はじめに:フリーランスが万が一に備えるべきこと
現代では多くの人がフリーランスとして働いています。
自由である反面、会社員とは異なり、資産管理・契約・仕事の引き継ぎなどすべてを自分で管理する必要があります。
しかし、もし自分が突然死してしまった場合、残された家族はその情報を把握できず、銀行口座やネットサービス、家賃収入、税務申告、サブスク契約の停止さえままならない状況に陥ることがあります。
実際に起きた事例も踏まえつつ、今からできる7つの準備を解説します。
【フリーランスのための終活】デジタル遺品を整理しておく
スマホやPCのパスコードは「現代の鍵」ともいえるほど重要です。
顔認証や指紋認証が使えなくなると、家族でも中身が見られなくなります。
【対策】
• パスワード管理ツール(例:1Password、Bitwarden)に集約し、緊急時のアクセス方法を家族に伝える
• 紙に書いて封筒で保管(例:遺言と一緒に残すのがベスト)
「遺言書」と聞くと、
「まだまだ先の話だよね」
「おじいちゃんおばあちゃんの話でしょ?」
と思う人が多いかもしれません。
しかし実は、突然の病気や事故は年齢に関係なく起こりうるものです。
特にフリーランスや個人事業主の方は、自分が突然いなくなった時に仕事・お金・契約・データなどの情報がすべて自分の中にしかない…ということがよくあります。
遺言書って、そもそも何?

遺言書(ゆいごんしょ)は、
「自分が亡くなった後に、誰に何をどうしてほしいかを伝えるための正式な書類」です。
たとえばこんなことが書けます
• 自分の持ち物(財産)を誰に渡したいか
• 子どもの後見人を誰にお願いしたいか
• お世話になった人へお礼を伝えたい
• お葬式の希望や、大事なペットのこと
• デジタル資産(SNS、サブスク、写真など)をどうしてほしいか
など、自分が亡くなった後、どうして欲しいか?を書き残すことができます。
遺言書には種類がある
実は、遺言書には大きく分けて3つの種類があります。
種類 | 特徴 | メリット・デメリット |
自筆証書遺言(じひつしょうしょ) | 自分で紙に手書きする | 手軽だが形式ミスで無効になることも |
公正証書遺言(こうせいしょうしょ) | 公証人に作成してもらう | 費用はかかるが一番確実で安心 |
秘密証書遺言(ひみつしょうしょ) | 内容は秘密にできるが、公証人を通す | あまり一般的ではない |
一番手軽な「自筆証書遺言」の書き方
まずは自分で書ける「自筆証書遺言」から始めてみましょう!
書き方のルール(2020年以降の新ルール対応)
1. 全文を自分で手書きする(パソコンはNG)
2. 日付を書く(○年○月○日)
3. 名前を書く
4. 最後に押印する(認印でも可)
例文(シンプル版)
遺言書
私○○○○(氏名)は、次のとおり遺言します。
1.すべての預金は妹○○○○に相続させます。
2.私の使っていたMacBookとiPhoneは、甥の○○に譲ります。
3.私のSNSアカウントや契約しているサブスクリプションは、家族に一任します。
令和〇年〇月〇日
(署名)
(印)
遺言書はどこに保管すればいいの?
• 自宅に保管する場合:火災や紛失リスクに注意
• 信頼できる家族や知人に知らせておくこと
• 2020年からは法務局での「自筆証書遺言の保管制度」もスタート(安心)
遺言って重たい?でも無いと困るもの
遺言というと「死ぬ準備」みたいで重く感じるかもしれません。
でも本来は、「あなたの大切な想いを伝える最後の手紙」でもあるんです。
• 家族へのありがとう
• 一緒に暮らしてくれたペットのこと
• 誰かに託したい夢や願い
そんな気持ちを込めることもできるようです。
若いうちから「小さな遺言」を書いておこう
若い世代でも、
• フリーランスとして活動している
• デジタル資産を多く持っている
• 結婚していないけれど大切な人がいる
という場合は、小さな遺言から始めてみるのがおすすめです。
このように遺言は、何かをあきらめるためのものではなく、
あなたの想いと情報を、大切な人へつなぐための「未来へのやさしさ」です。
銀行口座・ネット銀行の一覧を残す
メガバンクからネット銀行まで、フリーランスは複数の口座を使い分けるケースが多いです。
しかし家族は、どこの銀行を使っているかすら把握できません。
【対策】
• 銀行名・口座番号・ログインIDなどを一覧にまとめる
• 「資産目録」として月1で更新する習慣を
サブスクリプション・クラウド契約の把握
Adobe、Dropbox、ChatGPT、Google Workspace、動画配信サービスなどの継続課金型サービスが、気づかぬうちに引き落とされ続けることもあります。
【対策】
• 契約中のサブスクをリスト化
• 「死後、解約すべき契約一覧」などを明記しておく
所得・税金・帳簿の状況を共有しておく
フリーランスの税務申告は個人に依存しており、青色申告や帳簿、未申告分などが放置されると相続人にペナルティが及ぶ可能性があります。
【対策】
• 税理士と契約しているなら家族に紹介しておく
• 確定申告のデータの保存場所・会計ソフト情報も共有
• マイナンバーカードの場所も伝えておく
不動産や収益物件の情報を明記する
不動産業のフリーランスなどは、自分名義の物件情報や管理会社との契約書が重要です。
これが失われると、収益の受け取りや名義変更も困難になります。
【対策】
• 不動産登記簿謄本の写し
• 毎年の固定資産税通知書のコピー
• どこにどの物件があるかを一覧化
緊急連絡先・依頼先リストの作成
急逝したあと、仕事関係者や顧客にどう連絡を取ればよいかわからず、信用を失うこともあります。
【対策】
• 取引先・顧問・依頼先の一覧と連絡方法
• 「この人に連絡を」リスト(信頼できる知人や業者)
エンディングノートまたはデジタル遺言の活用
死後に自分の意思を伝える手段として、エンディングノートは非常に有効です。
エンディングノートは紙でも、デジタルでも構いません。
【書くべき項目例】
• 緊急時の連絡先
• デジタルデータの保管場所
• 銀行口座と資産の一覧
• サブスクの情報
• 感謝の言葉やメッセージ
など、以下にエンディングノートのテンプレート見本を貼っておきます。
わたしのエンディングノート
1. 基本情報
氏名:__________________________
生年月日:______________________
血液型:__________ 連絡先:__________________
2. デジタルデバイス・パスワード情報
例:パスコード(1234)、指紋認証 など
例:Windows10 ログインPWあり/Mac指紋認証 など
例:1Password、Notion、ノートに記載 など
3. サブスクリプション契約
例:Netflix/Adobe Creative Cloud/ChatGPT Plus など
4. 銀行口座・ネット銀行
例:〇〇銀行(普通)/楽天銀行/ゆうちょ銀行 など
5. 所得・税金関係
会計ソフト:freee/弥生会計 など
税理士連絡先:_______________________
6. 不動産や資産について
所有不動産:住所・管理会社など記入
収益物件:入金先や契約情報など
7. 緊急連絡先リスト
〇〇(兄)/△△(親友)など
8. 家族へのメッセージ
ここに自由にメッセージを書きましょう。
まとめ:フリーランスこそ「死後の準備」が必要
フリーランスは自由に生きられるからこそ、「死後」についても自分で準備しておくことが家族や取引先への最大の思いやりです。
悲しいですが、突然死は誰にでも起こり得る現実です。
今この瞬間から、少しずつでも「見える化」を進めていきましょう。
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