
パソコンの不具合や最新CPU・メモリへの対応で「BIOSを更新してください」と言われた経験はありませんか?
でも、多くの人が「BIOSって何?」「失敗したら壊れるって聞いたけど…」と不安になるはずです。
この記事では、BIOSの基本から、初心者でも安全にアップデートできる方法と注意点まで、やさしく詳しく解説します。
BIOSとは何? わかりやすく解説
BIOS(Basic Input/Output System)とは、パソコンを起動するたびに一番最初に動く重要なプログラムです。
簡単にいうと
- 電源を入れた直後に起動する「裏方」
- CPUやメモリ、SSD、グラフィックボードなどのハードウェアが正しく動くように準備をする
- OS(Windowsなど)が起動できるように橋渡しをする
最近では、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)という新しい形式が主流ですが、多くの場合「BIOS」と呼ばれ続けています。
なぜBIOS更新が必要なの?
BIOSは常に最新の状態である必要はありません。しかし、以下のような理由で更新が推奨される場合があります。
状況 | 例 | 更新すべきか? |
---|---|---|
新しいCPU・メモリに交換する | 新世代のRyzenやIntelに交換 | ✅ ほぼ必須 |
Windowsの大型アップデート | 互換性バグが出た(例:2025年6月問題) | ✅ 有効な場合あり |
起動不良・安定性問題 | 電源投入後に固まる、ブルースクリーン発生 | ✅ 改善例多数 |
セキュリティ修正 | Intel ME修正・脆弱性対応 | ✅ 推奨 |
IOS更新で得られる「隠れたメリット」
BIOS更新というと「トラブル解決の最終手段」というイメージを持たれがちですが、実は予防的なメリットも多くあります。
長期的な安定性が向上する
メーカーはBIOS更新で細かな安定性の改善も行っています。たとえば:
- メモリとの互換性向上(高クロックメモリの安定動作)
- 起動時間の短縮(POST処理の最適化)
- 特定のUSBデバイスが正常認識されない不具合の修正
- グラフィックカードの互換性改善
特に自作PCの場合は、こうした細かな不安定要素が残っていることが多く、BIOS更新で長年使っていく安心感が高まるのです。
BIOS更新は失敗すると壊れるって本当?
👉 半分正しいが、心配しすぎる必要はありません。
昔は「BIOS更新=高リスク」でしたが、今は安全性が格段に向上しています。
- 多くのマザーボードが「二重BIOS(Dual BIOS)」搭載 → 失敗時でも復旧可能
- 電源障害に備えて「自動バックアップ」機能も増えている
ただし、途中で電源が落ちる・中断することは今でも厳禁です。
BIOS更新の前に確認すべきこと
メーカー公式の最新版か確認
- ASUS、GIGABYTE、MSI、ASRockなどの公式サイトから最新版を入手
- 適合するマザーボード型番を絶対に間違えない
変更履歴(リリースノート)を読む
- どんな不具合が改善されるのか確認
- 重要度が高いなら更新を検討
電源は安定しているか確認
- ノートPCならACアダプター必須・充電十分
- デスクトップPCなら無停電電源装置(UPS)があると理想的
念のためのバックアップ
- Windowsの重要データを外部ストレージにバックアップ
実際の更新手順【例:USBメモリ使用】
①USBメモリ準備
- 空のUSBメモリを用意(FAT32フォーマット)
- ダウンロードしたBIOSファイルを入れる
②BIOSセットアップに入る
- 電源投入 → Deleteキー(またはF2など)でBIOS画面へ
③専用ツールで更新
- 各社のEZ Flash(ASUS)/Q-Flash(GIGABYTE)/M-Flash(MSI)などを使用
- USBメモリ内のBIOSファイルを選択して実行
④更新が完了するまで絶対に操作しない
- 数分〜10分ほど画面が固まったように見えても待つ
「もしもの時」のリカバリー方法も知っておこう
万が一、BIOS更新に失敗した場合でも、最近のマザーボードは復旧手段が整ってきています。ここでは代表的なリカバリー方法を紹介します。
デュアルBIOS機能
多くの中〜上位モデルには「デュアルBIOS」機能があります。これは:
- メインBIOSが壊れても
- バックアップ用のBIOSが自動的に起動
- 正常な状態に戻せる
