「おーい、息子さん見つけたぞー」
と、外から大きな声が聞こえてきました。
すると、ずぶ濡れ泥だらけの青年が、お坊さんに抱えられて戻ってきたのです。
「どこに居たんや!みんなに心配かけて!」
と父親は真っ赤な顔をして怒鳴りました。
「いや、家に帰ったと思ってた・・・」
と、Aさんは青ざめて言うのです。
Aさんを連れて帰ってきたお坊さんは
「まぁ、先にお風呂に入って体を温めたほうがいい」
と、ご両親をなだめ、奥さんは急いでAさんをお風呂場へと連れて行きました。
Aさんの身に何が起きたのか・・・
お坊さん曰く
「昔にも、若い青年が台風の夜に戻らない事があって、それを思い出してその青年が見つかった場所に行ってみると、Aさんが居たんです」
「その場所とは?」
「祠です。うちのお寺の裏の祠」
みんな、唖然としてしまいました。
「まさか狸に化かされた?」
お坊さんは慌てて「それは分かりません」
「でも大きな葉っぱを布団のようにかけて寝ていましたよ」
しばらくして、お風呂から出てきたAさんの話では
大雨の中帰宅し、駐車場に車を停めた途端、突然雨が止み「ラッキー!」と思いながら
車を降り、家に入ると、誰も居ない。
「あぁ、母家に行ったのかな」と思っているうちに眠くなり
そのまま寝てしまった・・
そして朝、自分を呼ぶ声がして目を開けると
ずぶ濡れのまま外で寝ている自分に驚いてしまった。
との事でした。
その後、病院に行き検査を受けましたが異常もなく
普段通りの生活を始めたそうです。
なぜ、台風の雨の中
こんな事が起こったのかは未だに分かりません。
しかし、こんな事がよくある地域も日本にはあるのです。。