はじめてでも安心:BIOS(UEFI)更新の基礎知識と安全な手順【2025年版】

青い背景に白い文字で『BIOS UPDATE』と書かれたイラスト。右側にモニターのアイコンと、BIOSチップのシンボルと上向きの矢印が描かれており、BIOS更新を表現している。

「新しいCPUやメモリに換装したら“BIOSを更新してください”と言われた」

「Windowsの大型アップデート後から不安定…

── そんなときに検討するのがBIOS更新です。
現在は厳密にはUEFIファームウェアが主流ですが、一般には「BIOS」と呼ばれ続けています。

本記事では「BIOS=UEFI」として説明し、初心者の方でも安全・確実に実施できるよう、更新するべきかの判断軸から具体的な手順・注意点・復旧方法までを丁寧に解説します。


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BIOS(UEFI)とは?かんたん解説

BIOS/UEFIは、電源投入直後に最初に動くファームウェアです。

  • ハードウェア初期化:CPU・メモリ・ストレージ・USB・GPUなどを起動可能な状態に整えます。
  • ブートの橋渡し:OS(Windowsなど)に制御を渡します。
  • 設定の保管:起動順序、Secure Boot、XMP(メモリ高性能設定)などの各種設定を保持します。

近年はUEFIが標準です。画面がグラフィカルでマウス操作可能、2TB超のディスクに対応、Secure Bootなどのセキュリティ機能も利用できます。


更新は本当に必要?判断のチェックリスト

常に最新=正解とは限りません。以下に更新を強く勧めるケースと、様子見してよいケースを整理します。

更新を強く勧めるケース

  • 新CPU/新メモリに換装:対応AGESA(AMD)やマイクロコード(Intel)が必要。POSTが通らない/不安定などの症状が出やすい。
  • セキュリティ修正:Intel Management Engine(ME)やUEFI脆弱性への対応がリリースされている。
  • 起動不能・不安定:特定USB機器を認識しない、スリープ復帰で固まる、メモリエラーが頻発する等で、リリースノートに改善項目がある。
  • ベンダーが明確に推奨:メーカーが特定不具合の解消を案内している。

すぐに更新しなくてもよいケース

  • 安定運用できており、リリースノートに該当改善がない。
  • ベータ版/実験的版(Beta/RC)のみ提供で、業務PCなど安定性最優先の場合。

基本方針:まずはドライバーとWindowsを最新化。それでも解決しない/ハード換装が絡むならBIOS更新を検討、が安全です。


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事前準備:成功率を最大化するポイント

更新前のひと手間が、失敗リスクを大きく減らします。

  1. 現在のBIOSバージョンを確認
    • Win+R → msinfo32 → 「BIOS バージョン/日付」。
    • もしくは PowerShell: Get-CimInstance Win32_BIOS | Select-Object SMBIOSBIOSVersion, ReleaseDate
  2. 正しいファイルを公式から入手
    • メーカー公式サイト(ASUS/GIGABYTE/MSI/ASRock、Dell/HP/Lenovo など)で型番一致を必ず確認。
    • リリースノートで修正内容と適用可否を確認。
  3. 電源の安定確保
    • ノートPC:ACアダプター接続&充電十分。
    • デスクトップ:可能ならUPS(無停電電源)利用。
  4. BitLocker の一時停止(推奨)
    • 設定 → プライバシーとセキュリティ → デバイスの暗号化/BitLocker で一時停止。更新後に再開。
    • 停止しない場合、再起動時に回復キーが必要になることがあります。
  5. OC/XMPを一時OFF
    • 既にOC(CPU/GPU)やXMP有効なら**既定値(Auto)**へ戻す。更新後に再設定。
  6. 周辺機器を最小構成に
    • 不要なUSB機器・ストレージは外す。
  7. バックアップ
    • 重要データは外部ストレージへ。
    • UEFI設定はプロファイル保存/スクショしておくと復元が早い。

実際の更新手順(代表例)

ノートPC(メーカー提供ユーティリティ推奨)

  • Dell/HP/Lenovo等の純正アプリやWindows用実行ファイル(.exe)で実施する方式が最も安全です。
  • 画面指示に従い再起動すると、内蔵のフラッシャーが自動で更新します。

自作/マザーボード(USBメモリ経由の代表例)

