なぜ「Windows 10はWindows 11の対象」と出るのに、アップデートできないの?(Intel Core i5-7300Uの場合)

Windows 10からWindows 11へのアップグレードが表示されない問題を説明する図。左にWindows 10とWindows 11のロゴ、右に『アップデートが利用できない理由』の疑問文とIntel Core i5-7300UのCPU名が記載されている。

「Windows 11 対象PCに含まれています」と出ているのに、いざアップデートを探しても「このPCではまだ利用できません」と出て困っていませんか?

実は私も同じ現象にハマりました。特にIntel Core i5-7300Uあたりの世代で多発しています。この記事では、その理由と、今どうすればいいのかを詳しく解説します。

そもそも i5-7300U は Windows 11 の対象モデルなのか?

実は「ギリギリ対象だけど、完全ではない」

Microsoftの公式要件では

  • CPU要件
    Intel 第8世代以降 → 原則これが対象
  • 例外的にサポートされる第7世代
    例外枠に「Intel Core i7-7820HQ」など一部の第7世代が含まれます。

i5-7300Uは第7世代ですが、例外枠に入っていません。

そのため、Windows Update経由では基本的にアップデートは降りてきません。

では、なぜ「Windows 11に含まれる」と案内が出るの?

これは「互換性チェックアプリ(PC Health Check)」が、以下のように判定を緩めてしまうケースがあります。

  • TPM 2.0あり
  • Secure Bootあり
  • ストレージ・メモリも要件クリア

上記の条件を満たしていると、互換性判定が「適合」と出てしまう場合があります。ただし、MicrosoftはCPU要件だけは非常に厳格に扱っているため、アップデート提供はされません。

結局アップデートはできないの?

通常のWindows Update経由では「できません」。

ですが、以下の方法を使えばインストールは可能です。

① サポート外の手動インストール方法(自己責任)

ステップ1:ISOファイルを使う

  1. Microsoftの公式ダウンロードサイトからWindows 11のISOを入手します。
    → https://www.microsoft.com/software-download/windows11
  2. ダウンロードしたISOファイルをマウントし、setup.exe を実行。

ステップ2:レジストリによるバイパス設定

インストーラが「このPCは要件を満たしていません」と出た場合、以下を事前にレジストリに追加します。

  1. Win + R → regedit でレジストリエディターを起動
  2. 以下のキーを作成
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\Setup\MoSetup
  1. 右側に新規 DWORD(32ビット)値を作成:
  • 名前: AllowUpgradesWithUnsupportedTPMOrCPU
  • 値: 1

これで「要件を満たしていないCPU・TPM」の警告がバイパスされます。

② そもそもなぜMicrosoftはこれをブロックしているのか?

セキュリティと安定性を最重視

  • 第7世代以前は「最新のセキュリティ機能に未対応」のCPUが多い
  • 将来的なドライバ互換・ハードウェア互換の不具合を避ける

つまり、「できるけど、推奨はしない」というのがMicrosoftの立場です。

③ もしアップデートしたいなら知っておくべき注意点

項目内容
保証Microsoftの公式サポート対象外
セキュリティ更新現時点では提供されるが将来的にどうなるかは未保証
互換性今後の大型アップデートで不具合が出る可能性あり
戻したいときクリーンインストールが必要になる場合がある

アップグレードを行う際に最も大切なのは、「今の環境を壊さない準備」です。特に、今回のように正式にサポート対象外のCPUでWindows 11へ移行する場合は、思わぬトラブルが発生する可能性もゼロではありません。インストール中に失敗することもありますし、インストール直後は正常に動作していても、数ヶ月後のWindowsアップデートやドライバ更新時に不具合が出る可能性も考えられます。


また、一部の周辺機器が正常に動作しなくなるケースも報告されています。例えば古めのプリンターやオーディオインターフェース、特殊な業務用ソフトなどは、Windows 11の新しいセキュリティ制限やドライバ仕様に対応できていないことがあります。普段何気なく使っている機器ほど、事前にWindows 11対応状況を確認しておくと安心です。

さらに注意したいのが「セキュリティ更新の長期的な提供可否」です。現状、サポート外のCPUでもWindows 11に手動アップデートすればセキュリティパッチは適用されますが、将来的にMicrosoftの方針が変わる可能性も否定はできません。万が一、突然の更新打ち切りとなれば、脆弱性に対するリスクも高まります。

もし「やっぱり戻したい」と感じた場合、ダウングレードも可能ですが、Windows 11導入から10日以上経過すると通常はクリーンインストールが必要になります。今のWindows 10環境を丸ごとバックアップしておくことで、いつでも元に戻せるよう備えておくと安心です。


このように、サポート対象外のPCでも工夫すればインストールは可能ですが、「成功したらラッキー」「ダメだったら潔く戻す」くらいの気持ちで慎重に進めることが大切です。さらに、アップグレード後の使い勝手にも注意が必要です。

Windows 10で安定して動いていた一部の古いアプリや社内システムが、Windows 11では予期せぬエラーを起こすケースもあります。特に業務用ソフトや古い周辺機器を使用している場合は、アップグレード前に互換性情報を確認しておくと、後から困るリスクを減らせます。無理にアップグレードを急がず、十分な情報収集をしてから慎重に判断しましょう。
もし不安がある場合は、現状のWindows 10を延長サポートで使い続ける、あるいは新しいPCへの買い替えも一つの選択肢となります。

まとめ

  • Intel i5-7300Uは「条件を緩く見ると対象っぽく見える」けれど、公式の完全なサポート対象ではない
  • Windows Update経由では出てこない
  • 手動アップグレードは可能(バイパスが必要)
  • ただし今後の安定性リスクも考慮が必要

補足:Microsoft公式のサポートページにも記載あり

公式の説明でも「全ての機能がサポートされるわけではない」と明記

Microsoftの公式サポートページでも、対象モデルであってもすぐにアップグレードが提供されないケースについて、次のように説明しています。

“Your device might be eligible for Windows 11 but not all features are supported.”
(あなたのデバイスはWindows 11に適合するかもしれませんが、すべての機能がサポートされているわけではありません)

(出典:Microsoft公式サポートページ

※実際、今回該当している Intel Core i5-7300U などは、こうした「微妙な互換ライン上」に該当するモデルとなっています。


私もこのi5-7300Uのユーザーで、この現象にハマっていました。だからこそ気持ちはよくわかります!

もし手動アップグレードを試す場合は、事前のバックアップを忘れずに行ってくださいね!

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