イベントビューアーの使い方とよくあるエラーの見方
パソコンが突然フリーズしたり、勝手に再起動したりする原因がわからず困っていませんか? そんな時、Windowsが記録しているシステムやアプリケーションの動作ログを確認できる「イベントビューアー」が強力な味方になります。
この記事では、イベントビューアーの基本的な使い方から、よく表示される重要な「イベントID」の意味、そして初心者の方でも試せる基本的な対処法まで、丁寧に解説していきます。
イベントビューアーとは?

イベントビューアーは、Windowsが日々の動作の中で記録している様々な情報、例えば「エラーログ」、注意を促す「警告」、そして正常な動作を示す「情報」などを、発生した時間順に確認できるシステムツールです。まるでパソコンの活動日記のように、何がいつ起こったのかを把握するのに役立ちます。
イベントビューアーの起動方法
- スタートメニューから検索:画面左下にあるスタートボタンをクリックし、表示されたメニューで「イベントビューアー」と入力して検索します。検索結果に表示された「イベントビューアー」をクリックすると起動します。
- 「ファイル名を指定して実行」から起動:キーボードの
Windowsキー
を押しながらR
キーを押すと、「ファイル名を指定して実行」という小さなウィンドウが開きます。そこにeventvwr.msc
と入力し、「OK」をクリックするとイベントビューアーが起動します。 - コマンドプロンプトから起動:コマンドプロンプトを起動し(スタートメニューで「cmd」と検索)、
eventvwr.msc
と入力してEnterキーを押すと起動します。
主に確認するログ
- Windowsログ → システム:OSやドライバの問題が記録されます
- Windowsログ → アプリケーション:アプリが原因のエラーはこちらに
よくあるイベントIDと対処法
ID:10016(DistributedCOM)- アプリケーションのアクセス許可の問題
このエラーは、特定のアプリケーションが、別のコンポーネント(DCOMサーバー)にアクセスしようとした際に、必要な権限がない場合に発生することがあります。頻繁に発生せず、特に問題を感じていない場合は、一旦様子を見ても良いかもしれません。
- 考えられる原因
- 特定のアプリケーションの構成ミス
- Windowsのセキュリティ設定によるアクセス制限
- ドライバやソフトウェアの競合
- 初心者向けの対処法
- PCを再起動する:一時的な権限の問題であれば、再起動で解消することがあります。
- 問題が発生している特定のアプリを再起動する:もし特定アプリ使用中にエラーが発生する場合、そのアプリを再起動してみましょう。
- Windows Updateを実行する:最新の更新プログラムを適用することで、既知の問題が修正されることがあります。
- 上級者向けの調査(注意:慎重に行ってください
- コンポーネントサービス(dcomcnfg)の確認:「スタート」メニューで「コンポーネントサービス」を検索して起動し、「コンピューター」→「マイ コンピューター」→「DCOM構成」と進み、エラーに記録されているアプリケーション(CLSIDまたはAppID)を探して、セキュリティ設定を確認します。ただし、誤った変更はシステムに悪影響を与える可能性があるため、十分な知識がない場合は行わないでください。
ID:41(Kernel-Power)- 予期しないシステムのシャットダウン
このエラーは、前回のシステムのシャットダウンが正常に完了しなかったことを示します。突然の電源断、システムクラッシュ、ブルースクリーンなどが原因で発生します。頻繁に発生する場合は、ハードウェアの故障や電力供給の問題が考えられます。
- 考えられる原因
- 電源ユニットの不安定または故障
- PC内部の熱暴走(冷却ファンの故障、エアフローの悪化)
- ハードウェアの故障(マザーボード、メモリなど)
- ドライバの不具合
- BIOSの設定問題
- 初心者向けの対処法
- PCを再起動する:まずは再起動して様子を見ましょう。
- 電源ケーブルの接続を確認する:コンセントとPC本体の電源ケーブルがしっかりと接続されているか確認してください。
- 周辺機器を外して起動する:USB機器などをすべて取り外し、最小構成で起動してみます。
- BIOS/UEFIのデフォルト設定を試す:通常、起動直後に特定キー(Delキー、F2キーなど、メーカーによって異なります)を押すことでBIOS/UEFIの設定画面に入れます。
- 上級者向けの調査
- 電源ユニットのテスト:可能であれば、別の正常な電源ユニットに交換してテストします。
- メモリテスト(Memtest86+など):メモリの故障が原因でないか確認します。
- ハードウェア診断ツールの実行:マザーボードや他のハードウェアに付属している診断ツールを実行してみます。
ID:7000〜7026 – サービス制御マネージャーのエラー
これらのイベントIDは、Windowsのサービス(バックグラウンドで動作するプログラム)の起動や動作に失敗した場合に記録されます。原因は、サービスに必要なファイルがない、依存する別のサービスが起動していない、権限の問題などが考えられます。
