
「Officeソフトは高いから、できれば安く済ませたい…」
そう思ってWPS Officeを検討する方は少なくありません。
WPS OfficeはMicrosoft Office(Word、Excel、PowerPoint)の互換ソフトとして有名で、低価格や無料で使える点が魅力です。
しかし、両者には見逃せない違いがあります。特に、ファイルの互換性や高度な機能を使う場面ではトラブルになることも。この記事では、WPS OfficeとMicrosoft Officeを価格・機能・使い勝手の面から比較し、どんな人にどちらが向いているのかを丁寧に解説します。
基本比較表
項目 | WPS Office | Microsoft Office(Microsoft 365) |
---|---|---|
料金体系 | 買い切り版あり/サブスクは比較的安価 | サブスク中心(永続版は高価で大型アップデート対象外) |
同梱アプリ | Writer・Spreadsheets・Presentation・PDF など | Word・Excel・PowerPoint・Outlook・OneNote など(プランにより異なる) |
ファイル互換性 | .docx/.xlsx/.pptx を読み書き可。高度機能では差異が出ることあり | 純正形式のため互換性は最も高い |
関数・高度機能 | 一部の新関数・動的配列・Power Query 等は非対応/挙動差が出る場合あり | 最新関数・Power Query・Power Pivot などをフルサポート |
マクロ/VBA | 対応は限定的。複雑な業務マクロは動作保証しづらい | VBAを正式サポート(既存資産の互換性が高い) |
共同編集・クラウド | WPS Cloud(無料枠あり)。共同編集は可能だが機能は限定的 | OneDrive 1TB(個人向けプラン)。リアルタイム共同編集が安定 |
動作の軽さ | 軽快。低スペックPCでも動きやすい | 機能豊富な分、環境により重く感じることあり |
サポート・情報量 | 日本語サポートや情報は限定的 | 公式/コミュニティ情報が豊富。日本語サポートも充実 |
アップデート方針 | 買い切りは大型版への更新は原則対象外。サブスクは随時更新 | サブスクで常に最新版(機能追加が継続) |
向いている人 | 個人用途・基本機能で十分・コスト重視 | 学校/職場とのやり取り・高度機能/マクロ・サポート重視 |
注意点 | レイアウト差や関数互換に留意。提出前はOfficeで最終確認推奨 | サブスク費用が継続発生 |
※ 各ソフトの機能はエディション/プランやバージョンによって異なる場合があります。実業務のマクロや高度機能は事前検証をおすすめします。
実際に起きやすいトラブル
WPS OfficeはMicrosoft Officeとの互換性が高いとされますが、以下のような違いがあり、思わぬトラブルにつながることがあります。
• 関数の非互換
Excelの新しい関数(XLOOKUPや動的配列関数など)がWPSでは動かない、もしくは挙動が異なるケースがあります。
• マクロ(VBA)が動かない
WPSはVBAを正式サポートしていないため、企業や学校で使われているマクロ入りExcelファイルを開くとエラーになることがあります。
• レイアウト崩れ
WordファイルをWPSで編集すると、再度Wordで開いた際に改行位置や罫線がズレる場合があります。
• フォント差異
特に日本語文書では、標準搭載フォントの違いによって見た目が変わることがあります。

【裏情報】
大学や企業では「必ずOffice形式で提出」と指示されることが多く、WPSで作ったファイルを提出したところ「レイアウトが崩れている」と指摘された例も実際にあります。
それぞれが向いている人
WPS Officeが向いている人
• 個人利用や家庭内の簡単な文書作成、表計算で十分な人
• コストを抑えてWord/Excel/PowerPoint互換ソフトを使いたい人
• ネットに接続せず、オフラインで軽く作業できればOKな人
Microsoft Officeが向いている人
• 学校や職場でOfficeファイルを扱う必要がある人
• マクロや高度なExcel関数を日常的に使う人
• プレゼン資料をアニメーション込みで仕上げたい人
• クラウドでの共同編集や公式サポートを重視する人
- 高い互換性と安定性
- OneDrive 1TBでバックアップも安心
- 最新機能を継続的に利用可能
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トラブルを避ける選び方のコツ
• 両方を併用する
普段の軽作業はWPS Office、提出や業務用はMicrosoft Officeで最終調整するのが安全です。
• 学生・ビジネスユーザーはMicrosoft 365推奨
