CrystalDiskInfoでHDD/SSDの「今の健康状態」をやさしくチェックする方法

—— 異常・注意が出たときの正しい対処まで、はじめての人向けの丁寧解説版

CrystalDiskInfoでHDD/SSDの健康状態をチェックするイメージ。ノートPCの画面に温度やインジケーターが表示された、やさしい診断の雰囲気のアイキャッチ。

はじめに

パソコンが急に遅くなったり、ときどきフリーズしたり、起動に時間がかかるようになると、「ストレージが壊れかけているのでは?」と不安になります。そんなときに役立つのが、無料の診断ツール CrystalDiskInfo(クリスタルディスクインフォ)です。
このソフトはHDDやSSDの中に記録されているSMART情報を読み取り、「健康状態」「温度」「通電時間」「不良セクタの兆候」などをわかりやすく表示します。難しい専門用語を覚えなくても、色分け(青=正常/黄=注意/赤=異常)で直感的に判断できるのが特長です。

なぜ今、CrystalDiskInfoなのか

Windowsの不具合や更新後のトラブルが話題になるタイミングでは、ディスク側の劣化や温度上昇が「見えない原因」になっていることが少なくありません。問題の切り分けとして、まず健康状態を可視化するのは非常に有効です。結果が「正常」ならソフトウェア側を重点的に見直せますし、「注意/異常」ならデータ保護と交換準備をすぐに進められます。

安全性と入手先(ポータブル版がおすすめ)

CrystalDiskInfoは日本の開発者コミュニティで長くメンテナンスされている定番ツールです。基本は安全に使えますが、公式サイトからダウンロードすることを強くおすすめします。
特にインストーラー版は“広告付き”の配布形態が混在することがあるため、解凍してそのまま使えるポータブル版を選ぶと安心です。USBメモリに入れて持ち歩いても便利です。

使い方:最初の起動から健康状態の確認まで

  1. 公式サイトでポータブル版をダウンロードし、任意のフォルダーに展開します。
  2. DiskInfo64.exe など、環境に合う実行ファイルを起動します。
  3. 自動で接続中のHDD/SSDが読み込まれ、モデル名・容量・温度・健康状態が画面上部に表示されます。
  4. 画面下部に並ぶ表がSMART情報です。数値の意味は細かいですが、初心者の方はまず「色」と「温度」「代替処理セクタ(=不良セクタ関連)」に注目すれば十分です。

画面の見方:ここだけ押さえればOK

  • 健康状態(色表示)
    • 青(正常):とりあえず心配なし。温度や使用時間は定期的に確認しましょう。
    • 黄(注意):エラーの兆候あり。すぐにバックアップし、交換準備を考えます。
    • 赤(異常):故障リスクが高い可能性。データ退避を最優先し、使用継続は避けます。
  • 温度:50〜60℃台が続くようなら要注意。通気性の改善や冷却が必要です(ノートPCなら底面の埃清掃や、吸気口の確保も有効)。
  • 代替処理済み/保留中セクタ:数値が増えている場合は、不良セクタの発生・予備領域への置き換えが進行しているサイン。短期間で増加するなら交換の判断材料になります。
  • 通電時間/使用時間:年単位で使い続けたSSD/HDDでは、見た目が正常でも予防交換を検討して良い時期です。

「注意/異常」が出たときに“最初にやること”

  1. 今すぐバックアップ:写真や仕事のデータなど、失うと困るファイルから退避します。外付けHDD/SSD、あるいはクラウド(OneDrive/Google Driveなど)を使い、二重に保存できるとベストです。
  2. 作業は最小限に:クローンや大容量コピーは負担が大きく、状態を悪化させる恐れがあります。まずは重要データ→次にその他、の順で優先度をつけて退避します。
  3. 交換準備:2.5インチSSDやNVMe SSDを用意し、後日ゆっくり環境を移行するか、クリーンインストールで気持ちよく使い直すかを決めましょう。

交換・移行の考え方(迷ったらここから)

  • 最短で復旧したい:現行環境を丸ごと移したい場合は「クローン」が便利です。専用ソフトを使って新しいSSDにコピーし、旧ディスクと差し替えます。
  • 安定性重視/整理したい:Windowsをクリーンインストールし、必要なアプリだけ入れ直すと、古い不具合や不要ソフトがリセットされます。
  • 保存場所を分ける:OSとデータを別ドライブにすると、将来のトラブル時に復旧がぐっと楽になります。

💡 迷ったらコレ

定番の内蔵SSD(換装用)

省電力・高速で体感が大きく変わります。写真や動画編集をしない一般利用でも、HDDからの乗り換えで起動・アプリの立ち上がりが劇的に改善します。クローンでそのまま移行/クリーンインストールのどちらでもOKです。

👉 おすすめSSDをチェックする

温度が高いと表示されたら

ノートPCでは埃や吸気不足、デスクトップではケース内のエアフロー不足が原因になりがちです。

  • 机に直置きせず通気を確保する(スタンドや簡易クーラーを使う)。
  • 吸気口やファン周りの埃を清掃する。
  • デスクトップは吸気ファン→排気ファンの流れを作り、ケーブル類で風を塞がないように配線を整える。
    それでも温度が下がらない場合、ケース内の配置見直しサーマルパッドの劣化も疑います。

よくある誤解と注意

  • CrystalDiskInfoで“正常”でも絶対安全ではない:突然のコントローラー故障など、SMARTに出ない系統のトラブルはゼロではありません。バックアップの習慣が最重要です。
  • 表示項目はメーカー差がある:同じSMART名でも閾値やカウント方法が異なることがあります。傾向を見る道具として使い、単一の数値を絶対視しないのがコツです。
  • NVMeでも確認できるが、温度はシビア:高速SSDは負荷時に一気に温度が上がります。サーマルスロットリング(温度で自動的に速度低下)を避けるため、ヒートシンクの有無や設置場所に気を配りましょう。

それでも原因が特定できないとき

健康状態が正常で、温度も問題ないのに動作が重い場合は、別原因の可能性が高いです。

  • メモリ不足:常にメモリ使用率が高いと、ディスクアクセスが増えて遅く感じます。
  • スタートアップの肥大化:不要な常駐を見直します。
  • Windowsの破損DISMSFCで整合性をチェックして改善することがあります。
  • ドライバーやBIOSの不整合:ストレージ関連(チップセット/RST/NVMeドライバー)やBIOS更新で安定するケースもあります。

まとめ

CrystalDiskInfoは、はじめてでも迷わずに“今の状態”を把握できる心強いツールです。結果が青なら安心して別の切り分けへ、黄や赤ならデータ保護→交換準備へ、迷いなく進められます。トラブルは「気づくのが早いほど被害が小さい」分野です。今日このあと、5分だけ時間をつくって、あなたのPCの健康診断を済ませておきましょう。

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