- 考えられる原因
- サービスに必要なファイルの破損または削除
- 依存関係にある他のサービスが起動に失敗している
- サービスを実行するアカウントの権限不足
- ソフトウェアのインストールまたはアンインストール時の問題
- 初心者向けの対処法
- PCを再起動する:一時的なサービス起動の失敗であれば、再起動で回復することがあります。
- Windows Updateを実行する:システムの重要なサービスに関する修正が含まれている可能性があります。
- システムの復元を実行する:問題発生前の復元ポイントがあれば、システムを以前の状態に戻してみます。
- 上級者向けの調査
- サービスマネージャー(services.msc)の確認:「スタート」メニューで「サービス」を検索して起動し、エラーに記録されているサービスの状態(実行中、停止、開始待ちなど)やプロパティ(依存関係、ログオンなど)を確認します。
- イベントIDの詳細ログの確認:ダブルクリックして表示される詳細情報から、より具体的なエラー内容や関連するファイルなどを確認します。
ID:1001(Windows Error Reporting)- アプリケーションのクラッシュ
このエラーは、アプリケーションが予期せず終了(クラッシュ)した際に記録されます。特定のアプリで頻繁に発生する場合は、そのアプリ自体に問題があるか、システムとの互換性がない可能性があります。
- 考えられる原因
- アプリケーションのバグ
- システムリソースの不足(メモリ、CPUなど)
- グラフィックドライバの不具合
- アプリケーションとOSまたは他のソフトウェアとの非互換性
- アプリケーションのファイル破損
- 初心者向けの対処法
- 問題のアプリを再起動する:まずはアプリを再起動してみましょう。
- アプリを最新バージョンにアップデートする:開発元がバグを修正している可能性があります。
- PCを再起動する:システムの状態をリフレッシュします。
- 他のアプリを閉じる:メモリ不足が原因の場合、他の起動中のアプリを閉じてみてください。
- 上級者向けの調査
- アプリの再インストール:アプリのファイルが破損している可能性があるため、再インストールを試します。
- グラフィックドライバのアップデートまたはロールバック:グラフィックドライバが原因である場合、最新版にアップデートするか、以前の安定していたバージョンに戻してみます。
- イベントIDの詳細ログの確認:エラーの詳細や、クラッシュしたモジュール名などを確認し、オンラインで情報を検索します。
ID:2004(Resource-Exhaustion-Detector)- メモリ不足
この警告は、システムがメモリ(RAM)の不足を検知した際に記録されます。多くのアプリケーションを同時に実行したり、メモリを大量に消費する作業(動画編集、ゲームなど)を行っている場合に発生しやすくなります。頻繁に発生する場合は、メモリの増設を検討する必要があります。
- 考えられる原因
- 同時に多数のアプリケーションを起動している
- メモリを大量に消費するアプリケーションを実行している
- バックグラウンドで不要なプログラムが動作している
- 仮想メモリの設定が適切でない
- 物理メモリの容量が不足している
- 初心者向けの対処法
- 不要なアプリケーションを閉じる:起動中の不要なアプリやブラウザのタブを閉じます。
- タスクマネージャーでメモリ使用率を確認する:(Ctrl + Shift + Escキー)どのアプリがメモリを多く使用しているか確認し、不要なものを終了します。
- PCを再起動する:メモリの状態をリフレッシュします。
- 上級者向けの調査
- 仮想メモリの設定を確認・調整する:コントロールパネルの「システムとセキュリティ」→「システム」→「システムの詳細設定」→「詳細設定」タブ→「パフォーマンス」の「設定」→「詳細設定」タブ→「仮想メモリ」の「変更」で設定を確認します。
- スタートアッププログラムの見直し:起動時に自動的に起動する不要なプログラムを無効にします(タスクマネージャーの「スタートアップ」タブ)。
- 物理メモリの増設を検討する:根本的な解決策として、RAMモジュールの増設を検討します。
ID:9 / 11 / 15(Disk)- ディスク関連のエラー
これらのイベントIDは、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などの記憶装置で、データの読み込みまたは書き込み中にエラーが発生したことを示します。物理的な故障、接続の問題、ドライバの不具合などが考えられます。頻繁に発生する場合は、データ損失のリスクが高まるため、早急な対応が必要です。
- 考えられる原因
- ハードディスク/SSDの物理的な故障
- SATAケーブルなどの接続不良
- ディスクドライバの不具合
- ファイルシステムの破損
- マルウェア感染
- 初心者向けの対処法
- PCを再起動する:一時的なエラーであれば、再起動で解消することがあります。
- ケーブルの接続を確認する:PC内部のSATAケーブルや電源ケーブル、外付けHDD/SSDの場合はUSBケーブルなどがしっかりと接続されているか確認します。
