私の生れは「たぬきがポンポコ化ける」と言う噂の絶えない地域で、色々な話を幼い頃から聞いていました。
今日は、そんなよもやま話を語っていきたいと思います。
私の地元で、少々山に入った地域に住むAさんのお話です。
とても真面目なAさんは、両親の期待通りに地元の会社に就職し、家の離れに家を建て
長くお付き合いしていた女性と結婚しました。
ご両親は、大きな畑を有する地主さんでしたので、休日はAさん夫婦も揃って畑仕事もしていたようです。
そんなある秋の日。
台風が接近していたため「今日は早く帰る」とAさんから連絡を受けた奥さんは
お風呂を沸かし
ご飯の用意をして待っていました。
次第に雨が強くなり始め
「早く帰ってこないかなぁ」
と窓の外を見ていたものの、Aさんは全く帰ってくる気配がありません。
時間だけが刻々と過ぎ
「いくらなんでも遅すぎる」
と、携帯に電話するものの全く繋がらず、奥さんは母家に行きその事を伝えました。
「会社に電話してみよう」
と父親が言い、会社に電話したものの留守番電話。
奥さんは、Aさんの同僚のお宅に電話してみたところ
「一緒に会社を出た」
と言うではありませんか。
ご両親は
「事故に遭ったのかもしれない」
と警察に電話をし始めました。