サブスクにOneDrive 1TBが含まれているため、意外とコスパは悪くありません。
• 自分の用途を見極める
家計簿や簡単な文書ならWPSで十分ですが、提出物やチームでのやり取りがあるならMicrosoft Officeを選ぶ方が安心です。
【余談】WPS OfficeとMicrosoft Officeの歴史的背景
WPS Officeは、中国のソフトウェア企業「金山軟件(Kingsoft)」が開発している製品で、実は 1988年に初期バージョンが登場 しています。日本で注目され始めたのは2010年代以降ですが、中国国内では非常に長い歴史を持ち、政府や教育機関でも広く使われています。
一方、Microsoft Officeは1990年にWindows版が登場し、Word・Excel・PowerPointを「統合パッケージ」として販売した最初の製品です。以降、グローバルスタンダードとしての地位を築き上げました。
この歴史の違いが、「サポート体制の厚さ」や「国際的なファイル互換性の強さ」に直結しています。
セキュリティ面の違い
- Microsoft Office は定期的に「セキュリティ更新プログラム」が配信され、マクロや外部ファイルを悪用する攻撃への対策が迅速です。
- WPS Office もアップデートを行っていますが、国際的にセキュリティ検証が少ないため「ゼロデイ攻撃」や「マクロ型マルウェア」への耐性は未知数な部分があります。
企業で利用する場合、セキュリティ基準やコンプライアンスで「Microsoft Office必須」とされるケースが多いのは、この背景も関係しています。
教育現場での実態
日本の大学や専門学校では、レポートや論文の提出形式が .docx や .xlsx に指定されることが多く、Microsoft Officeを使うことが前提になっている場合があります。
WPS Officeでも形式は開けますが、教授や採点担当者の環境でレイアウト崩れが起きると減点や再提出になることも。結果的に「学生はMicrosoft 365の学割プランを使う」流れが多いのです。
ビジネスの現場での評価
ビジネス利用では、次のような声がよく聞かれます。
- WPSは「動作が軽く、古いPCで助かる」という利点がある。
- ただし「取引先にファイルを送るときに不安」「共同編集が不安定」という声も多い。
- 企業では「互換性の問題によるトラブル対応コスト」を嫌い、最終的にMicrosoft Officeを全社導入するケースが一般的。
WPS Officeの便利機能
実はWPSには、Microsoft Officeにはないユニークな機能も存在します。
- タブ表示機能:複数の文書をタブで切り替えて開ける(WordやExcelだと別ウィンドウになる)。
- PDF編集機能:標準でPDFを開き、編集や変換が可能。
- テンプレートの豊富さ:無料で利用できるデザインテンプレートが多い。
こうした特徴は「個人利用」「ライトユーザー」にはとても魅力的で、Microsoft Officeとの差別化ポイントになります。
コスト試算の具体例
例えば、学生や個人利用者が「4年間」利用する場合を想定してみます。
- Microsoft 365 Personal(年額約12,800円)×4年
→ 約5万円。OneDrive 1TBつき。常に最新版。 - WPS Office買い切り版(約8,000円〜1万円)
→ 一度の購入で4年間使える。ただし最新機能は使えない。
このように計算すると、短期的にはWPSがお得、長期的にはOneDriveやサポート込みでMicrosoftが安心 という結論になります。
実用的な選び方フロー
読者に「自分はどちらを選ぶべきか?」を判断してもらうフローチャート的な提案も有効です。
- 学校や職場でOfficeファイルを扱う? → YES → Microsoft Office
- マクロや高度関数を使う? → YES → Microsoft Office
- 個人利用で文書作成や家計簿程度? → YES → WPS Officeでも十分
- ファイル提出や共同作業の予定がある? → YES → Microsoft Office推奨
Officeの互換性やトラブル回避について、さらに詳しく学びたい方へ。
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まとめ
WPS Office はコストを抑えたい個人ユーザーに適しており、Word/Excel互換ソフトとして気軽に使えるのが魅力です。Microsoft Office は互換性・信頼性・サポート面で優れており、特に学校や仕事での利用には欠かせません。
「どちらか一方を選ぶ」のではなく、利用シーンに合わせて使い分けることが一番の解決策かもしれませんね。
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