このため、BIOS更新のリスクは過去より大幅に下がっています。
BIOSフラッシュバック(USBから復旧)
最近は「BIOS Flashback」ボタンを搭載した機種も増えています。これを使えば:
- CPUやメモリを取り外していても
- USBメモリだけでBIOSを書き戻せる
- 非常に高い復旧力がある
初心者の方でも、この機能のあるマザーボードなら失敗を恐れすぎずに作業できます。
BIOS設定のバックアップを取る方法
BIOS更新をすると、設定が初期化される場合があります。特にオーバークロック設定や起動順序のカスタマイズを行っている場合は注意が必要です。
BIOS設定の保存機能
最近のBIOSには「プロファイル保存機能」や「設定のエクスポート機能」が搭載されています。これを使えば、
- 更新前に設定を保存
- 更新後にすぐ復元
たとえばASUSの「Save Profile」、GIGABYTEの「Save/Load Profile」などがそれにあたります。
BIOS更新後は必ず「設定見直し」をしよう
更新後は一度BIOS設定を確認しましょう。
【よくある初期化ポイント】
- セキュアブートの有効化/無効化状態
- 起動順序(ブートデバイス順)
- メモリのXMP設定
- オーバークロック設定
意図しない初期化が行われていると、Windowsが起動しない・以前と動作が違うといった混乱につながります。更新後の再確認は非常に重要です。
BIOS更新が特に重要になるタイミング
特に次のような場合は、BIOS更新を積極的に検討しましょう。
- 新しいグラフィックボードに交換した時
古いBIOSでは認識できない新GPUもあります。 - 最新Windows大型アップデート後に不具合が出た時
2025年6月のKB5060533・KB5063060の事例がまさにこれです。 - ストレージやUSB周辺機器の接続不良が出た時
USBコントローラの改善もBIOSで行われます。
裏技・安全性アップの小技
裏技 | 内容 | 効果 |
---|---|---|
BIOS更新用USBを「別のUSB端子」に刺す | マザーボード直結ポート推奨 | 安定性向上 |
PC内の周辺機器を最小限に | USB周辺機器を外しておく | 読み込みエラー防止 |
ファンの動作音を確認 | 電源が落ちていないか確認できる | 作業中の安心感 |
こうした小さな工夫を加えるだけでも、BIOS更新中のリスクをさらに減らすことができます。特に初心者の方にとっては「これで大丈夫かな…」という不安があるかもしれませんが、事前の準備と、途中で慌てない冷静さが何よりの安全策です。もし可能であれば、作業中は他の人が触らないように注意し、落ち着いた環境で実行することもおすすめです。
【よくある質問】
Q1:Windows経由の「BIOS自動更新」でも大丈夫?
メーカーが提供する専用ユーティリティなら比較的安全ですが、できればUSBメモリからの更新が最も安定です。
Q2:何回も更新しても問題ない?
BIOS更新は必要な時だけに限定すべきです。何度も頻繁に書き換えると書き込み回数制限に影響します。
また、最近のマザーボードは「リカバリ用BIOS」「バックアップBIOS」が搭載されていることが多く、失敗しても復旧可能なケースが増えています。
まとめ
BIOSは、パソコンの電源を入れた瞬間から動き始める、とても重要なプログラムです。普段は意識することは少ないかもしれませんが、最新のCPUやメモリを使う時、新しいWindowsアップデートで不具合が出た時、あるいは起動トラブルが頻発する時など、BIOSの更新が有効な場面は意外と多くあります。
最近のマザーボードは、更新時の安全機能が非常に充実しており、以前ほど「失敗したら壊れる」と恐れる必要はありません。ただし、基本の手順や注意点を守ることは今でも大切です。USBメモリを使った更新方法は特に安定しており、初心者の方でも比較的安全に作業できます。
更新前には、マザーボード型番の確認、公式サイトからの最新ファームウェアの入手、安定した電源確保、念のためのバックアップなど、ひとつひとつ慎重に準備を整えましょう。さらに、更新後はBIOS設定の初期化に注意し、必要に応じて設定を復元することも大切です。
正しくBIOSを更新することで、長期的な安定性の向上、不具合の解消、新パーツへの対応など、多くのメリットが得られます。怖がらず、でも慎重に進めていきましょう。
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