- 重要なデータのバックアップを取る:データ損失に備えて、早めにバックアップを実行してください。
- ディスクのエラーチェックを実行する:エクスプローラーで問題のドライブを右クリックし、「プロパティ」→「ツール」タブ→「エラーチェック」の「チェック」をクリックします。
- 上級者向けの調査
- S.M.A.R.T.情報の確認:ディスクの健康状態を示すS.M.A.R.T.情報を確認するツール(CrystalDiskInfoなど)を使用します。異常が見られる場合は、ディスクの交換を検討してください。
- ドライバの更新またはロールバック:ストレージコントローラやディスクのドライバを最新版に更新するか、問題発生前のバージョンに戻してみます。
イベントIDの詳細ログを深掘り調査・エラーの核心に迫る
イベントビューアーに記録された個々のイベントは、ダブルクリックすることで詳細な情報が表示されます。この詳細ログを読み解くことで、エラーの原因を特定するための重要な手がかりが得られます。単にイベントIDを見るだけでなく、この詳細情報を丁寧に分析することが、トラブル解決への近道となるでしょう。
詳細ログのウィンドウは、主に以下の要素で構成されています。
- 全般タブ
- イベント ID・・エラーや警告の種類を示す番号です。既にご紹介したように、このIDを基に一般的な情報を検索できます。
- ソース・・イベントを記録したコンポーネントやプログラムの名前が表示されます。例えば、「Application Error」「Service Control Manager」「disk」など、問題が発生した場所の手がかりとなります。
- レベル・・「エラー」「警告」「情報」など、イベントの重要度を示します。
- ユーザー・・イベントが発生した際のユーザーアカウントが表示されます。
- コンピューター・・イベントが発生したコンピューターの名前が表示されます。
- 説明・・イベントの具体的な内容がテキスト形式で記述されています。エラーコードや、関連するファイル名、関数名などが含まれている場合があり、問題の核心に迫る上で最も重要な情報源となります。
- イベント ログ・・イベントが記録されたログの名前(例:「Application」「System」)が表示されます。
- タスク カテゴリ・・イベントの種類をさらに細かく分類する情報です。数値やサービス名で示されることが多いです。
- キーワード・・イベントに関連するキーワードが表示されます。
- 発生時刻・・イベントが発生した日時が表示されます。複数のイベントを時系列で追う際に重要です。
- 詳細タブ
- より技術的な情報が16進数などの形式で表示されます。プログラマーやシステムエンジニアなどの専門家が、さらに深く問題を解析する際に利用します。初心者の方が直接理解するのは難しい場合が多いですが、エラーコードなどが含まれている場合は、キーワードとして検索してみる価値があるかもしれません。
詳細ログから何がわかるのか? 具体例で解説
例えば、「アプリケーション」ログにイベントID「1000」のエラーが記録されていたとします。これをダブルクリックして詳細ログを開くと、以下のような情報が含まれていることがあります。
障害が発生しているアプリケーション名: hogehoge.exe障害が発生しているモジュール名: ntdll.dll例外コード: 0xc0000005障害オフセット: 0x0000000000012345障害が発生しているプロセス ID: 0x1234障害が発生しているアプリケーションの開始時刻: 0x01d97abcdef012345障害が発生しているアプリケーションのパス: C:\Program Files\HogeHoge\hogehoge.exe障害が発生しているモジュール パス: C:\Windows\SYSTEM32\ntdll.dllレポート ID: abcdef01-2345-6789-0123-456789abcdef障害が発生しているパッケージのフル ネーム:障害が発生しているパッケージ相対アプリケーション ID:
この詳細情報から、以下のことが推測できます。
- 障害が発生したアプリケーション
・・
hogehoge.exe
という特定のプログラムがクラッシュした。 - 障害の原因となった可能性のあるモジュール
・・
ntdll.dll
というWindowsのシステムファイルが関与している可能性がある(ただし、直接的な原因とは限らない)。 - 例外コード
・・
0xc0000005
はアクセス違反を示す一般的なエラーコードであり、メモリへの不正なアクセスが試みられた可能性を示唆している。 - 障害が発生した場所(オフセット)・・プログラム内の特定のアドレスでエラーが発生した。
- アプリケーションのパスとモジュールのパス・・問題が発生したプログラムと関連するファイルの場所がわかる。
詳細ログを活用する際のポイント
- エラーメッセージ全体をコピーして検索する・・「説明」欄に表示されているエラーメッセージ全体、または一部のキーワードをコピーして、インターネット検索エンジンで調べてみましょう。他のユーザーが同様の問題に遭遇し、解決策を共有している可能性があります。
