-83844」が確認されています。
今回のポイントをまとめます。
- Microsoftが2026年10月13日に脆弱性を公表
- 深刻度は「重要」、CVSSスコアは8.1
- ネットワーク経由で悪用される可能性がある
- 画像を開くだけで必ず感染するという情報ではない
- 11月5日時点で実際の悪用は確認されていない
- Microsoft Storeで修正版が表示されないという報告がある
- Windows Updateとは別にペイントの更新確認が必要
普段何気なく使っているWindowsの標準アプリにも、セキュリティ上の問題が見つかることがあります。
Windows Updateだけでなく、Microsoft Storeから提供されるアプリの更新にも目を向けておくことが大切です。
まずは、ペイントのバージョンを確認するところから始めてみてください。
この記事は2026年11月5日時点の公開情報をもとに作成しています。修正版の配信状況や対象バージョンは変更される可能性があります。
参考情報
- Microsoft Security Response Center:CVE-2026-83844
- Windows Latest:ペイントの脆弱性と更新問題(2026年11月5日)
- Tenable:CVE-2026-83844