  1. USBメモリ準備:FAT32でフォーマット。
  2. BIOSファイルを保存:メーカーが指定するリネームが必要な機種もあり(例:ASUSのCAP名、GIGABYTEの特定名など)。
  3. UEFIセットアップへ:起動時にDelete(またはF2)→ ベンダーのフラッシュツール(ASUS:EZ Flash、MSI:M-Flash、GIGABYTE:Q-Flash、ASRock:Instant Flash)を起動。
  4. USBメモリを選択して実行
    • 背面I/OのUSB 2.0ポート推奨(相性が最も少ない)。
    • 進行中は絶対に操作/電源断しない
  5. 自動再起動→初回POST:初回は再起動を数回繰り返すことがあります。慌てず待機。

ベンダーによっては「USB BIOS Flashback」ボタンを搭載。CPU/メモリが無くても特定ポートに挿したUSBだけで復旧/更新できる強力な保険です(対応機種限定)。


更新後に必ずやること(安定化のコツ)

  1. “最適化既定値(Load Optimized Defaults)”の読込み → 保存&再起動。
  2. 必要な設定のみ戻す
    • ブート順序、Secure Boot、TPM、SATA/NVMeモード、VT-x/AMD-V、IOMMU 等。
    • メモリは様子を見てXMP再有効化。不安定なら一段低いプロファイルに。
  3. 日常動作の確認
    • スリープ/復帰、USB周辺機器の認識、LAN/Wi-Fi、Bluetooth、外部GPU出力など。
  4. BitLocker再開、Windowsの時刻/地域が正しいか確認。
  5. 必要ならME/チップセット/EC更新
    • BIOSとセットで公開される場合あり。ドライバー更新も併せて行うと安定します。

もしもの時のリカバリー

  • デュアルBIOS:上位機種に多く、メインが壊れてもバックアップ側から自動復旧。
  • USB BIOS Flashback / CrashFree等:ボタン操作+特定USBで書き戻し(機種限定)。
  • CMOSクリア:設定初期化で起動不能を解消する最終手段(ジャンパ/電池抜き)。
  • 旧版へロールバック:メーカーが旧版を提供していればダウングレード可能な場合も。手順はベンダー案内に従ってください。

それでも起動しない場合は、無理に通電を繰り返さず、メーカー/販売店サポートに相談を。書き換え途中の電源断は修理対応になることがあります。


よくある質問(FAQ)

Q. Windowsからの「自動更新」(アプリ/EXE経由)は危険ですか?
A. メーカー公式ユーティリティ経由なら安全性は高いです。ノートPCはこの方式が推奨のことが多いです。自作/デスクトップはUSB経由が定番ですが、どちらも公式手順に厳密に従うことが大切です。

Q. 何度も更新して大丈夫?
A. フラッシュROMには書き換え耐性がありますが、日常使用で尽きることは稀です。とはいえ必要な時だけ更新が基本。ベータ版は避け、安定版を選びましょう。

Q. 更新後にWindowsが起動しなくなりました。
A. まず既定値読込み→最小構成で起動。ストレージのブート順序やCSM/UEFI設定のズレが原因のことも。BitLocker回復キー要求が出たら、事前に控えたキーで解除してください。

Q. Windows大型アップデート後に不安定。BIOS更新で直りますか?
A. まずはドライバとWindows更新で改善するか確認。それでもダメなら、リリースノートに該当改善があるBIOSを検討します。


失敗しないための“小技”まとめ

  • 背面I/OのUSB2.0を使い、ハブは避ける
  • 周辺機器は最小限(キーボード/マウス/システムディスクのみ)。
  • 更新中はファン音やインジケータLEDで通電状態を確認しつつ操作しない
  • メモリ増設後の不安定はXMPを一段落として様子見
  • 仕事用PCは長期休憩時間に実施。直後に重要作業を入れない。

[スポンサーリンク] BIOS更新を安全に行うために

更新前に準備しておくと安心なアイテム

「バックアップ」「更新用USB」「安定した電源」の3点を揃えるだけで失敗リスクは大幅に下がります。


まとめ:怖がりすぎず、でも慎重に

BIOS(UEFI)更新は、新ハード対応・安定化・セキュリティ改善に直結する有効なメンテナンスです。

  • 更新が必要かをリリースノートで判断し、
  • **事前準備(電源・BitLocker・バックアップ・最小構成)**を整え、
  • 公式手順どおりに実施すれば、初心者の方でも十分に安全に行えます。
    更新後は既定値読込み→必要項目だけ再設定で、長期にわたって安定したPC環境を手に入れましょう。

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