- エラーコードを調べる・・「例外コード」や、説明欄に表示されている特定のエラーコードは、問題の種類を特定する重要な手がかりとなります。これらのコードを検索することで、より専門的な情報を得られることがあります。
- 発生時刻を他のログと照らし合わせる・・同じ時刻帯に他のエラーや警告が発生していないか確認することで、問題の根本原因が複数絡み合っている可能性を探ることができます。例えば、あるサービスの起動失敗が、アプリケーションのエラーを引き起こしているといった関連性が見つかることがあります。
- ソースとイベントIDの組み合わせで検索する・・特定のエラーが頻繁に発生する場合、「ソース名」と「イベントID」を組み合わせて検索することで、より絞り込んだ情報を得ることができます。
イベントIDの詳細ログは、一見すると難解に見えるかもしれませんが、辛抱強く情報を読み解き、検索エンジンなどを活用することで、多くの場合、問題解決の糸口を見つけることができます。エラーの状況をより深く理解するために、積極的に詳細ログを確認する習慣をつけましょう。
イベントIDを検索する際のコツ
イベントビューアーに記録されたエラーや警告の原因を探る上で、イベントIDをインターネットで検索することは非常に有効な手段です。しかし、闇雲に検索するだけでは、なかなか有益な情報にたどり着けないこともあります。ここでは、効率的にイベントIDを検索し、問題解決に繋げるためのいくつかの重要なコツをご紹介します。
1. 公式情報を最優先に:Microsoftのナレッジベースを活用する
エラーメッセージやイベントIDに関する最も信頼できる情報源の一つが、Microsoftの公式ドキュメントやナレッジベースです。検索エンジンの検索窓に「Microsoft イベントID [イベントID]」のようにキーワードを入力して検索してみましょう。公式の情報であれば、そのエラーの正確な意味や、推奨される対処法が記載されている可能性が高いです。
2. 信頼できる技術系ブログやコミュニティフォーラムを探す
Microsoftの公式情報が見つからない場合や、より具体的な解決策を探している場合は、信頼できる技術系ブログやコミュニティフォーラムも参考になります。実績のあるIT系技術者が運営しているブログや、活発な質疑応答が行われているフォーラムでは、実際のトラブルシューティング経験に基づいた貴重な情報が得られることがあります。
ただし、掲示板や個人のブログの情報は玉石混交です。複数の情報源を参照し、内容に一貫性があるか、具体的な解決策が示されているかなどを慎重に判断するようにしましょう。
3. 検索キーワードを工夫する:より具体的に、英語での検索も試す
単にイベントIDを入力するだけでなく、エラーメッセージの一部や、関連するキーワードを追加して検索することで、より的確な情報が見つかりやすくなります。
また、技術的な情報は英語で多く公開されているため、「Event ID [イベントID] error」のように英語で検索することも有効です。翻訳ツールなどを活用して、海外の情報を参考にしてみるのも良いでしょう。
4. 発生日時を考慮に入れる:OSのバージョンやソフトウェアのアップデート情報も重要
イベントが発生した日時を意識することも重要です。例えば、特定のWindowsアップデート後に発生し始めたエラーであれば、「Event ID [イベントID] Windows Update」のようにキーワードに追加して検索することで、同じような問題を報告しているユーザーが見つかるかもしれません。
また、使用しているOSのバージョン(Windows 10、Windows 11など)や、インストールしているソフトウェアのバージョンも検索キーワードに含めると、より環境に合った情報を見つけやすくなります。
5. 古すぎる情報や過度な警告には注意する
インターネット上には古い情報や、根拠のない情報も多く存在します。特に数年前の記事や、過度に危機感を煽るような内容には注意が必要です。情報の鮮度や信頼性を確認し、複数の情報源と照らし合わせることが大切です。
また、「このイベントIDが出たらすぐに〇〇しなければならない!」といった極端な情報には注意し、落ち着いて公式情報や信頼できる情報を確認するようにしましょう。
6. 検索エンジンのフィルタリング機能を活用する
多くの検索エンジンには、検索結果を期間や言語などでフィルタリングする機能があります。例えば、過去1年以内の情報に絞り込んだり、特定の言語のページを除外したりすることで、より関連性の高い情報を見つけやすくなります。
このように、イベントIDの検索はトラブル解決のための強力な武器となりますが、その効果を最大限に引き出すためには、冷静な分析と多角的な情報収集が不可欠です。Microsoftの公式情報を軸に、信頼できる情報源を参考にしながら、根気強く調査を進めていきましょう。
まとめ
イベントビューアーは、Windowsトラブルの原因を知る強力なツールです。難しそうに見えますが、頻発するエラーのパターンと照らし合わせることで、トラブル解決へのヒントが得られます。
この記事を参考に、安全にチェックを進めてみてください。トラブルの原因が見つかるかもしれません。
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